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2016年2月8日月曜日

昨日の自転車100km走行について


 先月、マジ頑張り過ぎな自分へのご褒美として新しい自転車を購入しました。
 前に昆山で乗っていた自転車は購入から一年乗り続けましたが引越しの際に持って行くのがやや面倒だったのと、別の自転車にも乗ってみたかったことから知人へと譲ったので、上海市内で今後使っていくようにと新たに自転車を購入したわけです。

 今回購入した自転車のメーカーは前とおなじくGIANTです。ほかのメーカーも試していようと思い最初にスペシャライズドのお店へ訪れましたが、「明後日この店閉めるんだ」と、セールをしている理由を店員が教えてくれましたが、いくら安いからって今後のメンテナンスを考えると購入に踏み切れず、結局すぐ隣のGIANTに行きました。ちなみにそのお店の周辺は上海市内でも自転車乗りが多いとのことで、すぐ近くにはMERIDAの店もありました。行かなかったけど。



 でもって買ったのが上の自転車、あんまり名前チェックしてないけど多分「GIANT DEFY3」。パーツ諸々と合わせて5000元(約100000円)の所を4200元(約84000円)に値下げしてもらって即日購入しました。なんでこれにしたのかというと以前に昆山で乗っていた「GIANT OCR3300」が3400元くらいで買ったので、これより値段的にワンランクアップさせた物に乗りたくて、予算的に4000~5000元のラインにこれがあったからです。値段の差ってのがどれくらいなのかを確かめたいのがむしろ大きかったかも。

 そんなわけで試乗とばかりに今回、上海市の虹橋空港周辺から昆山市内中心部まで片道約50km、往復100kmの走行へと繰り出したわけです。最初の写真は昆山に入ったばかりの所、具体的に言えば昆山経済技術開発区内の道路で見事なくらい地平線まで人も車も何もない光景でしたが、こんな感じの道路を延々と走っていました。もっとも写真じゃ見え辛いけど真ん中のあたりにある赤い点は赤い服着た女性で、バス停で一人ぽつんと待っていましたが無事にバスに乗れたのかなあの後。

 話はサイクリングに戻りますが朝9時過ぎに出発してまずは境界線付近にある安亭という場所を目指しました。逆ルートというか昆山市内から安亭まではサイクリング部と共に何度も行ったことあったのですが上海市内からのルートはこれが初めてで、地図であらかじめチェックした通りのルートを沿って全く迷うことなくたどり着けました。
 ただ、思ったより時間がかかったというか安亭に着いたのは11時前でした。てっきり1時間くらいで来れてそこから昆山市内の方が遠いのかなと思っていましたが、実際は逆で安亭までの道のりの方が長かった感じがします。なお安亭付近には地下鉄もあればショッピングモールもあり、上海市内のはずれとはいえなかなか栄えているというか郊外型の住宅地という印象を覚えました。

 そっから境界を越えて昆山へ侵入。そっからはひたすら工業地帯を抜けるというルートでところどころ、「ああ、ここ前に通ったな」と思いつつ無心で漕ぎ続けました。ただ市内中心部に近づいてきた辺りで、その日の朝は食パン一枚(生)しか食べてなかったこともあって急激にお腹すいてヤバくなってきました。安亭で休憩取ろうかなとも思ったけどそしたらお昼ご飯の時間に昆山市内へつけないと無駄に焦ってノンストップで来たツケがここにきて、ふらふらしながらもどうにか12時半ごろに昆山市内中心部にたどり着けました。

 昼食は春節休暇中にも開いていた日本料理屋で、しょうゆラーメン大盛り+ギョーザ+半チャーハンを残さず食べて飢えからようやく解放されました。餓える度に思いますが二次大戦で兵隊に補給なしで戦わせた日本軍の指揮官はマジアホだと思うし、その中で戦っていた兵隊に強い同情心を覚えます。本当に餓えると、体力は体感で十分の一くらいしかでません。

 昼食を食べ終えると休憩もそこそこに再び自転車にまたがり復路へと出発。往路が強風ではなかったものの向かい風だった分、復路は追い風で楽になるかなという期待がありましたが、確かに往路よりは速度が出たもののあんまり速度アップにはつながりませんでした。往路でスタミナ切れした反省からギアは低めで割かしのんびりと走り続けましたが、乗り始めとあって低速ギアの調整がやや悪く、具体的には二速を入れるとチェーンが上手くはまらず異音を鳴らし続け、また口から「ファックファック」と呟くながら二速を避けつつ三~四速で走り続けました。逆に上の高速ギアの噛み合わせは抜群に良く、びっくりする位がちっとはまってたのは爽快でした。

 3時半くらいに安亭に着き、「無駄に焦るな」と自分に言い聞かせてバーガーキングで休憩。ポテトとコーヒーだけ頼んで30分くらい休憩して再びレッツゴー。往路と同じく、昆山~安亭よりも安亭~虹橋までの方が明らかに長く感じ、「おうちはまだかいな?」と呟きつつ5時20分に無事帰宅しました。そのままどこかに夕食でも行こうかと考えましたが、昼に大盛りラーメン食べたことからお腹がすかず、結局コンビニ弁当だけ買って夜9時にレンジでチンしてそれ食って終いにしました。

 明けて今日、めっちゃ体がだるかったです。足の筋肉痛は全くなく、O脚だからかやや膝の外側が少し痛みましたが正午にはその痛みも抜けたものの、右側頭部がずっと痛くて昼過ぎに昼寝を取るなどしましたがこっちはなかなか治りませんでした。
 昼寝を終えた後に「一体何故なんだ?」と少し考えてみて、自分は利き足が左であるため自転車走行中は通常やや左側に重心が傾いており、それをバランスとるためハンドルを握る右腕で支えた状態が続くのではと思い、もしかした右肩から右腕の疲労が原因ではと閃いてこの箇所にマッサージした所、大分調子戻して元気になってブログ書けるようになりました。いやまぁ、頭痛薬飲んだのも大きいのかもしんないけど。

 最後に今回新しく買った自転車について感想を述べると、車重は明らかに前の自転車と比べて軽く、軽く障害物に当たった際などふわっと浮かぶ感覚があって「車体ごと飛ぶのでは?」と最初感じたほどでした。しかし走行に関して述べるとそれほど極端な差はなく、長距離を走っていて特段速いとか加速がいいとか、前の自転車との差はそれほど感じませんでした。もう少し短い距離とかなら加速や速度の持ちの良さが感じられたかもしれませんが、長距離走行なら少なくとも大きく性能が変わるってほどではないような気がします。
 ただちょっと今回の自転車でミスったなと思ったのは、自転車を駐輪時に立たせるためのサイドスタンドです。普通ロードバイクにはこんなの付けないのですが私は付けないと気が済まないというか不便に感じるのでつけてもらいましたが、これがペダルの回転中に何度も左足かかとに当たって邪魔くさいのなんの。前の自転車では一回もそんなことなかったので多分取り付け位置が悪いか、スタンド自体のでっぱり部が大きいせい(前のと比べて明らかにでかい)であることが原因だと思え、休み明けにでも自転車屋に行って相談しようかなと思います。順回転する際はそんな当たることはないんだけど、逆回転したり停車する際などはほんとよく当たり、前ほどアクロバティックな乗り方はできないのがやや苦痛でした。

 それにしても100km程度でこんなに疲れるとは思いませんでした。なんか体感的には140km位走ったような気がするのですが、中国の地図だから縮尺おかしいのではと勝手に疑ってます。

2016年2月7日日曜日

北朝鮮のミサイル発射が早まった理由

 今日は自転車で約100km走って疲れてるので短くまとめます。

 報道されている通りに北朝鮮がまたミサイルを発射し、沖縄上空を越えて太平洋にまで飛んだそうです。このミサイルの性能については専門家に聞くしかないでしょうが発射時期について私の方から述べると十中八九、中国への遠慮から今日になったと思います。
 というのも中国は明日から春節に入るため、言うなれば明日は中国にとって元旦に当たります。人間誰しもお祝いムードの時に水差されたらカチンと来るでしょうし、直前に中国の公館が北朝鮮を訪問して「言うべきことを全て言ってきた」とコメントしたそうですが、私が考えるに恐らく、ミサイル発射の抑止と共に撃つのだったら春節期間を外せと言ったのではないかと思います。それにこたえる形で大晦日の今日に発射を実行したのかなと思いました。

 とはいえ、中国側としてもやっぱり楽しくはないでしょう。一応、大晦日の今日から長期連休に入っていますがこんな時期にミサイル飛ばされたらクリントンでなくても頭に来るはずです。中国人としても近年は北朝鮮に対して、「余計なトラブルを起こす国」という印象が国民にまで広がっていますが、それでも各国の制裁協議において中国はまだ北朝鮮を擁護するのではないかと思うものの、果たしてそれがいつまで続くかは私にもわかりません。

 っていうか100km位余裕と思ったのに、なんでこんなに時間食ったんだろう。地図の縮尺とかおかしくね?

2016年2月6日土曜日

鴻海がシャープ買収にこだわる理由

 

 昨夜はこのガチャピンの光学迷彩が気になり過ぎたため、昨夜書いた記事で一番大事な内容を書きそびれてしまいました。それにしてもここ一ヶ月くらい、こんなに大笑いすることなかったなぁ。あとこのお天気お姉さんの対応の仕方は本当に素晴らしい……。

 昨夜は「鴻海によるシャープの買収について」という見出しで鴻海精密工業によるシャープの買収についてあれこれ背景なり展望なりを書きました。書くべき情報はあらかた書きましたが一つ書き忘れたことがあり、これはほかの日系メディアが一社たりとも指摘しないというか触れもしないのでそっちも疑問なのですが、そもそも何故鴻海はこれほどまでにシャープを買収しようとするのか、この点がよく理解できず友人と一緒に頭を抱えました。

 鴻海は数年前の時点でシャープの堺工場に出資していますが、当初はこの際にシャープ本体へも出資、あわよくば買収しようとも動いておりました。当時のシャープであれば確かにまだ液晶の生産技術は他社よりリードしていたし何よりも堺工場はできたてほやほやで設備などもよく、出資するだけの価値は私から見てもありましたが、現在においては状況は変わっており少なくとも数千億円を支払ってまで救う価値があるかと言えば採算的にやや疑問を感じる経営状態です。
 昨日の記事にも書いた通り、確かに鴻海はI-Phoneを筆頭に液晶を用いる製品を多数生産していることから今回の買収は垂直統合となり、原価の圧縮だけでなく生産調整も行いやすくなるなどメリットが全くないわけではありません。しかし6000億円強ともいえる金額を支払うほどの価値があるかとなるとやはり疑問で、また買収後にシャープの経営が果たして再建できるのか、下手したら余計に赤字を生み続ける可能性もあるのではと考えるとややリスキーです。にもかかわらず何故ここまで買収にこだわるのか。2000億円くらいだったらまだ理解できたのですが。

 この点が本当にわからなくて昨夜も友人と一体何なんだろうかなどと議論しつつも、結局答えは出てきませんでした。この点だけは謎のまま、なんて昨日の記事に付け加える予定だったのですが今日になってちょっと事態が変わったというか、全く根拠もないただの私の直感が告げる一つの仮説でしかないものの、一つの考え方を閃いたのでそれをここに記します。結論から述べると、真の狙いは液晶ではなく太陽電池だったのかもといったところです。

 鴻海のCEOであるテリー・ゴウ(郭台铭)はかねてから記者に対して、「シャープの赤字は太陽電池部門が主犯で、この不採算部門を切り離せば再建は可能だ。シャープブランドもシャープの法人格も維持した上で再建してみせる」と話していました。この主張自体は至極もっともな意見で太陽電池業界は世界規模で深刻な不況が4年くらい前から続いており、生産量で世界最大手だった中国のサンテックパワー(尚德太陽能電力有限公司)も、一時期はニューヨーク市場にも上場してましたが不況の煽りをモロに受けて破綻へ至りました。
 なのでテリー・ゴウの意見に私は納得、っていうか何故シャープはもっと早く太陽電池部門をリストラしなかったのかとも思っており、くそくだらねぇことばっかしか言わない日本の銀行関係者とかアナリストなんかよりずっとこの人の方がまともなこと言ってるし信頼できると思って今回の買収を歓迎する気持ちで見てたわけです。

 しかし、今日昼飯食って歩きながらふと気が付いたこととして、シャープの太陽電池部門が切り離されるとして一体どこが買うのだろうかと考えたところ、まず日系他社は太陽電池市場が不況であることから絶対に買わないだろうと踏んで、となるとやはり中国企業……もしかして中国ファンドか……といったところまで考えが行ったところで、「もしかしてテリー・ゴウは中国政府の指示を受け、シャープの太陽電池部門を中国資本に引き渡す密命でも帯びているのでは?」という考えに至りました。

 私はかねてからシャープについて、「言われている程この会社に技術はない」と言い続けました。今でもこの考えに変わりはないのですが、こういう時に言う「技術」というのは液晶技術を指しており、太陽電池となると話は別です。シャープは太陽電池の変換効率(光を当ててどれだけ電力に変えられるか)で一時期はずっと世界最高記録を出し続けており(この前どっかに抜かれたというニュースは見たが)、太陽電池の研究技術であれば世界最高水準にあると私は見ております。ただ先ほども言った通りに太陽電池は市場が不況であることからお金にはならずシャープに限らずどこも太陽電池で赤字を作ってる状態なのですが、中国であればたとえ事業が赤字であってもシャープの研究技術を欲しがる可能性が高いと思っています。
 というのも中国はエネルギーや半導体などの分野で世界シェアを握り、かつてのレアアースのように出荷量をコントロールすることで外交のカードにしようとするところが見て取れ、特に半導体関連は中国政府指導者に理系が多いこともあって並々ならぬ情熱を燃やしていて実際この分野への投資は赤字だろうと何だろうとお構いなしとばかりにつぎ込んでいます。太陽電池も半導体の一種であることもさることながら不況の現状でも政府が中国国内の太陽電池メーカーを熱烈に支援し続けており、世界シェアを必死で高めようと補助金をつぎ込んでいます。

 そんな中国からしたら、今すぐお金にならないとしてもシャープの太陽電池の研究技術は高い金払ってでも欲しいと思うのでは。あくまで仮説ですがこんな考え方が今日思い浮かんできたわけです。そもそも鴻海のテリー・ゴウ自体がいわゆる政商で中国政府とのパイプも強いだけに、好き勝手にドラマチックな陰謀論を組み立てるとしたら内心有り得なくもないかなぁと追加でさらに思うわけです。特に根拠も何もないですが少なくとも私にとってすれば、この理由であれば鴻海がシャープ買収にこだわったのも少しは理解できるかなと思えます。

  おまけ
 この記事書く前に友人へこの話題を振った際、こんな会話がありました。

「そもそも鴻海のトップは政商で中国政府にも近い。えっと名前は……レリー・ゴウだっけ?」
「似てるけどちょっと違う!」

鴻海によるシャープの買収について

 既にあっちこっちでニュースになっているのでニュース記事リンクを貼りませんが、本日シャープので開かれた取締役会では、台湾の鴻海精密工業の出資を引き受ける方針が決定されたとのことです。かねてから官制ファンドこと産業革新機構と鴻海のどちらの出資をシャープは引き受けるのか議論されており、先週まではほぼ産業革新機構側の案でほぼ決定と言われながらも鴻海がこの度出資額を6000億円強にまで引き上げたことから、見事に逆転ホームランとばかりにこのディールを物にしました。この鴻海によるシャープの事実上の買収について私の意見を述べると、シャープにとっても日本にとっても一番望ましい形に落ち着いたんじゃないかと考えております。

 私が何故このような意見を主張するのかというといくつか理由がありますが、一番大きなものとしては、取引として考えるのであれば高い値段を出した側が勝つべきだという商売原則上の正当性です。産業革新機構はうろ覚えだけどシャープの出資行に対して2000億円の債務放棄を行わせた上で1000億円程度の追加出資で合計3000億円のバリューを提示したと報じられているのに対し、鴻海が今回出してきたのは6000億円強と実質二倍です。もちろん金額が大きくとも再建案に中身が無ければ意味はないですが、それにしたってお金はあるだけある方がいいに決まっています。なお私の友人は以前、「お金イコール幸せじゃないけど、幸せになるためには最低限お金が必要だよ」と言ってました。
 そしてシャープに出資する銀行団にとっても、返済期限の引き伸ばしなどの要求はあるかもしれませんが産業革新機構と比べると債務法規することが無くなり、言うなれば銀行側は2000億円の融資残高を捨てずに済みます。銀行団からすればこの上なくありがたいでしょうし、日本全体でも2000億円のキャッシュフローを潰さずに済むのだから、平等性という点から考えると私は前から鴻海案の方が理に適っているように考えていました。

 次に再建案の中身です。鴻海案ではあくまで自力再生を図るとのことで収益の見込みがない太陽電池部門のみを切り離した上で、シャープブランドを存続したまま再建に取り組むとしています。目下の大赤字部門である液晶部門についてはシャープの顔であることから切り離しはしないとのことですが、鴻海は液晶パネルを使用する携帯電話やパソコンなど電化製品を作るメーカーでもあるので垂直統合の効果は確かに得られるしその点ではいくらか期待はできます。
 逆に産業革新機構案は液晶部門を切り離して国内競合のジャパンディスプレイに統合させるという計画でした。しかし腑に落ちないというか非常に癇に障った点なのですが、仮にジャパンディスプレイと統合させるとなると同社の液晶パネルの国内シェアは確実に八割を超すと見られ、その場合に独禁法は適用されないのでしょうか。国策だからとかそういうもんではなく完全に市場を独占させていいものか、また日本国内はよくても海外市場で独禁法が適用され合併が認められない可能性もあり、合併手続きが長引く恐れもあることから私はこの案に対して非常に疑問を感じていました。それ以上に一切この手の話をしないマスコミには驚きを通り越して呆れていましたが。

 また液晶部門の切り離し自体は別にいいと思うし再建案としてはよくわかる内容なのですが、昨年にシャープの銀行団が出した再建案は液晶どころか不採算の太陽電池部門も切り離さず、むしろその太陽電池部門を強化して収益を再建するという、どこの馬鹿が考えたクソ案だと言いたくなるようなひどい内容が出されていました。産業革新機構入りとなるとまた銀行団が口を出す恐れ、もといセンスのない経営者がでしゃばる可能性も感じられたために、それだったらグローバル市場で戦ってる外資経営者の方が絶対にマシだろうという確信がありました。

 ここで一番最初の平等性についての話に戻りますが、鴻海の買収話が出るやネット、っていうか普通にマスコミも、「海外に技術流出する恐れが……」などと否定的に書き立てていました。断言してもいいですがこのようなことを主張してた連中は本気で技術流出を懸念しているというより、ただ単に外国企業によって日系企業が買収されることにアレルギーを持っているだけでしょう。
 そもそも、今のシャープに流出するような技術があるのでしょうか。イグゾーだがイクゾー(ナイトハルト殿下)だか知りませんが、店頭に並んでいるテレビの液晶を見て一目でシャープの液晶だと気づくような人はいるのでしょうか。なんだかんだ言いつつLGとかスカイワース、TCLなども技術上げてきているし、パッと見だと区別つかないんだからシャープの品とか技術が特別だと言われても疑問符が付きます。おまけに、ジャパンディスプレイは来年あたりからとんでもない液晶パネル作ると言っているし。

 これはこの件に限るわけじゃないですが、日本はもっと市場を外国に開放するべきだと思います。外資というと毎回悪者のようにされて批判されますが、その外資によって、むしろ外資でなければ救えない会社や従業員だっているのです。りそな銀然り。
 自分なんか中国にいるから特に強く感じますが、やっぱり会社にも多様性があった方がよく、日本式経営ではなく米国式、中国式、インド式経営の方が肌に合う労働者もおれば相性のいい業種だってあるだろうし、外からの新鮮な風を受け入れる形で今回の鴻海の買収劇もはっきりとした結果が出るまでゆっくり見守ってほしいというのが偽らざる私の信条です。

  おまけ
 今日のニュースにあった、ガチャピンの光学迷彩には本気で爆笑しました。

2016年2月3日水曜日

中国外食市場における鍋料理

 この前の日曜もまた例の上海人と一緒に部屋探しに不動産屋を回った後、一緒に焼き鳥屋へ行きました。訪れた焼き鳥屋はその日に初めて訪れた店でしたが値段はリーズナブルであるものの友人は前に二人きりで訪れた焼き鳥屋の方がおいしかったと文句言いつつ、店内のテレビに何故か映されている「孤独のグルメ」のDVDを見てました。
 今後の展望などについてそこそこ話して帰る前に何か締めとして頼もうかとメニューを開き、その日はたまたま雪が降るほど寒い日だったのであったかい物をと思ってキムチ鍋を頼んだのですがこれがなかなかおいしくて、「焼き鳥作るより鍋作るのが向いてるじゃん」と言いながら舌鼓を打っていました。なんか前にも、ラーメンのがおいしい焼き鳥屋が新宿にありましたが……。

 などと思いながらふと店内を見回したところなんかどのテーブルにも鍋料理が並んでて、店内全員で鍋パーティやってるような状態になってました。恐らくその日が寒かったからだとは思いますが、中国人もこういう日本料理店で鍋料理を抵抗なく食べるんだなぁとちょっと気になりました。
 その点を友人に振ると私の意見に同意し、要因としては中国には「火鍋」という鍋料理が普及しているので鍋料理自体にはとても慣れており、しかも日本と違って夏にも火鍋を口にするので日本人以上に鍋料理を愛好している節があるのではと話し合いました。

 ここで少し話は変わりますが、記者時代に取材したある会社で面白い話を聞いたことがあります。悪い話しじゃないので実名出しますがその会社は物語コーポレーションといってこんな会社名なのに外食チェーンの運営会社なのですが、この会社が中国進出第一号店として「鍋源」という火鍋料理屋をオープンさせた当日に取材へ赴いていろいろ話を聞いたところ実に中国市場を研究しているなと驚かされました。曰く、「中国は地方によって人気な料理が異なるが、唯一火鍋だけは全国どこでも食べられている」と述べ、中国人に一番受け入れられやすい料理であることから火鍋屋でオープンすることにしたそうです。
 なおこの会社は自分が取材した中で一番印象深い会社で、現在上海市内で上記の「鍋源」の店舗数も順調に増えております。

 このエピソードからもわかる通り、あんまり知られていませんが中国人は案外鍋料理が好きだったりします。実際どこ行っても通常の火鍋に加えてキムチ鍋とか魚鍋が置いてありますし、日本料理屋もそうした事情を反映してかやっぱり鍋料理をセットして、なんかこのところはラーメン屋でも見かけたりしてなりふり構わない状態だなと密かに思ってます。なおちゃんこ鍋だけは唯一、日本料理屋でしかみかけないのですが、やっぱり訪れると中国人客も大勢来ていて認知が深いなと改めて感じさせられます。
 具体的に何が言いたいのかというと、これから中国に進出しようとする外食チェーンは鍋料理についてあらかじめ案を持って乗り込んできた方がいいと言いたいわけです。先程の物語コーポレーションの人が言ったように中国は地方によって好まれる味や料理が変わり、四川と湖南では辛さの種類が違うとか、上海は醤油ベースだとかいろいろありますが、鍋料理は具材とタレを複数用意しておけば全国どこにでも打って出られる上、珍しい鍋料理があれば中国人も興味を示す可能性があります。なんかあまりこの点を指摘する話を見なかったので、興味ついでに書いてみました。

2016年2月2日火曜日

派遣会社がなくなれば直接雇用が増えるのか?

 また一連のマージン率関連記事で申し訳ないのですが、友人から「生温いぞ!」と言われ、私自身もちょっと優しく書きすぎたなと思う部分があったので、それ以外の諸々も含めてちょこっと補足するような具合でもう一本記事を書きます。本当は中国の外食事情とかについて書きたいのですが。

 この前の土曜に書いたマージン率の調査記事で私は、去年の調査記事はいくつかのサイトに引用されたもののそのうちの一部サイトではやや偏った引用のされ方をして正直に不快だったと書きました。それは具体的にどのような引用だったかというと私が調査して出したマージン率の数字の引用の仕方で、何故か平均値(26.8%)には一切言及せず最高値(50.0%)だけを引用して、「派遣会社は何もせず派遣社員の報酬の半分をピンハネしている」などと書きたてるというものでした。
 実際にはこのマージン率から福利厚生費などを派遣会社が負担するのですから上記のような書き方は明らかに事実とは異なり、ましてや平均値には触れず派遣会社全体でマージン率が50%であるかのように書くことはこの業界への誤解を広げかねず、極言すればデマゴーグといっても差し支えないでしょう。正しい情報をきちんと公開せず偏った情報だけ流すという点で言えば、そのブログ主は義務付けられたマージン率を公開しない派遣会社と態度的にそう変わりない気がします。

 もちろん普通に記事が引用される分には光栄ですしプロフィール欄にも書いているように何も断りがなくても全然気にしませんが、私の作ったデータで捻じ曲げられた情報を発信されるというのであれば不愉快この上ないし、それを正す責務も自分にはあるでしょう。表現者として上を目指すならばそうした誤った引用すらできない記述をやって見せろと言いたいところですが、毎日こうやってブログ書いててもまだそんな水準には達せられてないので、やはりこうして一つ一つ新たに発信していくしかないのが現状です。
 直接名指ししてもいいのですが、今回は警告にとどめておいて次回何かあれば直接批判することにします、現実でも殴り合いを含めて喧嘩するのに何もためらいないし。

 と、ここで話をいったん区切って少し話題を変えますが、上記のような捻じ曲げた引用の仕方をしたサイトは複数あり、どちらも派遣会社は社会のダニで不法に儲けており存在自体なくなればいい、なくなれば直接雇用がもっと増えて労働者は助かるみたいな主張につなげていました。しかし断言してもいいですが、彼らにとっての社会のダニの派遣会社が日本からなくなっても日本で直接雇用の正社員は増えることはないでしょう。っていうか十年くらい前に終わっていると思う議論をなんで今更しなきゃいけないんだとちょっと書いてて今思いました。

 絶対的な事実として、企業の側からすれば同じ業務をやらせるにしても派遣社員を雇う方が正社員を雇うよりも支払うコストが大きくなります。正社員なら月30万円で済むところを派遣社員ならば40万円かかるという具合で絶対的なコストは派遣社員の方が上です。にもかかわらず何故企業は派遣社員を雇うのかというと、いざとなったらすぐに契約を切って解雇できるからで、逆を言えば正社員は売上げが落ちるなどして任せる仕事がない状態になっても解雇などで雇用調整することが出来ず、重石のような負債となってのしかかるリスクがあるというわけです。
 では何故正社員を解雇できないのか。法律解釈にもよりますが労働法で解雇条件が定められておりその条件を満たすのが難しいと考えられているため、どれだけ会社に損害与えても、問題ある社員でもおいそれと解雇が出来ないという認識が日本では強いです。加えて雇用の流動性が低く転職市場も海外と比べそれほど大きくないため、従業員側も負担が大きいブラック企業でも生活のためには我慢して働くため、いろんな意味で悪循環になってるわけです。

 突きつめれば雇用の流動性が日本だと低すぎるために派遣社員が企業に求められるわけです。ならば派遣社員をなくすためにはどうすればいいのかですがこれははっきりしており、正社員の特権を失くせばいいだけで、要するに解雇条件を緩和するなどして雇用側が簡単に解雇できるようにすればいいわけです。そうすれば企業はコストの大きな派遣社員よりもどこも率先して正社員を雇うようになり、それどころか真面目に働こうとしないのに会社にしがみついている問題ある社員も一掃されるでしょう。
 私はもう何年も前から上記のような考えに則って、「正社員という概念自体をもうなくして、みんなが派遣社員になれば日本人はみんな幸せになるよ。少なくとも派遣を批判している人たちは」と主張し続けてきました。そもそも東シナ海を股にかけて働いている私からすれば日本の労働市場の方が異常に見えて仕方なく、何故ブラック企業が存在するのか、何故有期雇用契約じゃないのか、何故労働契約書を書面でしっかりサインしないんだとか疑問でいっぱいです。しかも本人たちがその異常性に気付かずというか気づいていない振りして自分たちにだけ都合のいい意見や主張ばかり展開しているのが一番疑問です。

 この辺りはリツアンSTCの野中社長と考え方が一致しましたが、日本の労働市場における最大の欠陥は雇用の流動性が低いという点に集約出来ると思います。ではこれを改善する、流動性を高めるにはどうすればいいかとなると現状況下では派遣雇用を発展させることがまだマシな着陸点だと思え、ルールを徹底して健全に発展させるためにも情報公開が不可欠と考えたからこそわざわざマージン率の公開率を調べたわけです。なので直接本人にも言いましたが、派遣業界は大手が三つくらいに集約されればいいと思ってるしその中の一つに御社をぶちこみたいと話し、まともな派遣会社を育てたいし応援したいと伝えました。
 ってか書きながらつくづく思いますが、一連の調査で一番ミステリーなのは中国で暮らしている私がわざわざ日本のマージン率を調べている点でしょう。普段から行動怪しいけど。

2016年2月1日月曜日

優良派遣事業者認定制度の欺瞞性

 昨夜私はもはやこのブログのメインコンテンツになりつつある派遣業界のマージン率の2016年版調査記事をアップロードしました。調査結果についてはかなり長文となりましたが記事中にほとんど載せてあるのでこれ以上はとやかく言うことはありませんが、派遣会社各社のマージン率を調査している傍ら、何度も目に入ったというか気になる言葉が一つありました。その言葉こそ、見出しに掲げている「優良派遣事業者認定」という言葉です。

厚生労働省委託事業 優良派遣事業者認定制度公式サイト(一般社団法人人材サービス産業協議会)

 マージン率の調査中、一部の派遣会社ホームページにて「優良派遣事業者に認定されました」という言葉と共に上記サイトにある「優」という文字が描かれた認定ロゴマークが、割と誇らしく前面に貼られている会社を数多く見かけました。一体これは何なのか、少なくともこんな制度を自分は聞いたことないぞ(中国で生活しているんだから当たり前だが)と思って調べてみたところ、どうも厚生労働省が新たに作った派遣会社に対する認定制度だとのことで、その意義としては以下のように書かれてあります。

「派遣会社は優良な事業者であると認定され、派遣社員や派遣先企業は信頼性のある派遣会社を選択できるなど、派遣元・派遣先・派遣社員にメリットがあります。」(上記サイト「認定制度について」のページ内既述を引用)

 要するに、まともな派遣会社を認定することによって派遣社員からすれば所属先を選ぶ一つの指針となり、認定された会社は自社のPRに使うことが出来る「双方良し」な制度だと言いたいようです。なるほどなぁと思いちょっくら調べてみたところ現時点で85社が優良派遣事業者として認定されており、このうちマージン率など公開が義務付けられたデータをきちんとホームページ上で公開していた会社は27社、割合にして31.8%(3社に1社)で、さすが優良派遣事業者に認定された会社達だけあってこの前の私の調査で対象となった派遣会社全体の公開率18.0%(5社に1社)を大きく上回る数値です。
 なんとなく想像がついていたというか、ホームページ上に認定マークをでかでかと出している会社に限ってマージン率データを出してないことがやけに多かったので、「ああ、やっぱり……」という具合でこの結果を眺めました。っていうか、「本来の調査だけでも忙しいってのに余計な仕事作りやがって厚生労働省は……」などとブツブツ文句言いながら認定された会社の公開状況をいちいち調べていました。

 なお別に他意はございませんが、優良派遣事業者に認定されている85社の中には派遣大手のスタッフサービスさんも含まれております。

優良派遣事業者が「優良」ではない理由(マイキャリア)

 マージン率調査に執念燃やした私個人としてはマージン率をきちんとホームページ上で公開していない時点で優良どころかファッキンな会社で何を見て優良だと認定したんだかと言いたいところですが、いろいろネットで調べていたらなんと同業者からもこの制度に疑問を呈する声が出ていました。これには私もびっくり。
 上記サイトは日本リックが運営するマイキャリアという求人情報サイト内の記事なのですが著者名が書かれていないものの業界関係者らしき人物の記事のようで、この制度の概要から認定過程を説明するとともにその目的に対する実効性については、「当たり前の人材派遣サービスを提供している派遣事業者を認定する制度に過ぎない」と、切って捨てています。少なくとも、当たり前の情報すら公開しないほど情報公開に消極的でも認定が出ちゃう制度であることは間違いないでしょう。

 そもそもこの認定過程一つとっても厚生労働省が直接管理しているわけではなく、一番最初のリンク先サイト運営主に当たる一般社団法人人材サービス産業協議会(JHR)が委託を受けて行ってるとのことで、どうみたってこれ天下り団体にしか見えません。もうなんかいろいろ説明するのも疲れてきたので思い切ってぶちまけると、何から何まで不完全で腐った制度であるようにしか思えないというのが私の感想で、派遣社員の方々にはこんなもん信じるなと言いたいし、とっとと廃止されればいいのにとすら思う制度だって言いたいわけです。

 最後に今年の一連のマージン率調査過程における愚痴をぶちまけさせてもらうと、この調査を行った期間に私は転職を一回、引越しを二回(しかも中国で)こなしててプライベートも含めて超激動な一ヶ月間でした。友人からは負担が大きいからマージン率調査は先に延ばせとアドバイスしてくれたものの、「去年も1月にやってるんだから今年も同月にやらなければ意味がない」などと一切耳を貸さずに強行し、久々に自分で自分の頭がおかしいと思いました。なお以前に同じことを思った体験はこの時の体験です。
 しかも二回目の引っ越し先ではネット回線がなかなか用意できず、しかも苦労して引っ張ってきたのは2M/bpsという「こんな回線存在するの?」と疑うくらい貧弱なもので、こんな回線速度にもめげずにマージン率を調べるため各社ホームページ回ったというのは我ながらよくやったなという気がします。しかもスケジュール押してたから実質、先週土日の二日間で三分の二位調べたし。

 ただ、いい意味で常に緊張感があったためか精神的、体力的にダウンすることはなく、むしろかなりエネルギッシュに次々と襲いかかる問題を蹴り倒しながらクリアできたという実感はあります。もっともネット回線に関しては以前の記事でも詳しく書きましたが本当に有り得ないほどのトラブルに見舞われ続け、この間に友人の上海人には何度も泣き言を言っては愚痴を聞いてもらいました。向こうもいい迷惑だったでしょうがその度に、「大丈夫、なんとかなるって( ´∀`)」と慰めてもらい、彼にはマジ感謝してもしきれません。
 でもこの前彼と一緒にご飯(湖南料理、めちゃ辛かった)食べに行ってお勘定する際に半額の120元(約2400円)出したら、「いつもおごってもらってるから、いいって今日は( ´∀`)」とお札を突っ返されたところ、返ってきた手元のお札は20元だけで、「だったら普通に120元受け取りゃいいのに(・∀・;)」と思ったのはここだけの内緒です。