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2015年8月31日月曜日

夏の終わりに

 本日は8月31日ですが、言うまでもなく小中高生にとっては夏休み最後の日です。中国でもそれは同じようで、今日昼ごはんに味千ラーメンへ行ったら最後の晩餐を食べに来たかのような子連れの母親がやけに多かったような気がしました。

 私自身は夏休みだからと言って特別何か思い出があるわけでもなく、夏よりも冬の方が昔から好きだったのでこれといって何か思い出すことも懐かしむこともないわけですが、「Yahoo知恵袋」の質問を見ているとやたらと宿題の回答を聞くような、中には読書感想文を書いてほしいというような質問が多く、こんなところで聞いてる暇あったら自分で調べて書けばいいのにとちょっと呆れ気味で見ています。

 話は自分の話に戻りますが、自分にとって一番楽しい夏休みはいつだったかとなると大学一回生の頃の夏休みが一番楽だったという気がします。この年はほぼずっと実家に帰省して、バイトも少しやってお金にも余裕があったので暑い日は家の中でゲームをして、やや涼しい日は自転車をこいでたり、ブックオフで古本漁ったりしてのんびり過ごしていました。当時遊んだゲームはプレイステーションの「バロック」、「真・女神転生」が中心で、なんか当時としてもレトロなゲームをやってました。

 この間他にやったこととしてはバイト先で知り合った人にくっついて行って初めてコスプレ会場を訪れたことと、あと小説の新人賞に応募しようと小説を書こうとしたもののこれはという作品が浮かばず断念したこと、そのほかだと家族が出払ったので火星人というあだ名の友人が泊まりに来てなんか二人でゲームしてたくらいです。その火星人とは現在連絡を取り合っていませんが、彼は中学と高校の同級生でしたが彼の家庭は母子家庭で、特段話題にすることはしませんでしたが周りも知っていて特に大きく振れるようなこともありませんでした。
 ただ一回、ひょんな偶然か保険の授業の最中に先生が、「お前ら父ちゃんとか急に倒れたらどれだけ大変変わるか。うーんとそうだな……」と言って生徒を見回しはじめて、火星人に当たったらちょっと空気悪いよなとか思ってたら案の定火星人がドンピシャで当たって、「すいません、うちお父さんいないです」と軟らかく返事したので先生も、「おお、そうか」といってほかの人に当てて聞き直したことがありました。

 その大学一回生の夏休み、別の大学に通っていた火星人でしたがうちに泊まりに来た際に向こうからちょっとこの辺の話をして、どうやら物心ついたころから母子家庭だったということを教えてくれました。ただうっすらと、両親らしき人物が喧嘩をしているような場面が記憶にあり、恐らく何らかの形で離婚したのではないかと一回だけ洩らし、私もここに書くまでその火星人の話を一度としてほかの人間に漏らすことなくこれまで来ました。
 なんでまたこんなことを急にここで書こうと思ったのかというと、たまには日記的な記事を書いてみたかったのと、現時点であれば火星人が特定されて彼を困らせることもないし、彼自身も特段秘密にしていたわけでもなかった態度だったので、夏の終わりにふと普段しない会話を互いに交わしたという思い出を残してみたかったからです。

 なお火星人の電話番号は携帯のアドレス中だと「火星」という表記で記録していましたが、私の携帯電話を盗み見たサークルの先輩が着信履歴に「火星」と書かれてあるのを見て、「なんやお前、火星と交信しとったんか!?」とマジで驚いていました。

2015年8月30日日曜日

ホンダはハイブリッドを継続するのか?

 日本から友人が来ていたので今日はその友人に上海を案内していましたが、あるお土産屋で天津甘栗が売られているのを見たその友人は、「(天津の爆発事件で)これ身体に悪そうだし、嫌いな上司に送ろうかな」と検討していたのがじわじわ来ました。
 話は本題に入ってまた興味ない人には全く面白くない自動車業界ネタですが、個人的な見解として日系自動車大手のホンダ(本田技研)は今後もハイブリッドエンジンの開発・生産・販売を継続するのかについて密かに疑問視しています。今日はその理由とホンダが置かれている現況をいくつか整理した上で記事を書いていきましょう。

 まず私がこの着想を得たきっかけは自動車関連企業に勤めるかなり詳しい人から、「ホンダも日産も今まであまり手を付けてこなかったターボエンジンの開発に本腰を入れ始めた」という一言からでした。ここで出てくるターボエンジンという言葉ですが、この意味は寿る愛のターボエンジンではなくいわゆるダウンサイジングターボを指しており、詳しくはよそのサイトなどで見てもらいたいのですが、燃費効率化の手段として近年は自動車のエンジンに小型ターボユニットを組み合わせるという手法が広がっており、こちらの研究開発にホンダと日産が着手し始めてきたということです。
 なおこのダウンサイジングターボに関して言えば欧州の自動車メーカーが先んじており、日系においては厳密な意味では異なりますがことターボエンジンにおいては三菱自動車が間違いなく最も研究が進んでおり、次点にはディーゼルとの組み合わせで大成功したマツダが来るかなと素人的に思っています。なんで三菱自動車がターボで進んでいるかっていうと、親会社の三菱重工がこの方面において第一人者だからです。

 話は戻りますがホンダがダウンサイジングターボに取り組むというのは世界的な潮流からわかりますが、その一方で気になるのはもう一つのエンジン開発の潮流であるハイブリッドエンジンです。この方面では言うまでもなくトヨタが第一人者でそれに追いつこうとホンダはフィットHVという車種を出してそこそこヒットしましたが、2013年に発売したモデルチェンジ後のフィットHVはエンジンが途中で停止するというエンジン制御システムの不具合が多発し、なんと一年ちょっとで合計五回ものリコールを出してしまいました。このリコール原因ははっきりしており、エンジン始動時にモーターだけで駆動するゼロスタートという機能を搭載したため(従来は始動時から常にエンジンが動いていた)で、トヨタが20世紀に量産で実現していたシステムをようやく導入した所であっさりぼろが出てしまいました。この多発したリコールの対応のためホンダは新車投入がズルズルと伸びていしまし、最近大分掃けたと聞くものの一時期はフィットHVの在庫が恐ろしいくらい溜まっていたとも聞きます。

 このハイブリッドエンジンでの失敗経緯があったため、ホンダがダウンサイジングターボに取り組むと聞いて私は、「ハイブリッドはもうあきらめるつもりなんじゃないのか?」という考えがすぐよぎりました。もちろん両方並行して開発を続けるということも十分考えられますが、果たしてそこまでホンダの開発資金に余力があるのかというとかなり疑問で、またホンダ自体も一時期は「ハイブリッドといったらフィットでしょ!」とハエのよーにうるさいくらい宣伝していましたが最近はリコール多発の余波を受けてかハイブリッドのアピールすらほとんど見かけないくらいになり、むしろ忘れてほしいんじゃないかという気すらします。

 正直に言うと私は日系自動車メーカーの中でも断トツでホンダが嫌いです。理由はデザイン面で中国メーカーも真っ青なくらいに他社の丸パクリが多いのと、ハイブリッドとは呼べないようなしょうもない技術でハイブリッドエンジンなどと喧伝していたためですが、そうした偏見を差し置いても近年のホンダの技術低下は見て見ぬ振りが出来ないレベルです。実際一次の部品メーカーに聞いても、エンジン意外の自社開発を全てやめてしまったため自動車全体に詳しい人間がいなくて無理難題を下に向かって言ってくるとも伺っています。

 あともう一つ私が気になる点として、今後ハイブリッドエンジンが発展するのかという展望です。というのもトヨタのハイブリッドエンジンは確かにすごい技術ではあるのですが、案外根本のシステムというか仕組みは初代プリウスが出た時点のものと大きく差がないと聞いており、近年の燃費アップは電池など周辺部品の発展によるものだと聞くからです。もちろん技術なんて後年同心化するかなんて誰にもわかりませんが、ハイブリッドエンジンには今後さらに発展する伸び代あるのかというとちょっとわからないところがあります。それに比べればダウンサイジングターボの方がまだ手が付けられていない面もあるし、従来技術も応用できるので未来を感じるとしたら私もこっちだったりします。

 あくまでここに書いたのは技術的にはド素人である私個人の妄想ですが、なにかの考えのタネにもなるかなと思って、あまり他に書くネタが今日見つからなかったので一応書くことにしました。それにしてもホンダと中日新聞と野田聖子に対する批判は一切手加減ないなと我ながら思います。何この東海ライン。

2015年8月29日土曜日

野球の神と打席に立った男

 また私事ですが最近ゲームの「実況パワフルプロ野球2012」にはまっています。なんではまっているのかというと今ちょこちょこ進めているとある案件の作業を進めたくなくて現実逃避としての意味合いが強いですが、ひたすら一野球選手となって試合に出続けるマイライフというモードで遊んでます。

 今回私は所属チームにヤクルトスワローズを選びましたが、初年度こそ優勝を逃したものの毎シーズン5割6分以上という異常な数値でヒットを量産し続けたので二年目以降はずっとセリーグで優勝し続けており、でもってパリーグは毎年ソフトバンクホークスが優勝してくるので日本シリーズはもはや定例試合みたいな感じとなってきてちょっと飽きを感じてきました。
 それとこのゲーム、所属する日本人選手に比べてランダムで加入してくる外国人選手がやたら強いせいか、しばらくするとスタメンが外国人ばかりとなってこの前なんかスタメン9人中6人が外人となってもはや日本人の方がレアになってしまいました。これ明らかに調整不足だろう。

 ほかにも調整不足と感じた点について、1シーズンで68本もホームラン打ったのに特殊能力の「パワーヒッター」がつかなくって、なんやねんと思って少しやる気なくしました。もしかしたら既に「アベレージヒッター」という特殊能力を取得していたが故かもしれませんが、それにしたって毎年ホームラン王のタイトル取ってるのに「パワーヒッター」つかないってのはおかしい気がします。
 ただこの特殊能力が欲しくてひたすら狙ってホームランを打ち続けた時期があったのですが(中日の吉見選手から1試合で3本ホームラン売ってやった。ざまぁ)、一度だけ9回裏の3対6で打席が回った時、たまたま満塁だったので打てたら面白いなと思って狙ってみたら見事にお釣りなしの逆転満塁サヨナラホームランをかっ飛ばしたことがありました。ゲームとはいえこの打った瞬間は非常に快感で、ああきっとプロ野球選手もこういう喜びを感じるんだろうなと思いつつしばらく余韻に浸っていました。

 しかし事実は小説よりも奇なりというか、現実にはもっとすごいホームランが存在してたりします。プロ野球ファンならもう想像がついているでしょうが、それは近鉄とオリックスに在籍していた北川博敏元選手が2001年9月26日に打ったあの伝説のホームランのことです。

北川博敏(Wikipedia)

 北川元選手はドラフトで指名されて最初阪神に入団しますがここでは芽が出ず、トレードで放出されて2001年に近鉄に入団します。ここで当時指揮を執っていた梨田監督に勝負強いバッティングが認められて1軍入りし、「いてまえ打線」と言われたほどバッティングが好調だった当時の近鉄でも指折りのバッターとして頭角を現します。
 この年に好調な打線を背景に勝ち星を重ねた近鉄は優勝へのマジックを点灯し、9月24日の西武戦でビハインドの9回裏に北川元選手、中村元選手が連続でホームランを放ってサヨナラ勝ちしてついにマジックを1とします。そして、優勝まで残り一勝としたところで運命の9月26日を迎えたわけです。

 この日の近鉄の相手は同じ関西チームのオリックスで、序盤に点を取られた近鉄はその後も取り返すことなく5対3と3点ビハインドのまま9回裏の近鉄の攻撃に入ります。この回、近鉄は立て続けに安打が出て一挙にノーアウト満塁と絶好のチャンスへと入ります。ここで梨田監督は代打に北川元選手を送り込んだのですが、その結果はなんとお釣りなしの代打逆転満塁サヨナラ優勝決定ホームランという、もうこれ以上ないくらい感動的な一発を決めてのけてしまいました。
 このような記録は過去に例はなく、そもそもお釣りなしの代打逆転満塁サヨナラホームランだけでも45年ぶり史上2人目だったそうで、如何に北川選手が大舞台で勝負強いというのが見て取れます。本人もこの時のホームランは印象深かったようで、引退すら懸念されたシーズンだったけに「運命を変えた一発」と述懐しています。

 頭文字Dの須藤京一っぽくこの奇跡の一発を言い表すなら、「野球の神がいるとしたら、きっとこの時は北川元選手の傍に立っていたんだろうな」といったところです。その後北川選手は2012年に引退しますが、恐らく彼のこの記録と名前はこの一発でずっと語り継がれると思うとなかなか胸が熱くなる思いがします。
 それにしても、当時は野球に全く興味がなかったせいかこんなホームランがあったという事実すら最近まで知らなかったというのはなかなか恥ずかしいものです……。
ヽ(*゚д゚)ノ カイバー

2015年8月28日金曜日

日本史上最高の権力者

 今日たまたまYahooの知恵袋を見ていたら、世界史上で誰が一番権力を持っていたのかという質問があり、その質問者の方は候補としてインノケンティウス三世を挙げてる辺りはなかなか見識あると感じました。これに触発されたこともあり、世界史だと範囲が広すぎて定義も難しいと感じるので、今日は日本史上で誰が最高権力者だったと言えるのか幾人かの候補を上げようと思います。

1、足利義満
 もはや説明するまでもなく室町幕府の最盛期を築いた義満ですが、あまり知られていませんが彼は太政大臣と征夷大将軍の官位を確か初めて同時に得た人物でもあります(後世では家康もGETしてる)。将軍在世時は南北朝の統一を果たしたほか有力守護大名を次々と滅ぼし、また幕府直属の奉公衆(親衛隊)を創設するなど圧倒的な権力を握り、その権力範囲は武士としては歴代ナンバーワンではないかと思います。
 ただ逆に義満がそれほど圧倒的な権力を握ってなんでもかんでも決定していた反動からか、彼が逝去すると次代の足利将軍はどれも指導力をいまいち発揮できずズルズルと没落していくこととなります。人間強すぎると周りが駄目になってしまうという典型かもしれません。

2、白河上皇
 こちらも有名どころでおなじみの「治天の君」ですが、白河上皇については鴨川の流れ、サイコロの目、山法師(僧兵)の三つだけが思い通りにならなくて「天下三不如意」という言葉とともに語られますが、逆を言えばこの三つ以外は自分の意思でどうとでもなったと在世時から言われたほど強い権力を持っていたとされます。かつて権勢をほしいままにした摂関家の切り崩しに成功しただけでなく、後代の天皇たちですら従うほかなかったとされ、寄進された荘園の量も半端なかったそうです。
 白河上皇に限るわけではないですが、この記事書いてて思うのは日本における権力の源泉はやっぱり天皇で、その天皇を裏から操ることが時の政権担当者の必須事項だったと言えるのですが、この白河上皇は元天皇である上に現役の天皇を無視して院宣を出していた当たり、権力の源泉たる天皇を上回るというパワフルぶりだなと言える気がします。

3、天武天皇
 歴代天皇で誰が最も強い権力を持っていたかとなると、それは誰がどんな異論をもって来ようとも私の中では天武天皇で揺るぐことはないでしょう。天武天皇は甥の大友皇子と戦った壬申の乱に勝利して天皇についたため、旧来の豪族を大友皇子と共にまとめて駆逐できて彼一人でなんでもかんでも決済出来たと言われています。
 実際に「天皇」という言葉を公式に用い始めたのも天武天皇だとされ、また日本初の貨幣である「富本銭」も天武朝に発行されたとされるだけに、日本の皇室は実質的に天武天皇から始まったと言えるのではと密かに考えています。むしろ、天武天皇以前は本当に天皇家が日本の最高権力者だったのか、本当は蘇我氏だったのではと疑問に思える節もあるだけに、皇室の歴史は天武天皇からというのが私の中の掛け声です。

4、マッカーサー元帥
 一応前に三人の候補を挙げましたが、真の意味で日本史上最高の権力者といったらこのマッカーサー元帥を置いて他ならないでしょう。強大な米軍をバックに議会や憲法すら無視できるほどなんの法律的拘束もなく、余計なこと言う旧臣もなく、果てには天皇すら言うことを聞かざるを得なかったなど、どこをとってもまさに天井知らずです。実際、彼が日本にいた頃は会社内とかで指示する際によく、「マ元帥の命令である」なんて冗談が飛び交ったと聞きますし。
 よく業界ごとの最高権力者のことを、「○○会の天皇」などと表現することがありますが、「○○会のマ元帥」なんていう人はいないのかな。

 最後に一応補足しておきますが、明治以降は議会政治が成立したこともあり、歴史を跨ぐような最高権力者と呼べる人間はそれ以前と比べていなくなったと言っていいでしょう。曲がりなりにも議会に従わなければならない以上、やはり権力が制限されています。
 強いてあげるなら永田町の闇将軍こと田中角栄が議会制の中では特段大きな権力を持っていたと言えるでしょうが、民意も議会も党も全部無視して推し進める権力者は出て来れない以上、やはり昔とは違うってことです。

2015年8月27日木曜日

中国における軽自動車市場

 また本題とは関係ないですが先日Yahooニュースに出ていた時事通信の記事で、リアル不沈艦だった雪風の乗組員だった方のインタビュー記事があり、非常に興味深く読ませてもらいました。その一方で今日、新護衛艦「かが」に中国は反発するのではという記事が出てましたが、これ読んで思ったこととしては「てめー加賀さんディスろうってのかよ?」、「ボーキサイトなめんなよ」といったところで、もし何か中国が文句を言って来たらこっちのサイトにある画像を大量に送り込めばいいのではと思いました。
 ってかなんで、「艦これ」の中でも「加賀」だけさん付けなんだろう。なんとなくしっくりきますが。

 そういう軍艦トークは置いといて本題に入りますが、一昨日かいた軽自動車の話について中国の軽自動車業界について質問があったので今日はそれほど詳しくないですが私の持ってる知識の範囲で少し語ろうと思います。結論から述べると中国では軽自動車というカテゴリーの市場はなくはないですが非常に小さく、今後も伸びるかといったらあんま伸びないだろうってのが私の味方です。

 細かい話をする前に中国の自動車業界について少し解説すると、まず日本における自動車税というのは存在しません。中国では自動車を購入する際に税金が課される消費税のような形の自動車税はありますが、保有する自動車に対してかけられる資産税型の税金はなかったりします。何気に住宅に対しても資産税が基本的にないから最初知った時はほんと驚きました。
 一応、そんな消費税型の中国の自動車税では排気量に応じて納税額は変わりますが、はっきり言ってそんな大きな差ではなく、排気量の小さい小型自動車だからと言って日本市場の様に特別大きな恩恵はありません。なので自動車メーカーも小型自動車を作ることにはあまり積極的ではなく、中国では道路の舗装も悪いことから大型で乗り心地のいい車が人気となるため市場に出される車種もそれほど多くはありません。

 ただ全く売れていないわけではなく、奇瑞自動車(チェリー)の「QQ」という車は一時期爆発的に売れて中国の国民車と言われるほど好評を博しました、かつては。この車はデザインはシボレー・スパークという車をモロパクリしたものですが、パクッた甲斐あって車両価格は非常に安く、日本円にすると大体40~50万円くらいで1台購入できます。なお排気量は約1ℓです。
 この車は2010年に中国政府が販売奨励策を打ち出した時期に大変売れて、確かこの年の販売台数でトップにもなってます。しかし好評だったのは本当に一時期だけで、販売奨励策が期限切れでなくなるや否や売れ行きもだだ下がり、一回モデルチェンジして再びあの栄光の日々を狙った節がありましたがやっぱりあんま売れなかったようです。多分、地方へ行けば購入する人もまだいると思いますが、少なくとも私の周り(上海周辺)だと最近は路上でもめっきり見る数が減って、なんか古いQQを三輪車に改造したのばっか見たりします。

 一体何故QQは売れなくなったのかですが、やはり一番大きいのは販売奨励策が打ち切られたことが大きな原因でしょう。QQ自体が一般市民にも手が届く値段でというコンセプトで作られた車ですが、本当にこの車を買いたい購入層は販売奨励策なしでは購入できないほど所得が低いんだと思います。逆にQQを買うことが出来るほど所得のある層はもっといい車も買えるくらい余裕があるためQQをわざわざ選ばず、なんていうかターゲット層に対する価格と質が変な所に挟まっちゃったのが現状のように見えます。
 コンセプト自体は決して悪くはないのですが、インドのタタモーターズが作った超格安車も発売当初は話題になったもののその後の売れ行きはそれほどでもなかったと聞くだけに、案外この手の小型自動車市場ってのは優遇政策なしには成立しないものなのかもしれません。

 このQQ以外だとダイムラー傘下の二人乗り自動車メーカー「スマート」の車はまだ路上で見ますが、やっぱりこれもレアな部類です。そもそも中国は自動車に対して見栄を追及して車体の大きい車が尊ばれるのと、半端なく事故が多いため頑丈そうな車が好まれます。その点で小型自動車は最初にあげた乗り心地の点でもハンデがあるため、今後もこの市場が伸びるかといったら何かしら独自性が無ければ難しいのではという気がします。

 と、ここまで割と悲観的な予想ばかり述べてきましたが、前向きに見られる要素もなくはないです。その要素はいわゆるセカンドカーの需要で、街中を見ていても女性がやけに高級な車を運転しているところを見ることが多く、多分所得の高い旦那の車を運転しているんだと思いますが、奥さん専用車としてなら軽自動車はまだ需要があるような気がします。
 そしてもう一つ、先ほど必要だと言った独自性なのですが、そこそこ市場で独自の地位を築きつつある車種が一つあり、その名は「北斗星」といってわかる人にはもうわかってニヤニヤされてるでしょうがこれはスズキ「ワゴンR」の中国名です。

 作っているのはスズキの合弁会社で以前自分も頑張って取材したことのある昌河鈴木で、中身の装備は日本とは異なっているようで中国サイトでのカタログを見ると排気量が1ℓと1.4ℓの2タイプになってます。でもって燃費も悪いし。
 ただこの車、中国のサイトを見ていて話題に取り上げられるのをたまに見たりします。このような軽自動車カテゴリの車種が少ないというのもありますがその中でもデザインが割と洗練されている方だし、何より日系車ということで性能についても程よく安心感が持たれているようです。私も街中でたまに見ますが、小型車自体が少ない中国の道路だと一目で目を引くボディとデザインで、それでいて持ち味である広い車内スペースを鑑みると目下対抗馬がいない車種なのではと思ったりします。

 生憎ながら中国でも物凄い売れているというわけではないのですが、セカンドカーとしての価値が認められればワゴンRは売れるんじゃないかなという気がします。しかしそうなるためにはなんといっても政策の優遇が必要でしょうが中国政府がわざわざこのカテゴリーに限定して優遇策を出すことは考えづらいだけに、やはり前途は厳しいでしょう。今の所、奇瑞汽車以外でこのカテゴリーに新車を出そうとするメーカーもおらず、多分最終的にはスズキの合弁しか供給しなくなる気がします。
 ただこれは逆に言えば、軽自動車というのは日本らしい見事なガラパゴスなカテゴリーだとも言えます。前回記事でも書きましたが私は日本の軽自動車は見事な設計で素晴らしい可能性を秘めていると思えるだけに、中国市場にローカライズした軽自動車を作って新たな市場を作るような試みを是非やってもらいたいと、密かにスズキさんに期待しています。

2015年8月25日火曜日

軽自動車の仁義なきパクリ戦争

 最近見る機会減っているけど私は相撲観戦が趣味で、好きな力士のタイプは軽量級だったりします。何気に一番好きだったのは安馬時代の日馬富士でした……。
 それと関連あるかどうかはわかりませんが、車も実は軽自動車が好きだったりします。元々体格が小柄ということもあり大きな得物をぶん回すよりも体格に合ったものをフィットさせて使うという思想を持ち合わせており、なるべくコンパクトで必要以上な物を取っ払うという概念でもってこういう嗜好が出てきたのでしょう。

 ただそうした私個人の好みを置いても、日本の軽自動車は芸術品といっていい代物だと思います。機械などの設計をやってみればわかりますが、単純に図体の大きいものは簡単に設計できますが、軽自動車の様に車体が小さいものだとどの装備をどのように配置するのか、もう少し大きければあれこれ詰められるのにというジレンマに悩まされます。
 ちなみに私自身は設計をしたことありませんが、軍艦を自ら設計して戦う「ウォーシップガンナー2」というゲームでこの手のジレンマを存分に味わいました。その分、苦労して作った駆逐艦で戦うのは格別だったりします。

 話は戻りますが、単純に大きな車よりも小さな車を作る方が意外と作業は難しいです。米GMなんかその辺がはっきりしていて、恐らく設計能力がないせいでしょうか無駄に車体がでかく燃費も悪かったりします。でもって故障も多いと三重苦。
 それに対して近年んの日本の軽自動車はあんな小さな車体によくもまぁこれだけ装備を詰め込められるもんだと呆れるくらいに充実しており、変な話ですがもっと値段高くてもいいのではと思う時すらあります。まぁ数でるから部品代も安くなるってメリットもあるのですが。

 そんな日本の軽自動車メーカーときたらダイハツとスズキ、そして近年急速にシェアを高めたホンダの三社です。でもってこの前個人的に気になったのがダイハツが新たに出してきた「ウェイク」という車なのですが、この車の何がすごいかって、スズキのヒット車である「ハスラー」のデザインをまんまパクっているという点です。実際に両車のページで比較してもらいたいのですが、後発のウェイクに至っては広告サイトでのメインカラーまでカーキ色にしてハスラーと合わせるという手の入れ込みっぷりで、なんていうかほかのカラーパターンまでそっくりです。

 これだけ見るとさもダイハツがひどい会社のように見えますが、スズキもスズキで過去にパクっています。そのパクリ車両というのも「スペーシア」で、これはスライドドアからボディラインまでダイハツのヒット車両である「タント」にクリソツです。っていうかフロントデザインに至っては確実にどっちがどっちなのか見間違えるくらい似せられています。
 さらにスペーシアの何が凄いかって、ハイグレードモデルとして「スペーシア・カスタム」という、「タント・カスタム」を彷彿させるようなデザインとネーミングの車も一緒に販売しているっていうことです。っていうかお互い露骨過ぎるだろう。

 大手新聞メディアなんか上品だからこういうこと書かないけど、「ベストカー」を筆頭とするカー雑誌なんかはこういう新車が出る度に、「あれっ、どっかで見たような?」という見出しと共に紹介するのが常です。なもんだから恐らく業界関係者の間でも、「パクられたらパクリ返す」、「売れてる車をこぞってパクろう」という言葉が暗黙の了解の様になっているのでしょう。

 こうした軽自動車トップ二社の姿勢について私から一言述べると、軽自動車業界ならこれはこれでアリだという気がします。というのも軽自動車は利便性と低価格が何よりも追及される乗用車カテゴリーで、妙なブランド価値にこだわるくらいなら安くて乗りやすくて乗りたくなる車を作って売る方がメーカーにとっても消費者にとってもプラスだと思えるからです。カーデザインには流行り廃りがありますが流行っている形を追おうとするなら大体似たようなものが出来るのがオチで、それだったらまんま似せちゃうというのも一つの回答でしょう。

 ただこれは軽自動車だから言えることであって、普通の一般乗用車ではやっぱりパクリは駄目です。一般乗用車は利便性もさることながらプレミアムな価値観も同時に追求しなければならず、やはりメーカー独自の味というかこだわりを捨て去って安易な模倣に走れば消費者も案外見ていて、一時的には利益上げても長期的には見切られてしまうと思えます。
 逆に言えばデザインにこだわるということは利便性を犠牲にすること同義であって、実際に燃費とかのことを考えるとデザインへのこだわりはマイナスに働くことの方が多いです。まぁそこをどう料理するかっていうのが本来の腕の見せどころなのですが、そういうのがちゃんとできているのは今の所マツダくらいかな。

 なお軽自動車のパクリ戦争が始まったのは何も最近ではなく、歴史を辿ると三菱自動車が「トッポ」というトールワゴンの軽自動車を出したことによってどこもこぞって車高を高くして、現在ではこの形が一種のスタンダードになっています。三菱も一時期は軽自動車業界の雄でしたが、最近は前述の三社に大きく水空けられててちょっと立場ないのが残念です。

 最後に私のカーデザインの好みを話すと、一番デザインが好きなのは昔にも一回書きましたがダイハツが以前に出していた「ストーリア」の初期型で、シンプルイズベストを極めた究極の形だと評価しています。尖がったデザインだったら三菱の「FTO」、ランエボだったら須藤京一が乗っていた「エボⅢ」が好きです。
ヽ(*゚д゚)ノ カイバー

昨日今日の世界同時株安について

 こういってはなんですが、これほど株価が上下していると見ていてなかなか楽しめるものです。すでに報道されている通りに昨日今日とほぼ世界全ての市場で株価が大幅下落しており、東京市場も日経平均株価が二日間、というより先週からを含めると2万円台から17000円台へと急激な落下ぶりを見せており、トレーダーを中心に少なからぬ動揺が広がっております。

 今回の同時株安ですがその震源はほかでも報じられている通りに中国であるということは間違いありません。私なんかその中国製造業現場にいるもんだからよくわかりますが、やはり2次産業を中心に先行きを不安視する意識は高く、それが諸々の経済指標にも出始めて不安が溜まっていたのが今回の大幅下落の背景として存在しています。ただそれ以上に私が致命的だったと思うのが先々週に突然行われた人民元の切り下げで、根拠はないに等しく私の勘でしかありませんが、中国政府がいきなりあれやって、「あ、マジでヤバいんだ」と世界中のトレーダーが感じたことが一番大きな引き金だったのではと個人的に考えています。結果論ですが、利下げを行ったところで何も効果はなかったと言ったところですが。

 一応、友人の情報によると中国政府は先ほど追加利下げなどの金融緩和策を取ったそうですが、それらが果たして効果があるのかというと疑問です。恐らく株価はこのまましばらく下がり続け、争点としては今日上海株価指数が3000ポイントを切って2000ポイント台に突入したとのことですが、2000ポイントを切るまでに立ち直りを見せるか否かじゃないかと思います。私個人としては今の中国の株価は2600ポイントくらいが適当な数値じゃないかと思いますがね。

 あと株価の下落ばかり大きく取り上げられていますが、個人的に懸念しているのは通貨の下落です。日本円も著しく下落を続けていますが先々週の中国の利下げ以降、アジア諸国の通貨も下落し始めた聞いており、もしそれが本当ならまた世界全体でデフレ傾向に陥るのではないかというのが一番の懸念点です。仮にそうなれば世界全体で経済が悪くなり、またデフレ回復を目指す日本にとっては非常に大きな痛手になってしまうのではないかとも思え、こっちの方に注視が必要かなと個人的に考えています。

 あと本題とは関係ありませんが、円安が進む中で下記のニュースを見ているといろいろ思うところがあります。

トヨタ、部品各社に値下げ要請再開 競争力確保へコスト減(日経新聞)

 どうせやると思ってたけどさ、円高の時にそれを理由に使って散々コストダウンを要求して、円安になって馬鹿みたいに利益上げながらまたコストダウンを要求する当たり、この会社は相手の痛みがわからないサイコパスみたいな奴だなと呆れてきます。このニュースは先週に友人からこれを見ろとばかりに送られてきて、翌日に客先訪問をする際に同僚に話したら、客先の社長もこのニュースを切り出してきたのでタイムリーでした。っていうか人の痛みがわからない奴は、いっぺん死ぬほど痛い目に遭ってみた方がいいよ。