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2011年9月29日木曜日

山岡議員へのマルチ商法団体からの献金疑惑について

 当初は放っておくつもりでしたが、与党ではなく野党への批判として一筆書いておくことにしました。

山岡消費者相、マルチから献金=05~08年に250万円超(時事通信)

 ちょっと旬が過ぎたニュースですが、民主党の山岡賢次議員に詐欺商法の定番とも言っていいマルチ商法関連の企業団体からの献金が発覚し、野党などから現在批判が起こっています。ただ今回の野党の批判については私は内心如何なものかと思っております。というのものたった今私は「発覚した」とは書きましたが、発覚以前にこんなの大分前からわかりきっていたことだからです。

 山岡議員がマルチ商法団体と深い仲にあることは数年前から大きく報じられており、私自身も二年前くらいにわざわざ「陽月秘話」で記事にしたのをはっきり覚えてます。おまけに山岡氏の楽しいところはそのマルチ商法団体の会合に堂々と出席し、まぶしいくらいの満面の笑顔で、若い皆さんには是非頑張っていただきたいなどと発言するのがしっかりと動画に残っているという点で、私もYoutubeで実際に鑑賞しましたがどうしてまだ刑務所に入んないんだろうと当時に感じました。

 それが何故今になってこれほど大ごとになるのか、もちろん悪いことは悪いことだけどちょっと腑に落ちない点が数多くあります。恐らく今回の野田内閣成立とともに山岡議員が消費者相になったことが原因かもしれません。最初これを見た時は私も野田首相の一種のギャグかと思いましたが、それにしたって野党だって知ってたくせに今更急に糾弾するというのもなんだかという気がします。ただでさえ今は震災復興の対応などで忙しい時期なんだし、こんなしょうもない小物のスキャンダルで大騒ぎするくらいなら法案の審議に時間をかけるべきです。無論、山岡議員には相応の処分は必要で、受け取った献金は全額返金するようですがこの際だし消費者相も辞任してもらい、なおかつ受け取った献金額の二倍以上を震災地域へ寄付するくらいで放免にしたっていいんじゃないかと思います。それにしても自民党など野党も野党で、こんな小物相手にむざむざ時間をかけて、やるんだったら一撃で潰せよなと言いたいもんです。

 ついでに書くと、先日小沢一郎の秘書らに対して政治資金収支報告書虚偽記載の罪で有罪判決が下り、野党側は小沢本人の証人喚問を求めていますが、これについては適切な対応だと思います。というのも小沢本人が前に呼ばれるなら行くと言ってそのあとは何かと理由を付けて逃げ回っており、明らかに行きたくない理由があるというのが見え見えだからです。第一、この小沢問題でどれだけ国会が空転してきたのか、空転した時間を政策審議に充てればどれだけ有効に使えたのかと思うともったいない限りで、ここで見逃してもまた後から再燃するのは目に見えているのですからここらで決着を付けるべきでしょう。
 ただ小沢への疑惑についてもうひとつ、山岡議員同様にいざ追い込まれたところでまたあの件が大ごとになったりするんじゃないかという懸念があります。その件とは既に過去の記事で書いているので敢えてここでは書きませんが、個人的には西松建設問題以上に悪どいというか許せない所業ではありますが、小沢の政治生命が死んでからでも落とし前をつけさせればいいので今の段階で取り上げるべきかと言えば、もう少し寝かした方がいいような気がします。

2011年9月28日水曜日

諸葛亮の軍才の評価

 このところネットの掲示板にて、「諸葛亮孔明は軍才があったのかどうなのか」という議論をよく見かけるので、三国志好きが昂じてこうして中国で働くところまで来てしまった私としても一家言あるので、今日はこの話題について取り上げようかと思います。

 諸葛亮とは三国志マニアには言うまでもない、劉備と並ぶこの壮大な物語の主人公で現代においても軍師とくれば彼の名が第一に上がってきます。それでこの諸葛亮の軍才があるかないかという議論ですが、この議論における諸葛亮とは史実における諸葛亮で、多少の脚色が含まれる「三国志演義」における諸葛亮ではありません。演義における諸葛亮は文字通り神変万機の才能でありえないほど戦争に勝ちまくりますが、史実の諸葛亮は兵を率いたことは実は少なく、実質的には南蛮平定と北伐の時しか実績はありません。またその実績も南蛮平定には成功しているものの北伐は五回繰り返したにもかかわらず結局は司馬懿に阻まれ失敗しており、そのことを指して歴史書の「三国志」を書いた陳寿は、

「毎年のように軍隊を動かしたのに(魏への北伐が)あまり成功しなかったのは、応変の将略(臨機応変な軍略)が得意ではなかったからだろうか」

 という具合に諸葛亮の評価を残しております。それで肝心の軍才への議論についてですが、実はこの陳寿が書いた、「臨機応変な軍略が得意でなかった」という一言を巡る解釈議論と言っても差し支えありません。この陳寿の言葉に対し、「諸葛亮は政治家としては優秀でも、奇策が全く使えない、軍人としての才能がない人物だった」と言う人もいれば、「政治、軍事ともに優秀でも、敢えて一点足らないところを挙げれば臨機応変な軍略なだけだったのではないか」という人もおり意見が分かれております。どちらの意見が優勢かと問われるならば、私見ではやはり諸葛亮は軍事的才能には乏しかったと主張する人の方が多い気がします。

 そんなこの議論に対する私の意見ですが、結論を言えば私は諸葛亮は軍事的才能にも非常に恵まれた人物だったと評価しています。根拠は実に単純で、陳寿の評価なんて関係なくあの司馬懿と渡り合ったというこの一点に尽きます。

 既に上述しておりますが、諸葛亮は魏打倒を目指して生涯に5回も北伐という遠征を行っています。この北伐で諸葛亮に立ち塞がったのは後の新王朝となる晋の礎を築いた司馬懿仲達でしたが、諸葛亮の北伐に対して司馬懿は徹底的とも言うくらいに消極的に戦闘を避け、長期戦に持ち込むことで国力に乏しく補給路に難のある蜀の弱点を突き、結果的には見事撃退に成功しております。こうした戦い方を取ったことからよく司馬懿はビビりだ臆病だなどと講談で語られることが多いですが、実際の司馬懿はこんなもんじゃなく非常にえげつないほど戦争が上手です。

 諸葛亮が没して間もなく魏では北方の遼東で公孫淵が大規模な反乱を起こしますが、討伐に赴く前に司馬懿は明帝に対し、「往路に100日、復路に100日、戦闘に100日、その他休養などに60日を当てるとして、1年もあれば充分でしょう」と言って、事実この通りに戦闘を運んであっという間に討伐を達成しております。しかもこの討伐で司馬懿はかつての諸葛亮相手の時は一体なんだったんだというくらいに積極的に攻撃をかけ、あまりの苛烈さに音を上げた公孫淵が降伏の使者を送ったところ、

「戦には五つの要点がある。戦意があるときに闘い、戦えなければ守り、守れなければ逃げる。あとは降るか死ぬかだ。貴様らは降伏しようともしなかったな。ならば残るは死あるのみよ」

 というダーティなこと言って使者を追い帰し、この言葉の通りに公孫淵を含め敵軍を皆殺しにしています。
 またこれ以外にも明帝死後に実権を握るため起こしたクーデターでも電光石火としか言いようのない果断さで、思うに司馬懿は持久戦も速攻も自在にこなせるほど用兵に長けた人物だったと私は考えており、戦争指揮だけを見るならば三国志中で最強の人物かもしれないと思っています。

 それほどまでに用兵に長けた司馬懿でしたが、こと諸葛亮が相手だった時だけは徹底的に戦闘を避けております。これにはもちろん先程に挙げた補給路が弱いなどといった蜀の弱点を突くという戦略に依る面が大きいでしょうが、もし相手が並みの将であれば司馬懿の実績を考えると速攻で完膚なきまで撃破していたのではないかと思います。逆に言えば、消極策を取らざるを得なかったほど諸葛亮が司馬懿にとって手ごわい相手だったということではないでしょうか。
 以上のような観点から、私は諸葛亮はやはり軍才にも非常に恵まれた人物であり、陳寿のあの評価は「唯一ダメだしつけちゃうと」ってな意見だったと思います。もちろんこの陳寿の評価は的外れなものではなく、いい点を突いていると思いますが。

 最後に司馬懿の諸葛亮に対する評価ですが、諸葛亮が没し退却した後の蜀軍の陣営を見て司馬懿は、「まさに、天下の奇才」と諸葛亮について述べたと言われております。私と三国志のファーストインプレッションはご多分に漏れず横山光輝作の漫画版「三国志」でしたが、この作品の中で最も好きなシーンを挙げるとしたらまさにこの司馬懿がつぶやくシーンが挙がってきます。英雄、英雄を知るというべきか、作中で諸葛亮が死んでかなり呆然とする中でのこの司馬懿のセリフは改めて諸葛亮の凄まじさを強く認識させるもので、コマ割をやらせれば横山光輝は日本一と言われただけにその描き方は秀逸でした。

 なお、これ以外で横山光輝版「三国志」で印象に残ったシーンを挙げると、一瞬だけ董卓のヒゲがなくなっているシーンがあります。なんでヒゲだけといろいろ考えさせられるのですが、人物を書いた後でいつもヒゲだけ付け足していたのだろうか……。

2011年9月27日火曜日

上海市地下鉄10号線の衝突事故について

列車追突、260人負傷=設備故障で減速運転中―邦人2人が軽傷・上海地下鉄(時事通信)

 日本でも速報が流れたと聞くので既に知っておられるかと思いますが、本日午後3時頃に上海市地下鉄10号線にて列車衝突事故が起こりました。事故の詳しい詳細については上記リンク先の記事を確認してもらえばいいですが、さすがにこの前に起きた高速鉄道の衝突事故ほど大参事ではなく、複数人のけが人が出たものの死傷者は出ていないと現在のところ発表されております。もっとも新華社のホームページでは事故現場の写真が公開されておりますが、昼間見た時には床を血まみれにして人が倒れている結構どぎつい写真があったのにいつの間にかなくなっております。

 さてこの衝突事故ですが、具体的な原因についてはまた管制やら信号トラブルだと言われておりますが、前回のあの高速鉄道の余韻冷めやらぬ中の衝突事故なだけに中国鉄道部(実際の運営は上海市営地下鉄だけど)としては汚名に汚名を重ねている状態と言っていいでしょう。もっともこんなことを言えば黒塗りの事故報告書をしれっと平気で出す我らが東電もあまり人のことを言えないのですが、今後はますます世間の目も厳しくなって政府としても解体作業に入りやすくなるんじゃないかと思います。

 なお今回事故が起こった地下鉄10号線ですが、日本の報道でもいろいろ書かれている通りに去年の万博の時期に開業しただけあって上海市の地下鉄としてはかなり新しい路線です。日本でいえば山手線、京浜東北線にあたる3、4号線と比べると車両や駅舎のきれいさには目を見張るばかりで、普段乗っててもあまり悪い印象は覚えません。ただこの10号線は今回の事故が起こる以前にもトラブルが相次いでおり、確か7月の高速鉄道の事故が起きてすぐには原因不明で車両が動かなくなったことがあり、また衝突事故でもやらかすんじゃないのと当時は冗談で周りと言い合っていました。
 別に隠すことでもないのでもう言ってしまいますが、実は私の住んでる部屋はこの10号線沿いにあり、通勤は徒歩で行っているものの市内で地下鉄を利用する際には必ず乗り込む路線です。私の部屋の最寄り駅は今日事故の起きた豫園駅と老西門駅からは離れていますが、さすがに普段から使っている路線なだけに少し嫌な気分にさせられます。

 そんなもんだから今日会社帰りに近くの10号線の駅を見に行ったところ、当然と言えばそうですがシャッターが下りたままで入ることすらできませんでした。あと道路を見た限り、あくまで私の印象ですが地下鉄を忌避する人が出たのかいつもより混雑した感じを覚えました。
 ついでに書くとこのところ中国ではエレベーター、エスカレーターでも事故が相次いでおり、こちらは基本的に製造メーカーは海外企業ながらもいろいろと品質が不安視されております。そんなエレベーターの事故の中でひときわ目を引いたのはあるオフィスビルのエレベーター事故で、なんでも13階から急に落下し始め一旦は9階で停止したものの、またすぐ落下をはじめ1階まで落ちてきたそうです。幸いというかこの事故でも死者は出ませんでしたが、一回停止してまた落ちるって、中にいた人はとんでもなく怖かったはずでしょう。今度上海にもディズニーランドが出来ますが、下手なアトラクションを作るよりかはこういったエレベーターを置いとくだけでもスリルは味わえるのではと噂になりました。

2011年9月26日月曜日

中国政府と人民解放軍の思惑の違い

 ちょっと古い話ですが、今年に防衛相が出した最新の防衛白書で、「尖閣諸島や南沙諸島などでの近年の中国軍の動きには警戒する必要がある」との記述を盛り込んだところ、こちら中国現地の新聞でもその内容が大きく取り上げられました。ただ断言してもいいですがこうした中国軍こと人民解放軍を警戒する記述が出たことで一番喜んだのは、ほかでもなく人民解放軍自身です。

 前もって言葉の説明だけしておきますが、建前上は中国という国に軍隊はありません。一般に中国軍と呼ばれているのは人民解放軍のことですが、これは中国共産党が保有する軍のことで中国という国家の軍隊ではないという風に解釈されております。ただ実態的には中国軍と言っても変わらないことに中国、そして共産党自身もわかっており、近年は徐々に「中国という国家の軍隊」との解釈の仕方を本人らで広げております。

 それで本題に戻りますが、一体何故人民解放軍は自衛隊が自分たちを警戒すると喜ぶのかですが、理由は単純明快で予算が得られるからです。その理屈というのも、

 自衛隊が警戒している→彼らに対抗せねば→もっと予算が必要アル→政府は拡大予算を組むアル!

 という解釈につながっていくからです。
 こういってはなんですが、自衛隊はそういう存在ではないとはっきり言えるものの、軍隊というのは戦争があってなんぼです。戦争がなければどんどん予算は削減される一方、有事や危機感が高まれば逆に予算はどんどん増え、好き放題に使うことができます。戦前の日本も戦争に突入した一つのきっかけとつしてロンドン海軍軍縮条約に身の程知らずの旧帝国海軍が異を唱えたことが大きな要因となっておりますが、こういったことは多かれ少なかれどこの国にも共通しています。何気に最近のアメリカでも中国脅威論が言われるようになったのは、アメリカ軍が予算獲得のための一つの方便として使うようになったからで、本音では中国の軍隊なんて屁とも思っていないという話も聞きます。

 さてこのような中国軍が予算を獲得したいという仮説ですが、これに対する中国政府の本音はというと、どうも私が見ている限りですと逆に軍隊を削減し軍事予算を減らしたいという思惑が見え隠れします。共産圏の軍隊というと北朝鮮の軍隊がある意味最も身近ですが、同じ共産圏でも中国と北朝鮮での軍隊への見方というのは大きく異なっており、中国では政府はおろか一般国民でさえも軍人を低く見ております。ひどい中国人なんか軍隊なんてクズの行くところだと広言してはばかりませんし、現実に退役した軍人には世間の蔑視があるため再就職もままならないそうです。
 そんな風に見られている人民解放軍ですが、兵員数は北朝鮮と同じく100万人を超えており、世界的にもかなり大規模な軍隊です。た現代の戦争は兵隊の数が戦局に与える影響は少なく、中国もどちらかというと雇用を維持するためにこんな大規模な兵員数を維持しているのが本音で、可能ならば縮減して余ったお金を経済投資に使いたがっているという話を聞きますし、私もこの説を支持します。

 そのため現在の政府と人民解放軍の思惑は、予算を減らしたいのと増やしたいので真っ向からぶつかっており、決して仲のいい関係ではありません。それ故に起こったのが昨年の尖閣諸島沖の漁船衝突事故とも言われ、あの事件で事態を大きく見せることが人民解放軍にとって有利に働くことから裏でいろいろ画策していたのではないかと、あくまで噂の範囲ですが言われております。

 ではこうした中国に対し、日本はどのような態度を取るべきなのか。はっきり言ってバランスの取り具合で非常に難しく、中国を警戒する発言をすればするほど中国で軍事予算が拡大する可能性があり、かといって無警戒だと好き放題にやられた上に国内世論もヒートアップします。一番無難なのははっきりとしたライン、たとえば領海内に艦船などが侵入することがあれば中国限定の輸出規制対象品リストを作るとか、こっちまで来たら徹底的に対抗するという線を作りそれをはっきり見せることじゃないかと思います。どちらにしろ、あやふやな態度が一番問題です。
 もう一つは、中国政府の人間と強固なパイプを作り、縮軍のお膳立てを支援するのもありかもしれません。中国の国民世論ですら人民解放軍への批判が高いのですから、「中国は軍にたくさん予算をかけて経済投資が遅れているので日本は助かっている」などと、誉め殺すような意見を公で発表してみたら、どんなことになるのか想像するだに面白いです。

2011年9月24日土曜日

上海でのペット商品博覧会

 先日に新華社のページを覗いていたら、とある広告が目についたので早速今日行ってきました。その広告というのも、今日のお題となっているペット商品博覧会です。



 なんで仕事でもないのにこんなのに、しかも入場料50元(600円)を支払ってまで行こうとしたのかというと、めっきり触れていない猫などの動物におさわり出来るかもしれないという不純な期待からでした。結論から言うと確かに少しはおさわり出来たものの、やはりペット商品を扱う企業の展示がメインだったので思っていたほどは出来ませんでした、残念。

 それで展示会の内容ですが基本的には中国国内外のペット関連商品を取り扱う企業がブースを繰り出し、上記写真のように日系企業からも一部参加がありました。またペットショーとかコンテストもあるので自慢のペットを連れてくる飼い主もたくさんいましたが、その連れてこられた動物の多くは犬で、私が期待していた猫となるとほとんど見ることができませんでした。そりゃ外に連れてくるとなると犬と猫とでは大違いですし、ペット比率から言っても犬が圧倒的に多いんですからそりゃそうだったのですが……。

 ちなみに中国のペット業界についてちょこっと解説すると、はっきり言って滅茶苦茶伸びてます。自分の上海人の友人もよく、「犬飼いてぇ」と漏らすほどで、街中を歩けば犬を散歩させている中国人は上海市内にはたくさんおります。敢えて深読みするなら一人っ子政策のせいで愛情の向け先や兄弟といった対象に物足りなさを感じているのかもしれませんし、可処分所得の増大とともに無許可で犬を飼う世帯は数多く存在しています。飼われる犬種は基本的にはトイプードルやコーギーなどといった小型犬が圧倒的多数で、大型犬ともなるとなんか欧米人が連れて歩いている印象があります。

 話は戻り展示会ですが、犬だったらいくらでも見つかるものの目当ての猫はほとんど見当たらず空振りを打ったかとあきらめかけたところ、珍しい猫種のブリーダーがブースを展示しており、ようやく見つけることができました。



 そこが扱っていたのは写真を見た通りの豹柄の猫で、人が出来ているのかたくさんの客にフラッシュをたかれつつも悠然と眠りつつ対応していました。人見知りの激しいうちの実家の猫だったら、こんな環境に置かれればすぐに発狂するだろうことを考えると猫にも違いがあるんだなという気がします。



 そこのブースで目についたのは上の写真の猫ですが、何故だかガラス窓とトイレの間の狭い隙間に体を埋めていました。猫自体が狭い空間に体を密着させるのが好きですが、これだけ衆人環視のなかでも平然とやってのけるここの猫たちには本当に感心させられます。

 ちなみに今回の展示会では大小さまざまな猫用ベッドも展示されておりましたが、うちの実家でも一回布でできたものを買ってきたことがありましたが、いざ置いてみるとうちの猫はその布ベッドには一切興味を示さず、布ベッドが入れられていた段ボールをしばらくの寝床として愛用し始めました。そんな経験があるもんだから、多分猫とかだってさらさらした感触より段ボールのざらざらした感触のが好きなんだろうからいっそ段ボールで作った方が売れるんじゃないかと思っていたら、



 海外のメーカーでしたけど、本当に段ボールで上の写真みたいなのを作って売っていました。世の中、思い浮かんだことというのは既にほかの誰かも思い浮かべ、中には実行されているんだな。

2011年9月23日金曜日

夢売る貧困ビジネス

 ネットの情報をそのまま鵜呑みにするのもどうかと自分でも思いますが、以前に覗いたある掲示板に書かれていた内容が前からずっと気になっております。その掲示板では声優養成学校に通っていた方の体験談が書かれていたのですが、通っていた本人は声優になる気はなくあくまでボイストレーニングとして通っていたもののそこそこ筋がよく、最初の養成期間を終えて準プロダクション兼中級養成学校へ上がる際に授業料が免除扱いとなったそうです。その中級養成学校では声優としての指導が行われる傍ら実際に仕事やオーディションも割り振られたりするようなのですが、所属する生徒はみんながみんなこのような授業料が免除されるわけでなく、やはり圧倒的大多数はそこそこのお金を支払いながら所属し続けるそうです。なおその方は授業料免除が決まった際の説明で、ほかの生徒には言わないようにと口止めされたそうです。
 そんな声優学校のシステムについてその掲示板を書いていた方は、学校側は授業料免除扱いとなるような一部の才能のある生徒に仕事を割り振ることで、「所属してさえいれば声優になれる」という希望を他の生徒にも抱かせ、実際にはほとんどなれる見込みのない生徒を金づるとして所属させ続けている現状があると言っていました。この方の指摘について話を聞く限り私もほとんど同感で、これも一種の貧困ビジネスかと思いました。

 全体構造を考えればごくごくわかりやすく自然なことなのですが、声優業界における需要と供給の割合は圧倒的に供給側が大きく、本当にごく一部の人間を除けば生活していくことはおろか声優として仕事をもらえる可能性すら非常に低いです。にもかかわらず声優学校の入学者募集広告は後を絶たず、言うなれば声優学校は文字通り生徒に対して技能ではなく夢を売っているんだろうという気がします。別にこうした声優学校のやり方を批判するつもりは私はありませんし、考えようによってはうまい商売だなと感心します。お金払って通っている生徒にも全く声優になれない可能性がないわけでもないですし。

 ただこれとは別にちょっと自分が気になるというか目につく学校として、就職難の時代ゆえに内定獲得講座なるものがそこそこ流行ってきている点です。人の商売なんだしこういったことに口出しするべきなのかどうか少し悩みますが、ちょっとこの内定講座については懐の苦しい人間を騙して儲けているような気がするので見ていてあまりいい気分になりません。通っている人間からすれば多少お金がかかるとしても内定を得られる可能性が高まるのだからと納得されているのかもしれませんが、社会全体で考えるとこんな講座が世の中に対してどんな貢献があるのか、はっきり言いますが全く価値がありません。受け皿となる雇用が増えなければ根本的な解決にならないのに、こういう中間で搾取するようなビジネスがあっていいかとなると私はこれを否定します。

 前にもある評論家が貧困者の不安心理につけ込む、経済学者の森永卓郎氏を名指しして貧困ビジネスが横行していると批判しており確か陽月秘話時代に私も取り上げましたが、実際には何の効果がないにもかかわらずさも貧困から脱出できるような夢だけを売るようなビジネスはやはり否定するべきだと思います。もちろんお金持ちだったら多少騙して商売していいわけじゃないですが、苦しい人間をさらに苦しい立場に追い込みかけないようなビジネスは実際に存在しており、それも2000年代に入ってから急激に増えております。
 具体的にどう否定するのか私にもいい案はありませんが、「貧困ビジネス」という言葉をもっと普及させ、みんなが認識するようになれば多少は減らせるのではと思い、今日ちょっとこんな記事を書いたわけです。それにしても、高校卒業とともに声優学校行った小学校の同級生は今どうしてるかな。

2011年9月22日木曜日

リーマンショックから三年後の国際社会

 このところ一応最も専門だと考えている国際社会ネタを一切書いてないので、当たりさわりのないネタとしてリーマンショックからちょうど三年経った現在の国際状況について私感を書こうと思います。

・【コラム】「リーマンショック2」封切り間近(ウォールストリートジャーナル)

 今回この記事を書くきっかけとなったのは上記リンク先の記事ですが、なかなかよくまとまっていて読んでて強く感心しました。ただ見出しについては「リーマンショック2」ではなく私なら「リーマンブラザーズ2」ってしますけど。これだと任天堂に怒られるかな。
 それはともかくとしてまず現在の状況ですが、そもそもの発端となったリーマンショックから三年経ったにもかかわらず状況は好転するどころか悪化しています。さらに上記のウォールストリートジャーナルの記事でも「二回目のリーマンショックが起こる可能性が高い」と指摘しており、仮に起こった場合その規模は前回のリーマンショックを上回るとしています。ちなみにこの意見に対して私もほぼ同感です。

 まず現在の世界経済を取り巻く状況で何が一番よくないのかというと、ギリシャやイタリアを筆頭とした政府債務の悪化、いうなれば国家財政を破たんする国が続出していることです。あながち日本も人のことを言えませんが欧州諸国は日本以上に絶望的なまで債務が増え続けており、どうにかしようとギリシャのように資金を注入したもののほとんど効果が上がらず悪化を続けています。実際に詳しく調べてないのであてずっぽうで言いますが、ギリシャが一度はドイツなどEU内の先進諸国に助け舟を出してもらったにもかかわらず再建できなかったのは、改革というか頭の切り替えが完全にしきれなかったことが原因じゃないかと思います。そう思うのもかつての日本もそうで、しばらく待てば嵐が過ぎると言っては小手先の改革でどうにか済まそうとしていた時期があり、危機感が足りなかったんじゃないかと思います。外科でたとえるなら、本来なら組織を切断しなければならないところを止血程度で止めようとしたといったような感じです。

 しかも仮にこれがギリシャとか、言っては悪いですが中流国だけの問題であればまだ笑って過ごせますが、状況はイタリアやスペインといった先進国にも差し迫ってきております。特にイタリアなんかはこっちの新聞でもよく報道されていますがイタリア政府は中国政府に対して公債の引き受けを依頼したそうで、後で高くつくぞとちょっと私も思ったりしました。
 こうした欧州の債務危機に対して、EUの反応は徐々にですが鈍ってきているようにも感じます。ドイツなんかはこれまであれこれ資金を融通したりしてきましたがそれら政策を主導してきたメルケル首相の支持率は低下しており、私の目にもやはりドイツ国民は徐々にEUに対して距離を置き始めているように見えます。言ってしまえば無理にでも同号を維持するのではなくギリシャなどの国はこの際切り捨ててしまえと言わんばかりで、フランスについてはまだどんなものかはわかりませんが最近は原発事故で大変そうです。

 さすがに一年後に中国みたいにすぐに盛り返すというのは期待のし過ぎですが、三年も経って未だ改善の兆しが見えずむしろ悪化しているというのは憂慮すべきでしょう。じゃあ今後はどうなるかですが、率直に言ってニクソンショック以来の為替制度の大変革が自然と発生するのではないかと考えています。
 現在の為替制度は1ドル当たりいくらかと、アメリカのドルを中心とした体制が戦後ずっと続いてきましたが、アメリカは現在なりふり構わない金融緩和を続けており基軸通貨を持つ責任を完全に放棄しています。今日のニュースによると共和党がFRB(米中央銀行)に対して金融緩和を停止するよう呼びかけたそうですが、身内からも声が上がっていることに対してやや驚きました。

 ではドル体制が崩壊するとはどういう意味かですが、単純に通貨の信用がなくなって現物の価値が上がっていきます。それがどういう意味を指すのかですが、自分も為替関係は苦手で憶測でしか言えませんが、多分貿易量が輸出も輸入も世界全体で減っていくのではと予想しています。もともと私はリーマンショック直後にもグローバル化の時代は終わり世界はブロック経済の方向へ舵を切りだしたと主張していましたが、この流れを決定づけるのがドル体制崩壊じゃないかと見ています。
 ちなみに友人からこのところ、「うちの貿易決済は円建てでしているから、このところ円高を理由に支払いを渋る顧客が多い」という泣き言をよく聞きます。一方で自分は人民元で現在給料をもらっているので、世界のイチローほどではないですけど円価に直すたびにため息が出ます。