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2011年7月5日火曜日

松本復興相の辞任と今後の政局

 昨日記事を書いた今日ですが、宮城県知事らに暴言を吐いた松本氏が復興担当大臣を辞任しました。私は当初、暴言の内容から恐らく辞任か更迭は間違いないと考えていましたがそれでも一週間程度の時間はかかると考えており、一日で辞任されるとはさすがに想定外でした。この辺の民主党は自民党に比べ、切る速度は速いように思えます。
 とはいえ辞めると言っていた肝心の管首相はなおも居座り続けており、報道によると10月の中国訪問の予定を組み出しているとされなかなか腹立たしい態度を続けております。今日の中国の新聞の論説にも「面の皮が厚い」とまで書かれていましたが、今回の騒動を見ている留まれば留まるほど害が大きいことが思い知らされ、これまで擁護的な立場をとって来ましたがもはや庇いきれないというような気がします。

 そもそもの話、今回の騒動のきっかけとなった復興担当大臣は管首相の肝いりで新設されました。しかし新たなポストということもあって果たして機能するのか、従来の組織を円滑に動かした方が対応が良いのではという批判をはねのけるほど管首相は強いこだわりを見せ、そのポストに誰が就任するかにおいても首相兼任が無難という声を黙殺して今回の松本氏を任命しました。
 あくまでこれは結果論ですが、今回の松本氏就任から今日の辞任までの間は何も復興対策がなされず、無駄に時間を空費してしまいました。仮に大臣が松本氏でなければ、そもそもこのようなポストがなければ復興に向けて会議なりを進展させることができたことを考えると、管首相はわざわざ復興の足を引っ張るようなことをしてくれたということになります。

 もちろんこれは結果論です。しかし管首相は震災対応に一定の目処がついたら退陣するといっていますが、今回こんな時間の空費を招いたことを考えると管首相自身が退陣することが最も早い復興対策のような気がします。被災者達は既に4ヶ月も避難所に非難しており、一日でも早く製作や計画を実行しなくてはならないことを考えると、今回の一件は松本氏一人の責任にするには大きすぎます。
 また松本氏についても、あれだけ被災者や報道機関を侮辱する発言はおろか、本来対等な立場である知事に対してあのような態度を取ったことは公権力に対する価値観が異常というよりほかがなく、野党の人らはこの際に松本氏に対して議員辞職するまで糾弾してもいいと思います。私としてもあのような輩が政治家しているというのは我慢なりませんし、なんだか福岡空港についても黒い噂が立っているようですし。

 そういう意味では今が野党にとって最も正念場です。今月中になんとしてでも管首相を引きずり降ろさなければますますフェードアウトするだけですし、これで攻め切れなければいつになったら攻め切れるんだということになります。まぁ個人的には、谷垣総裁でなければ既に首は取れてたでしょうが。

 それにしても松本氏に限らず、民主党の面々は権力に対する価値観がどうもわかっていない人間が多すぎる気がします。私自身理解しているかといえば怪しいものですが、何故人に命令できるのか、どうして相手が従うのかという構造をまるきり無視しているようにしか見えません。今までどういう風に生きてきたのか、本当に気が知れません。

2011年7月4日月曜日

松本復興相の失言について

 なんていうか、探せばまだまだでてくるんだなぁこういった明らかに勘違いしている政治家って、ていうのが最初の感想です。

「書いたら、その社は終わりだから」 松本復興相「脅し」に屈しなかった地元テレビ(J-CASTニュース)

 恐らく今頃日本ではテレビや新聞などでこのニュースが大賑わいとなっていることでしょうから内容の説明はしませんが、同じ党内からも辞めると言った後のこの時期に復興相を設置することに反対の声があったにもかかわらず、管首相は随分とまぁ残念な人物を引っ張り上げて来たものです。ニュースを見る限りですと先週にもこの松本復興相は「民主党も自民党も公明党も嫌い」というイカれた発言をしていたようで、今回の宮城県知事への暴言に伴う辞任はしないと本人は言っているようですが恐らくそんなわけには行かず、一週間以内に更迭されるのではないかと私は思います。逆に更迭しなければ、今度こそ確実に管首相は息の根が止まるでしょう。

 それにしても今回の松本復興相の暴言ですが、応接室でたかだか数分、TBSによれば一分数十秒待たされただけでここまで怒るというのは人としてもかなりどうかと疑わさせられます。この人にチキンラーメン作らせたらどうなるんだろ。どちらにしろ今回の宮城県知事の対応になんらおかしなところはあらず、むしろこんなことでここまで怒ることの出来る人物が政治家としているという現実を憂慮する必要があるでしょう。

2011年7月3日日曜日

韓国経済と韓国民の覚悟

 このところこの手の解説を何度もあちこちでしているのでこのブログでも書こうと思います。意外と日本の情報を見ていてもこのような観点からの解説が少ないので、おこがましさを感じるも周知する意味でも必要かと思いますし。
 私が日本で在籍していた会社の上司は韓国と長く関わっていたことから韓国社会についていろいろ詳しい人物だったのですが、ある日私に対してこんなことを教えてくれました。

「韓国はアジア通貨危機の際に一度国家全体で経済破綻をしており、その後一時的にIMFの管理下に置かれる事となった。このIMF時代に韓国社会は大きな負担を受けそれまでの社会も一変したことから、韓国人というのは二度と経済破綻をしてはならないという強い信念を持っている」

 アジア通貨危機などの解説については他のサイトに譲りますが、IMF時代については私も直接韓国人留学生から話を聞いたことがありますが、その留学生曰く「本当に最悪な時代だった……」そうで、やはりあの時代にだけは戻りたくないとはっきりと言明してました。

 こういった話を聞いた上で韓国の国の形とか経済を見ていると、やはりあの国には「どんなことがあっても二度と経済破綻してはならない」という国民全体における合意というものがあるような気がします。それは言い換えるとたとえどんだけ国民が苦しい思いをしても国の経済だけは支えなければならないという合意であって、これを私は他人に解説する際、「国破れて山河在りと昔は言ったが、韓国については山河を潰してでもなんとしても国を保たせようというところがある気がする」と話しています。
 これはいうなれば国民生活が破綻してでも国を維持しようという考え方で、実際に韓国の国民生活は話を聞くだに悲惨です。あらかじめ言っておきますが韓国を見下しているわけでなく単純に自分が同じ状況だったら辛いだろうと思うということで、特に若者の生活は高い失業李に低い賃金、そして少子高齢化が叫ばれる日本を遥かに下回る出生率。韓国の状況と比べれば日本の若者の生活などまだまだマシな気がしてなりません。

 無論韓国で生活したわけでもなく研究をしているわけでもありませんから実情がどのようであるか誤解している可能性も捨て切れませんが、私は韓国は国民生活を完全に犠牲にしてサムスンやヒュンダイといった国営財閥企業を守り立てて国を成り立たせるように思います。内心ではそれに対して韓国人もいろいろと思う気持ちもあるでしょうが、上記のように一定の覚悟というか合意というものが存在するのではないかと思います。

 現在、というより私が日本を出る前のビジネス本の売れ筋書籍はどれも「サムスンを見習え」と、お手本主義の日本らしくこれまで散々アメリカのMBAを取得した経済家への礼賛を手の平返して羽振りのよい韓国企業へ右へ習えしてました。しかし前にも書いたように現在韓国企業が羽振りがいいのはウォン安による影響がほとんどで、経営方針とか体制とかが極端に日本企業より優れているかといったら私は疑問です。それよりむしろ、わずか三年前まで1ドル=100円前後を想定して予算組みしてた日本企業が1ドル=80円前後になった現在においても経営を維持し続けているという現状の方がずっと凄いように思え、今後もまだ円高する可能性は捨てきれないものの、中長期的な観点では今の日本企業は相当な実力を蓄えてきているように思います。逆を言うとサムスンはウォン安が終わったらどうなるのかが未知数です。

 最後に私が言いたいこととして、サムスンを見習えとか韓国経済を見習えとする書籍の作者らは上記に書いたような、国民生活を犠牲にしてでも経済を成り立たせようとする韓国人のような覚悟があってそのような本を書いているのか、一つ問い質したいです。もちろんそのような考え方が間違っているわけではなくどんな思想を持つのは人それぞれ勝手ですが、私は国というのはその国籍の企業があるかではなく、国土と国民があってこそだと思います。中には国土がなくともかなり元気にやってたユダヤ人もいますが、少なくとも私は日本を国民を犠牲にして成り立つような国にはしたくありません。それゆえに上記のような覚悟を持ってサムスン礼賛本を書いていた作者らとは残念ながら敵対する立場となります。
 ちなみに20世紀、極東のある国では本気で国民と国土をすべて灰燼にしてでも国の形、というよりは省を守ろうとした連中がいました。ああはなってはならないし、ああいう連中は生かしてはおけないというのが私の信条です。

卑弥呼の比定人物

 昨日の記事でも書きましたが、私は現在の日本古代史を研究する学者らは根拠が薄弱にもかかわらず邪馬台国とヤマト王権を結び付けようとする人物が多いような気がします。その結び付けの代表格は今日取り上げる邪馬台国の女王こと卑弥呼で、彼女に関しては実に数多くの古事記、日本書紀中の人物が比定されております。

 まずその代表格というか戦前に強かった説として、神功皇后説があります。この神功皇后というのは女性の身で妊娠したまま朝鮮半島にまで出陣したという如何にも神話に出てきそうな人物で未だに実在したかどうかがはっきりしないものの、日本書紀中で彼女が出てくるシーンに魏志倭人伝からの引用があったことから「卑弥呼ではないか(゚∀゚)」とかなり安直に主張されたそうです。ただ元々も魏志倭人伝には卑弥呼は生涯独身で子供もおらず弟しかいなかったと書かれていることから、明らかに記述が一致しません。もはや取り上げる必要もないかと思いますし、学会もはっきりと否定すべきではないでしょうか。

 次によく槍玉に挙げられ現在最有力候補とされているのは、倭迹迹日百襲媛命(やまとととひももそひめのみこと)です。彼女は孝霊天皇の皇女で資料中の記述は卑弥呼同様に巫女的性質が強い人物として書かれてあり、夫に関しては蛇の神様という点でも確かに比定に足る要素は多いです。それ以上に彼女の墓とされる箸墓古墳の設立年代や卑弥呼の没年、そして魏志倭人伝の墓の規模などが近いということから結構真剣に議論されているようですが、それでも私としてはこれで卑弥呼が倭迹迹日百襲媛命だとするにはまだまだ根拠が少なすぎると思います。
 卑弥呼が誰なのかを特定するのに一番の材料はやはり魏志倭人伝中に書かれている卑弥呼の墓で、その点では箸墓古墳から推定するのは方向性としては間違いではないものの、確たる材料もないにもかかわらず倭迹迹日百襲媛命説がここまで出張るべきかといわれたら私は疑います。むしろそれ以外の可能性、卑弥呼は卑弥呼でヤマト王権の関係者ではないという可能性の方が依然として高いように思えます。無論それをはっきりさせるためには箸墓古墳をより調査するに越したことはないのですが、ここは宮内庁がイデオロギーの関係で仁徳天皇稜同様に全く調査許可を出さず、数年前にちょこっとだけさせてもらえただけなので今後の進展はなかなか難しいでしょう。

 繰り返しになりますが私は現時点において卑弥呼は卑弥呼で、古事記や日本書紀中に出てくる人物で該当する者はいないのではないかと考えております。だからといって歴史的価値が低いわけではなく、古代において中国と接触した人物であることから研究対象としての価値は高く、今後の研究発展を楽しみに待ちたい人物であります。

2011年7月2日土曜日

奴国、邪馬台国、ヤマト王権の関係

 ちょっと期間が空きましたが、また古代史ネタです。前回までは古事記の解説が多かったですが今日はちょっとロマンある部分というか、資料館の紐解き部分をやります。

奴国
邪馬台国
ヤマト王権(Wikipedia)

 日本古代史における最大の論争は邪馬台国が九州、近畿、どちらにあったのかという「邪馬台国論争」でありますが、この論争については近年決着がつきつつあり、出土品などの調査から近畿説が強まっており私もこれを支持します。その上で次に主題となる論争は、恐らくこの古代三王国とも言うべき上記の国々の関係だと思います。

 上記三王国のうち、奴国、邪馬台国は中国の史書中に現れる王国です。どちらも、特に奴国については後漢書に書かれている通りの金印が出土していることからその存在は確実であることは間違いなく、また邪馬台国についても数多く現れる出土品、そして三国志魏志倭人伝と晋書の記述などからこちらも存在したことは確実でしょう。ヤマト王権については日本国内の古事記や日本書紀に頼る所が多いものの、朝鮮半島で出土した広開土王碑や畿内に数多くある古墳からも疑う余地はないでしょう。問題はこれらの国の関係というか連続性で、先ほどの邪馬台国がどこにあるのかという論争と合わせて様々な仮説が昔から現在に至るまで盛んに論壇をにぎわしめております。

 まず奴国と邪馬台国の関係性ですが、これについては私は両国は全く関係のない別々の政権だったと考えております。北九州にあった奴国が時代を経て邪馬台国になったという仮説をたまに見かけるものの、これはそもそもの話として邪馬台国が九州にあったことを前提とする説です。先にも述べた通りに私は邪馬台国は近畿にあったと考えており、また時代もかなり異なっていることから関係性は全くないと思います。関係性を証明する史料はおろか出土品もない状態ですし。
 肝心なのはその次の邪馬台国とヤマト王権の関係性です。どちらも弥生時代後半から古墳時代にかけて近畿に存在した類推され、中国に使者を送るだけの代表制と文化を持ち合わせていることから両国は同一の王朝、もしくは系譜を持つのではないかというのが邪馬台国の近畿説が強まるたびに仮説が現れるようになりました。

 ただこれに関しても先に結論を述べると、私はこちらも全く関係はない別々の王朝だと考えます。根拠としましては中国の史料中に現れる邪馬台国の記述で、邪馬台国は女王卑弥呼をトップに置くシャーマニズム性の強い祭祀国家です。これが古事記や日本書紀に書かれる古代ヤマト王権の姿とはどうも差があるように感じる上、中国に使者を送るという大事業について古事記や日本書紀がスルーするとは思えません。
 特に私が重要視するのは卑弥呼の死後についでです。中国の史料では卑弥呼の死後に男の王が立ったもののうまくいかず、最終的に卑弥呼に代わる別の巫女(壱与)が女王に立って落ち着いたと記しており、これは二代続けて女王が君臨しているということで考え方によっては卑弥呼の前や後も女王が最高権力者だったとも考えることが出来ます。どちらにしても相当女性の権力が高い国だったことが伺えるのですが、古事記や日本書紀だとそのような二代続けて女王が君臨するということは書いておりません。天皇の男系を強調するために敢えて書かなかった、改変したと考えることも不可能ではありませんが、古事記や日本書紀が成立した飛鳥、奈良時代は日本史上で最も多くの女性天皇が誕生している時期であり、改変する必要性があるのかとなると私は疑います。

 また邪馬台国とヤマト王権が連続性を持っている、同一政権という主張の中には卑弥呼は古事記に出てくる女性の別名だという説を数多く見かけますが、これはまた次回に書きますが聞いててあくまで素人ながらも見ていて非常に怪しいものばかりです。小説のネタなら許せるけど、いくらなんでも調子に乗りすぎじゃないかと思うくらい強引な説も少なくありません。

 最終的に結論を述べると、邪馬台国と初期ヤマト王権は同時代に同じ近畿地方に存在していた可能性はあるものの、それぞれ全く関係のない別政権だったと私は思います。それゆえに邪馬台国は晋に使者を派遣後、自然消滅したか侵略されたかで滅んだのではないかと考えております。それを滅ぼしたのはヤマト王権かもしれませんし別の豪族かもしれませんが、何かしら確たる史料や出土品が出ない限りは両国を無理矢理結びつける議論はあまり必要ないのではないかというのが今日の意見です。

光化学スモッグの被害(´Д`)

 先ほど上海の天気予報を見てみると、今日の最高気温は日本には負けるものの35℃あったそうです。実際日差しがきついのはわかってはいたのですが、ちょっと今度自分が書く記事に使う写真が撮りたかったので地下鉄なんて生易しいものは使わずにまた自転車を40分くらい漕いで市内中心部に行ってきました。
 写真自体は無事撮れたものの、汗を大量にかいて腕に塩が吹き出るほどだったのでこまめに水分を補給しつつ帰宅したのですが、帰宅後に自宅で右側頭部に軽い痛みを覚えました。多少疲れているのだろうと思ってシャワーを浴びてまた水飲んで横になったのですが、どうにも痛みが取れずますますひどくなるばかり。それどころか吐き気もするわ咳も出るわで、原因はなんだろうか、脱水症状にしては水はかなり飲んだつもりがするし(500mlペットボトルのDAKARA一本、水一本、スイカジュース一本)、暑い中で自転車漕いで夏ばてにでもなったのか、そういえば先週に浦東空港目指して帰ってきた時も似たような症状があったような。そういえば、毎年夏にはこういうのを経験してるようなって、光化学スモッグなんだと最後に気がつきました。

光化学スモッグ

 医者から正式な診断を受けたわけじゃないですが、多分光化学スモッグで間違いないと思います。
 というのも毎年夏に炎天下の中を無謀にも自転車で飛び出しては帰宅後に激しい頭痛+咳が出ており、そういう時に限って後で調べてみると光化学スモッグ注意報が出ているからです。第一、自転車自体がかなり激しい有酸素運動なので、光化学スモッグが出ている中で自転車に乗るなんてかなり危ない行為です。それでもこりずにいつもやってしまうのですが。

 具体的な症状としてはやはり頭痛と咳なのですが、私が光化学スモッグだと判断するのは咳が出るか出ないかです。頭痛自体はもともとの体質もあってよくするのですが、頭痛と咳が一緒になるのは毎年この夏の時期でしかなく、なおかつ例の注意報が出ている頃なので、今回も全く同じ症状だったことから今日は上海市内でも光化学スモッグが出ていたのでしょう。
 第一、今の上海の状態は光化学スモッグが起きるにはこれ以上ないおあつらえ向きな環境で、多量の排気ガスに加え厳しい日差し、気温。聞くところによると近年九州各地で光化学スモッグの発生数が増えているのは中国のせいだといいますし、日本みたいな放送による警戒はないものの連日発生しているのではないかと思います。

 もちろんわかってたらわざわざ気分の悪くなるようなことを自らするつもりはないので、これからしばらくは自転車で遠出することは控えようなかなと思います。なお今日の具合ですが、最初は軽度だったことから見送っていたものの光化学スモッグだと予想がついてすぐに頭痛薬を飲んだら大分調子が良くなりました。なんかこうしめると、結局ただの頭痛ではなかったのかって気がしてきますが。

2011年6月30日木曜日

日本車の中国市場価格

 前々からやろうと思っては面倒がってしなかった企画ですが、中国における日本車の自動車価格を調べてみました。

 ここで言う中国の自動車価格というのは人民元を現在のレート(1元≒12.5円)で計算した価格です。一体何故こんなことに興味を持ったのかというと、中国市場では日本での価格に対して設定販売価格は高めなのか安めなのかが気になっており、またメーカーごとに違いはあるかが気になっていたからです。
 余計な前置きはいいので、早速どうぞ。


メーカー(合弁会社名)
車種  中国価格(円)  日本価格(円)

スズキ
(長安鈴木)
アルト           538,800~754,800   677,200~1,109,800
SX4           957,600~1,605,600  1,659,000~1,869,000
スイフト         621,600~1,101,600  1,244,200~1,653,700
(晶河鈴木)
ワゴンR          486,000~718,800   1,071,000~1,367,100

マツダ(長安馬自達)
アクセラ         1,353,600~1,797,600  1,660,000~2,318,000
デミオ           969,600~1,263,600  1,149,000~1,621,700
アテンザ         2,049,600~2,397,600  2,100,000~2,500,000
MPV           2,637,600~2,997,600  2,700,000~3,360,000

三菱(東南三菱)
ギャランフォルティス  1,317,600~2,037,600  1,796,000~2,993,000

ホンダ(東風本田)
CRV           2,277,600~3,153,600  2,470,000~3,390,000
シビック         1,557,600~3,237,600  3,000,000~3,000,000
(広州本田)
オデッセイ         2,757,600~3,393,600  2,390,000~3,610,000
フィット           1,077,600~1,557,600  1,230,000~1,698,000
アコード          2,241,600~4,113,600  2,498,000~3,902,500
アコードツアラー     4,785,600~5,136,000  2,748,000~4,122,500

日産(東風日産)
エクストレイル      2,493,600~3,237,600  2,239,600~3,297,000
ブルーバードシルフィ  1,497,600~2,013,600  1,842,700~2,404,500
デュアリス        1,677,600~2,637,600  2,097,900~2,777,200
スカイライン       2,289,600~4,461,600  2,898,000~5,019,000
マーチ            838,800~1,114,800    999,600~1,644,300
ティーダ          1,281,600~1,797,600  1,499,400~2,182,900

トヨタ(広州豊田)
ヴィッツ          1,044,000~1,281,600  1,060,000~1,790,000
カムリ           2,193,600~4,377,600  2,507,000~3,470,000
(一気豊田)
RAV4           2,277,600~3,081,600  2,020,000~2,590,000
クラウン          3,942,000~10,795,200  3,450,000~5,590,000
ランドクルーザー     9,240,000~13,533,600  4,350,000~6,920,000
プリウス          3,117,600~3,357,600  1,890,000~3,270,000
カローラ          1,485,600~2,397,600  1,356,000~2,440,000
プラド            6,456,000~8,376,000  3,150,000~4,750,000
マークX           2,517,600~3,921,600  2,380,000~3,800,000

※1元=12.5円で計算。価格はメーカー希望小売価格。
価格参照元:太平洋汽車網(http://www.pcauto.com.cn/qcbj/qcbj_if_gngw.html)、Goo-net(http://www.goo-net.com/newcar/)

 表自体はエクセルで作成して本当は図表を貼り付ける予定でしたが、何故だかJpg化させると文字がにじんでしまうので、こうして手製のリストにしました。

 全体の傾向としてはどうやらどこのメーカーも日本での自動車価格に合わせて中国販売価格を決めているようで、車種やメーカーに関係なく日本の価格に一段低い価格に設定しているところが多いです。ただこれは現在の円高というレート状況が強く影響しており、実際にちょっと前の1元=15円で計算したら逆に1段高い値段にきれいに逆転します。
 なおかつ言えることとしては高級車は日本での価格より高めに設定されていることが多く、そのせいか高級車ラインナップが多いトヨタはRAV4とカローラを除いてどれも日本価格より高く設定されております。ランドクルーザーなんてあまりにも差がありすぎるので、なにか値段を間違えているような気すらします。

 なお中国で販売されている車はどれも中国企業との合弁会社とで作られており、車名は同じでも一代前の型式であったり、部品も中国メーカー製が使われているなどして全く同じ車ではありません。代表的なのはマツダのアテンザで、日本ではすでにハッチバック仕様が売られていますがこちらでは一昔前のセダン型しかありません。そのため上記のリストも、あくまで参考程度にご参照ください。

 最後に中国の値段感覚について一言。以前にタクシーの運転手と話をした際、街中をマツダのアテンザが多く走っていることに言及すると、
「ああ、マツダの車は安いからね」
 と話してました。
 この話からすると、どうやら上記アテンザの価格(2,049,600~2,397,600円)はこっちの感覚としては安い方のようです。なんか腑に落ちないなぁ。