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2017年12月25日月曜日

日本における偽報道について

 最近、世界でフェイクニュースという単語というか概念が飛び交っていますが、こうやってブログを横書きしながら言うのもなんですが私自身は横文字があまり好きではなく、必要もなく英語をカタカナ読みしたこういう書き方は気に入りません。なのでやや意固地ですが「偽報道」という単語に統一して書き進めますが、割と日本でも笑えなくなったなというのが私の見方です。

 元々こうした偽報道はインターネットからの配信がどちらかというと主であるような気がします。現実に日本でもつい先日、「とある会社でアンケートを取ったところAED装置での治療を受ける場合、胸を触られたり見られたりするので治療後には訴えるという女性が大半だった」という、調査自体そもそも存在しない偽情報をネットで発信したアホがいたそうです。そのアホはこの偽情報と合わせて、「緊急時でも男性は女性にAEDを使うべきではない」というように伝えていたそうで、公共への影響を考えるとどれだけ罪深いことやっているのかと思うとともに、何が楽しくてこういうことするのかが理解できない気持ちで私はいっぱいでした。

 こうしたネット発の偽報道は枚挙に暇がありませんが、そうしたでたらめ情報は何もつい最近になって出始めたわけではなく、ネット黎明期には鮫島事件やプチエンジェル事件など詳細が明らかになっていない(前者に至ってはそもそも存在しない)ことをいいことにあれこれ余計なデマ情報を付け加えてネット上で流布されていました。と言っても、恐らく10人に「鮫島事件知ってる?」と聞いたところで、知ってると答えられる人は多分いないでしょう。何故かというと、ネットという閉じられた狭い空間の中でしか流布されなかったからです。
 このネット黎明期と現在を比べて最も大きく違う点はやはり、SNSの存在に尽きます。かつてであれば掲示板やブログサイトにデマ情報が掲載されてもそこからは二次発信されることはなく、たまたまそのサイトにアクセスした人間しか目撃することはありませんでした(そして黙殺される)。しかし現在は誰かが見た情報、もしくはデマとして流す情報がツイッターやフェイスブック、インスタグラム、LINE、ミクシィ……はもう古くてやってる人はいないけど、こうしたSNSの便利な機能によって人から人へガンガン共有されていき、明らかに怪しい情報であっても多くの人間が共有することで、「みんながそう言っているのだから」的に真実となってしまう傾向があります。はっきりいますが、偽報道の主犯はSNSだと言っても過言じゃないでしょう。
 なお、自分はSNSが昔からあまり好きじゃなく、MIXIもツイッターもフェイスブックも一応手を付けたもののすぐやめました。現在でも唯一使っているのは微信だけです。

 こうしたSNSの共有機能に加えて、もしかしたら日本だけじゃなく米国とかでもそうかもしれませんが、テレビメディアが誤報道、並びに確信犯的な偽報道を流すことも大きいと私は見ています。

 私がかつて子供だった頃は、「テレビで言ってたもん」と言えばそれは最も各自な情報の裏付けとなり、「テレビで言ってたのなら仕方ない」と周りの子供たちもすぐ納得させる説得力がありました。
 しかし現在、世間での偽報道量産においてこと量だけでみればネットが一番多いかもしれませんが、実際に世間に流布される量で見たら地味にテレビメディアの報道が一番大きいのではないかとひそかに見ています。何故かというと以前はどうかとちょっと自信がないのですが、このところ日本の各局ではワイドショーに対してものすごく力を入れており、その中でコメンテーターをはじめ偏った価値観を画面で述べるだけでなく、明らかに誤った情報を何の裏付けなしに平気で報じる機会が非常に多いからです。

 数え上げたら切りがないですが、バレた回数でいえばフジテレビが明らかにトップで、「田中マー君がトランプタワーに住んでる」などと出所も明らかでない情報を平気で報じて謝ったりしましたが、一体何を以ってこの情報が真実だと考えたのかが不思議でなりませんでした。また直近ではTBSがリトアニアをはじめとするバルト三国(中学時代、「バトル三国」と言って盛り上がっていた男子グループがいた)の位置を間違えてクイズに出したことがばれましたが、これなんかも監修どうしてんだと開いた口が塞がりません。
 もちろん以上の間違いについて各局は間違いを認めて番組サイトなどで謝罪していますが、これらについて何が一番肝心なのかというと、「バレたから訂正して謝った」という点で、バレなかったものについては未だ放置して一切の訂正もしていないということでしょう。特に海外報道なんかは突っ込む人も確かめる人もいないのでやりたい放題なところがあります。

中国側に大江戸温泉物語の許可証を出した住所は女子学生寮?

 一番当時の報道を残してくれているので、ちょっと人のブログから引用しますが、昨年末の上海大江戸温泉の騒動の際、TBSが「運営会社の住所は大学の女子寮となっており、事務所らしきものは存在しない」と報じていました。これについては結論から言えば偽報道で、恐らく精度の低い地図アプリを使って表示された場所にしか足を運ばなかったのでしょう。私もいくつかの地図アプリで住所入力したら女子寮が出てきましたが、きちんと住所情報を辿ると全く別の場所が出てきます。でもって、実際に個々の運営会社と取引ある人にも聞きましたが、「確かにわかりづらいところにあるけど、あのTBSの報道は間違いだ」とも確認取れました。
 この点について言うまでもなくTBSは訂正、謝罪していません。先ほどのバルト三国もリトアニア大使館が指摘しなければ同じだったでしょう。このように考えると、日本の偽報道で一番権威があるのはテレビ局で、特にフジテレビとTBSに関しては芳ばしい報道があった場合は自分はまず審議を疑ってみています。

2 件のコメント:

川戸 さんのコメント...

イギリスのEU離脱問題が注目を浴びていた頃"人間は自分が信じたいものを信じる"という言葉を知りました。それ以来自分が信じているものは本当に真実なのだろうかと省みることが非常に多くなり、情報というものへの猜疑心が非常に強まりました。

SNSは良くも悪くも承認欲求など刺激を求める人が利用するものなので過激な情報に接する機会も多く、情報リテラシー(リテラシーとは免疫力のようなものだと思う)に乏しい受信者がそうした情報にショックを受けて、情報を処理できず再発信してしまうことがデマを拡大させています。さらに、受信者がイデオロギー的に偏っていれば情報偏向も強まります。

偽報道は発信する者の誤認やミスリードに始まりますが、受信する者はそれを疑い、他の情報と比較してどの程度信用できるかなどと判断する余地があります。情報の受信者は知らない情報の単一の情報源に対しては疑う事しかできないので、一つの情報に対して複数の情報源を比較する必要があります。昔2chでソース至上主義が流行りましたが"テレビで言ってた"が通用しない現代だからこそ、ソース比較主義的であるべきだと思います。

そしてこの問題は発信者が偽報道を流した際に法的罰則を設ける事で解決すると思います。先に述べた通り、受信者の情報への免疫力を養う事は必須であると考えますが、それは教育の問題で、情報免疫力を備えた世代を育てるには長い時間がかかります。それならば発信者に何らかの責任を持たせるべきです。尤も、真偽の証明ができない情報というのも多く存在し(神や死後世界の証明など)、発信者がわからなければ不可能な話なので偽報道への法的罰則を設ける事がどれほど現実性のあるものなのか全く分かりません。

花園祐 さんのコメント...

 いつもながら丁寧なコメント、ありがとうございます。
 「人間は自分が信じたいものを信じる」の箇所を見て、自分も大体7、8年くらい前から「希望的観測」という言葉を多用するようになったと思わされました。この言葉を意識する前はそうではなかったものの、冷静かつ公平に分析したと思う予想であっても、予想内容が自分にとって都合のいいものであればいくらか疑うようにしています。おっしゃる通り、他人から得た情報だけでなく自ら導き出した情報ですらも猜疑心は必要です。
 他の点にも言及したいところですがそこは敢えて胸にしまってもう一点だけ述べると、確かに昔の2ちゃんねるはよく「ソース出せよ」と言って、ソース主義ともいうべき風潮がありましたが、最近はこのような書き込みはあまり見られなくなっており、かつてと比べてもややリテラシーが落ちているのかもと感じます。また当時、ソース要求についてよくブルドックソースの会社アドレスとか貼られてましたが、今もうこんなのやる人いないだろうなぁ(´・ω・`)