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2017年12月2日土曜日

漫画レビュー「ゴールデンゴールド」

 先月に日本へ一時帰国してからこの一ヶ月間はずっと体調が悪く、今週に至ってはお尻からラー油が出るわ風邪ひいて鼻かむたびに鼻水に血が混じってるのを見るとマジビビります。そんな具合で体調良くないので好きに書ける漫画レビュー書きます。

 結論から言うと、この「ゴールデンゴールド」という作品については将来確実にアニメ化かドラマ化が実現すると断言できます。底知れないポテンシャルはもとより、ここ先が気になってしょうがない展開ぶりなど数年間で間違いなく最も優れた漫画作品ではないかとすら思えるような面白さです。
 私がこの作品を知ったのはAmazonの売り上げランキングで上位に入っていたことと、その特徴的な表紙から「中身が全く読めない」という印象を覚えたことからでした。てっきり、表紙に出ている女子高生と変な生物がドタバタをやらかすギャグコメディではないかと想像していました。
 では実際はどうか。簡単にあらすじを話すと、以下の通りです。

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 広島県の離島に住む女子中学生の主人公はある日、海辺で小さな仏像のようなものを拾い、なんとなくお堂に入れて拝んだところその仏像は子供くらいの大きさの人形となり、突然動き始めます。しかも知らないうちに主人公の家に上がり込みながら、主人公の祖母をはじめその島の出身者は誰もその異様な姿を見とがめることはせず、特に疑問を持たず同じ屋根の下で暮らし始めます。そしてその人形が来てからというもの、祖母が経営する民宿、雑貨屋は急に繁盛し始め、コンビニにも鞍替えするなど環境が段々と変わっていき、「もしかしてあれはフクノカミなのでは?」と主人公らは考えていくようになります。
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 以上は本当に序盤のみのあらすじなのですが、回を追うごとにフクノカミとはどんな存在なのか、何が目的なのかという疑問がどんどんと膨らみ、その不気味さと相まって先が非常に気になっていきます。また主人公らが生活する離島、と言っても「ドクターコトー」ほどの鄙びた離島ではなくスーパーも高校も島内にある島ですが、その島の日常生活風景が非常に丁寧に書かれており、それだけに日常が段々とおかしくなっていく情景が妙なリアル感を持って描かれています。

 最初一読して感じた印象としては浦沢直樹氏の「20世紀少年」のような印象、日常が段々と非日常へと崩れていくようなイメージを感じました。ただミステリーじみた展開のあちらとは違ってこちらは明らかな超常現象というか見た目からして異様そのものなフクノカミが周りから一切特別視されずまるでそこにいるのが当然のように普段の日常世界が続いていきます。例えて言うなら明らかにおかしいものが画面に映ってるのに、誰も反応しないまま進行が続けられるテレビ番組というような不気味さで、この不気味さこそがこの作品のエッセンスだと思え、徐々にちりばめられるフクノカミに対するヒントなども非常に配置よく紹介されます。

 この作品を友人にも勧めてみたところ、「この作品は本当に凄い!」と今までにないような興奮した返事が返ってきました。ただ友人曰く、「最初の数話だけでは全く分からず、1巻丸ごと通しで読んでみて初めてその魅力に気が付けるような作品だ」そうで、この批評は全く持って私も同感です。チラ見した程度ではいまいちわかりづらいところがありますが、通しで読むことで段々と世界がおかしくなっていく展開が分かってくるだけに、やや敷居が高い作品であるでしょう。

 まどろっこしい語りとなってしまいましたが、余計なことを考えずとりあえず一読されることを強くお勧めできる作品です。私なんか1~3巻を購入するとそのまま三週くらい読み返しましたが、あらゆる意味でこの作品は現在の連載作品の中で別格です。


    

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