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2017年11月27日月曜日

日産問題の第三者報告書に対する疑問

<日産>現場を疲弊させた「原価低減推進室」の必達目標(毎日新聞)

 もはや説明するまでもない日産の検査不正について西村あさひ法律事務所が第三者報告書を出していたようですが、率直に言ってもし自分が責任者であればこんな報告書を見た時点で「書き直せ」というか、書いた奴を首にします。というのも、全く問題の核心をついていないどころか体面だけ取り繕った内容に見えるからです。

 具体的にそれはどこかというと上記リンク先記事冒頭に引用されている、検査不正が起こった背景には慢性的な完成検査員不足があると指摘している点です。
 何故ほかのメディアとかもこの点を突かないのか誇張ではなく本気で心配になるほどなのですが、今回の日産の検査不正は20年以上行われ、社内では誰も問題視せずこうしたやり方がもはや当たり前と見ていたことが窺えます。
 毎日のアホは2交代制から3交代制になって生産量が増え、現場が忙しくなり検査員が不足したとも書いていますが、肝心なのはそれ以前からも検査不正が起こっていたということでしょう。また20年間も検査員が不足するほど常に忙しかったのかというとそんなわけないでしょうし、忙しさゆえの不足というのは明らかな見当違いとしか言いようがありません。

 こうした観点から見れば第三者報告書が原因に挙げた検査員不足は私から見て理由になりません。そもそも日産としては検査員が不足しているなんて自覚は一切ないまま、忙しさに関係なく検査不正をやっていたわけです。なのでこの点に注意したところで今後の改善が期待できるわけなく、さすがに完成検査ではすぐには再不正することはないでしょうけど、まだ見つかっていない部分に関しては今後も気にせずやり続けるのではと思えます。

 このように考えると実にこの第三者調査、並びにそれに基づいた日産の改善策が如何に茶番でしかないのがよくわかります。そもそも日系企業並びに日本人は問題発覚時に限らず議論する際に論点の核心については何故かみんなして言及することを避け、表面的な問題とはほとんど関係なくどうでもいい内容、特にすぐに且つわかりやすい対策が打てる箇所を槍玉に挙げ、「この原因に対してこうします」的なクソどうでもいい対策を最後に発表することが多いです。
 一部で情報が錯綜したのか、誤解したのか、意図的に間違えたのかはわかりませんが、今回問題となった完成検査を行う完成検査員資格は国家資格でもなんでもなく、日産の社内資格でありその認定条件は各自動車メーカーによって異なります。日産側はこれまで資格研修中の作業員でも問題がいないと思って作業させていたと言っておりますが、問題がないなら研修のハードルを避け、報道では2ヶ月間の実習研修と筆記テストが必要とのことですが、これを2週間くらいの実習研修に短縮させることが最も効果的且つ実質的な対策じゃないかと思えてなりません。品質維持できるならそれで万事解決なのに。

 なおすでに述べましたが、議論でも日本人は何故か問題の核心を避けるような主張をする傾向があり、議論が進むうちにどんどんと本質とは関係ない議論に発展しがちです。逆を言えば核心に敢えて引っ張るとたじろぐし意見に詰まるので、どうでもいい相手を一蹴する際に私は、「ところで本題は?今自分たちは何について話してるの?」と言って追い込みます。ヒートアップした相手ほど効果的です。

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