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2017年3月7日火曜日

技術不正に対するリスクアシュアランス

 「平成の怪物」と検索してみると、「松坂」や「大谷」といったプロ野球選手に並んで「新田」という苗字が出ることをつい最近知り、安くなるまで待とうと思っていた「ヒナまつり」という漫画の12巻を即購入してしまいました。わからない人向けに説明すると、新田というのはこの漫画のキャラクターで作中での異名が「平成の怪物」なのですが、最新巻では妹に殴られまくったり、肺炎なのに空中で一回転させられています。

 話は本題に入りますが、元の記事を失念というか去年の8月くらいに見たので忘れてしまったのですが、昨今流行りの企業リスクに「技術不正」が加わってきたと指摘する立派な記事がありました。技術不正とはその言葉の通り技術に関連した不正で、これを経営視点で見るならば自社商品やサービスの品質や内容を誇張し、それが発覚することにより被る損害に対するリスクとなります。最近仕事が仕事だから言い回しが自分でも変になってきたような気がします。

 具体的にどういうのが技術不正に当たるのかというと、代表格としては東洋ゴムの免震ゴムの機能詐称、有名だけど微妙に違うのが三菱自動車の燃費虚偽表示です。三菱自動車の例の場合は会社ぐるみというか経営陣もほぼわかっていながら放置してなおかつ隠蔽までしようとしていたので、「経営者側にとっての企業リスク」とは言えないので技術不正とは言えないと私は考えており、敢えて言うなら「倫理観の欠如」といったところです。技術不正とはあくまで経営者目線のリスクであって、そういう意味では経営者の預かり知らぬところで現場の検査担当者が検査業務をサボっていたとされる東洋ゴムの事件は技術不正と言えると考えます。
 もう少し例を挙げると、旭化成の杭打ちが足りてなかった事件を始め、建築不正も技術不正の一種といってもいいと思います。むしろサンプル数ではこうした建築業界のが圧倒的に多いでしょうし。

 そんな技術不正ですが、一言で言えば「見えない爆弾」といったところでしょう。というのも横領や怠慢などといった会計不正や業務不正であればちゃんとした監査法人の監査を受ければある程度検出できる可能性は高いものの、技術不正となると製品の機能の問題であるだけに、監査で検出することはほぼ不可能です。内部監査も同様に部署ぐるみとかで口裏合わせられたらそれで終わりでしょうし、また技術に関する偽装なので、たとえばタイヤの性能がカタログと一致するの可動とかなんて専門の検査機関とかでなければわかりようがなく、外部から指摘を受けるのも難しいでしょう。まぁ外部から指摘受けてる時点でリスクが実現し、損害影響はもう出てるんでしょうが。

 一応、国とか大学、一部団体などが独立した検査機関として活動を行ってはいるものの、企業側も義務付けられていない限りはそんなしょっちゅう性能検査を外部に委託するなんてことはまずありません。建築業界においては色々と検査義務が課せられているにもかかわらず欠陥マンションが続出しているので制度や検査機関に問題があると言わざるを得ませんが、工業製品とかだと客先の検収通り抜けて市場に製品が出てしまえばその影響は膨大で、また社会もこうした問題に対する意識が年々増していることからもリスクレベルも一緒になって増大し続けているという状況です。

 こうした技術不正にどう対応していくか。やはり一番いいのは外部検査機関に性能・品質検査を委託することに尽き、会計に対する監査法人みたいに製造業も共同出資とかして独立した検査機関とかを作るとか、一部重要製品に対しては義務化させたりした方がいいのではないかと思います。軽く商売の話をすると、そうした第三者検査機関による検査確認体制を確立することで、そのような外部検査を世界でもスタンダードとさせれば日本初で監査法人ならぬ検査法人みたいなのを作れるんじゃないかとも考えることが出来ます。
 もっともあらゆる工業製品、極小の針から複雑なロボット製品までやろうってなると検査機器や検査員がいくらあっても足りなくなりそうですが、その辺は世界のミツトヨさんとかに頑張ってもらう、っていうかミツトヨの方でこういう検査機関作ってくれるとありがたいなと他力本願な結論でまとめるわけです。



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