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2016年10月24日月曜日

派遣雇用の三年ルールの現状

 先週末はたった三日間だけ日本に帰国していましたがこの間に私が取った行動を軽くリストアップすると以下の通りです。

・散髪
・時計の修理
・書籍購入
・タブレットPCのアップデート
・ゲームのダウンロード購入(ZERO ESCAPEなど)
・伊勢丹で焼物購入
・漫画喫茶で5時間連続耐久読書
・会社社長と7時間半連続耐久トーク

 宿泊先はまた慣れ親しんだマッドシティこと松戸でしたが、床屋のおばちゃんが私のこと覚えててくれてちょいちょいうれしかったな。

 さて話は本題に入りますが上記に上げたリストに加えもう一つ、前回のマージン率調査で協力いただいた派遣労働者の方とも会ってきました。前々からメールで連絡を取っており同年代ということもあって東京に行くことがあればお会いしようと思っていた所、快く快諾いただけて、たまたま近くにいた冷凍たこ焼き好きの友人も、「どうせ興味あるでしょ」といって呼びつけて一緒に会ってきました。

 合流して田端駅前にあるガストへなだれ込むとまずは調査に協力いただいたお礼を言い、その後しばらく雑談をした後で、「前から気になってたんだけど、例の三年ルールは今現場ではどうなっているの?」と私の方から切り出してみました。

厚生労働省説明資料

 派遣の三年ルールとは簡単に説明すると、派遣社員は同じ派遣先では最長三年しか働くことが出来ないという制限です。もし同一職種で三年以降も雇い続けたい場合、派遣先の会社は当該の派遣社員を正社員に切り替えなければならず、派遣社員の正社員採用を促す目的で設けられました。
 このルールが設けられたのは民主党政権時代ですがその時は通訳や開発などといった専門26業務についてはこの期間制限はつけられず無期限に雇用できたものの、去年の改正派遣法によって専門26業務に対しても三年ルールが適用されると共に、制度開始からちょうど三年くらいになりそうだということで派遣業界ではちょっとした話題にはなっていました。

 正直言って業界内では派遣会社、派遣社員、派遣受入先の三者が揃って総スカンしたくらい歓迎されておらず、三者ともなるべく長く同じ派遣先で働きたい、働かせたいと考えているのにこのルールのせいで三方全損みたいになると批判めいた主張も数多く見られました。また派遣から正社員への転身を図りたいとする派遣労働者の層もそれほど歓迎するような声は聞かれず、私の印象論で述べるとこんなルールがあろうがなかろうが派遣の正社員採用が進むとは思えないと感じる様な空気が漂っていました。

 ではこのルールは果たして実際に運用されているのか。ストレートに聞いてみたところその派遣労働者の方は、「少なくとも自分の周りでは適用される例を見たこともないし全く聞かない」と教えてくれました。そしてこの回答は、私としてもある程度予想していた通りでした。
 何故適用されていないと考えていたのかというと理由は複数あり、まずは上記の通り派遣に係る三者が揃って望まない制度であること、二つ目として派遣業界はマージン率の公開といい遵法意識が極端に薄いこと、三つ目として実際に適用された例というのがネットで情報を集めている限りだとほぼ全く見られなかったためです。

 一応、去年の派遣法改正前後では、「君、来月以降は受け入れられなくなるから」なんていうセリフとともに「混乱する派遣の現場」みたいな見出しで記事が出ていましたが、内心この手の記事はエア記事だったんじゃないかなとすら思っています。恐らくは実際に三年ルールが適用されてしまった人もある程度はいたかと思いますが、三年以上を経過していた圧倒的多数の適用対象者はこの三年ルールを無視し、なし崩し的にそのまま働き続けているのではという気がします。だって、「三年ルール適用された日本死ね」みたいな言動が全くと言っていいほど聞こえないし見えないからです。

 とはいえあくまでこっちは派遣問題ではもうかなりの専門家だけど部外者の身であるためこれまで発言は控えてきましたが、今回こうして派遣労働者の方から直接話を聞いて疑念が確信へと切り替わったのでこうして記事に仕立てました。またその派遣労働者の方によると、ある派遣大手では「無期限派遣雇用」というオプション形態を用意しているらしく、正面切って堂々とこの三年ルールを無視しているという情報もいただけました。一応、除外規定として「60歳以上の派遣労働者」に対しては確かに三年ルールは適用されませんが、罰則もないだけにここまで思い切って無視してしまうあたりはさすがは派遣業界といったところでしょう。

 この三年ルールについて、自分としてはどうせ守る人も会社もいないんだし三方揃ってデメリットしかない制度にしか思えないためとっとと撤廃した方が早いと考えています。こんな制度があった所で正社員化が進むとはとても思えませんし、また派遣のメリットという奴も台無しになる可能性があります。
 それよりも直接的に派遣労働者を救済するべく、個人的には交通費の派遣先負担を義務づける制度などが今必要なのではないかと思います。あまり知られていませんが派遣労働者は勤務先への交通費は自己負担であり、これがかなり可処分所得を落とす原因にもなっていると思うだけにこうした点から地位改善の取り組んでもらいたいものです。

 なお現地採用の私も交通費は自己負担ですが、上海市内だと地下鉄は一回3~4元(約45~60円)なので痛くもかゆくもありません。逆にこっちに慣れてしまうと日本の交通費が高くてしょうがないように思え、交通機関が頑張って経営しているのはわかるけれどもう少しやすぅならんかと思うばかりです。

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