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2016年6月21日火曜日

中国で日本のミステリー作品が流行るわけ

 先日またツッコミの厳しい後輩と上海を歩きながら共通の友人がハネムーンに出かけたことを伝えた際、以下のやり取りがありました。

花園「ちなみにハネムーンと聞いてすぐハゲムーンって単語が思い浮かんだんだけど、働き過ぎで俺疲れてるのかな(ヽ´ω`)」
後輩「疲れてるか、めちゃくちゃ元気余ってるかのどっちかでしょう( ・`ω・´)」

 話しは本題に入りますが、日本でも一部報じられているように中国では日本のミステリー作品が幅広く受け入れられています。作家の東野圭吾氏の作品は認知度も高く実際によく読まれており、また漫画とアニメの「名探偵コナン」に至っては真面目に知らない中国人は存在しないくらい浸透しています。
 それこそ中国に来る前の私は、ナルトやワンピースは冒険活劇だから中国でも売れると思っていたものの、そこそこロジックが複雑でやや小難しく感じるようなコナンや金田一(少年)はややハードルが高いと思っていたらむしろ先の二つに負けないくらいに人気で、「金田一とか知っている?」とリアルで中国人に聞かれることも少なくありません。

 一体何故こうした日本のミステリー作品が中国人に受け入れられ流行るのか。この理由について友人の嫁さん曰く、「中国人にはああいうロジックのある作品を作ることが出来ない」とのことで、単純に珍しいからだと説明されました。言われてみて納得というか、出来ないことはないだろうが中国人があれこれロジックをめぐらして作品作るなんて想像し辛く、間違いなく苦手な分野でしょう。一方で漢字の国だけって活字を読んで想像を働かす方面にはなれており、案外読書文化も強いだけあって想像をかきたてるミステリー作品に対する憧憬も強いのでしょう。
 この話を先日同僚にも話してみたのですが、

「そもそも着実に証拠をかき集めて犯人を追いつめるという過程が中国にはないよね(・∀)(∀・)ネー」

 という話になり、証拠なんかなくったってとりあえず怪しい奴をとっ捕まえて、拷問して自白させるのが中国の犯罪捜査なもんだから推理するプロセスがそもそもないというのが中国でミステリーが育たない土壌かも知れないという意見も出てきました。
 また中国事情に詳しい同僚からは、

「あと中国人だったら水滸伝みたいに、犯罪者を追う側よりも犯罪者に共感してしまう

 という指摘も飛んできました。

 これは実際その通りで、割と中国人は昔から今に至るまで正義の味方より悪者、それもどっちかっていうと小悪党に肩入れする傾向が強く、日本人の感覚的には石川五右衛門を応援するような感じだと思うのですが、貧しい生い立ちから犯罪に走ってしまった、それでも粋な心意気は失わないっていうようなキャラクターが本当に大好きです

 一応、アルセーヌ・ルパンのように犯罪者の側が主人公のミステリーもなくはないですが、やっぱり犯人を追う探偵や刑事なんてキャラに中国人はあんま共感しないというか応援しない気がするし、そういうキャラを主人公にする作品もあんまないでしょう。刑事物ドラマは中国でもたくさんありますが、どっちかっていうと濃いおっさんが麻薬組織とかの凶悪犯罪と戦う系だしなぁ。

 逆を言えば日本人はミステリー作品をこれだけ発達させていることからもロジックをあれこれ考えるのが得意な民族ともいえるかもしれません。ミステリーの本場といったら友人のハネムーン先であるイギリス(メシがマズイとは警告しておいた)ですが、日本人もイギリス人もやっぱりこの辺の思考なり興味なりが共通する点はあるのだと思います。中国人はミステリーを受け入れる素養は高いものの、生憎作品を作り出す素養と土壌には欠けているというのが私の分析です。

 最後にどうでもいいことですが蘭姉ちゃんの声優は京都出身なだけあって別作品で京都弁使うこともあるのですが、自分の知る限り最もきれいな京都弁です。この人も蘭姉ちゃん演じてもう20年くらい経つのか……。

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