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2015年3月30日月曜日

「KINGSOFTオフィス」の感想

嫌われ者の俺が海外修学旅行のリーダーになったらクラスがほぼ全滅したwww(アルファルファモザイク)

 本題とは全く関係ありませんが、上記のまとめ掲示板を読んで強い違和感を感じたのでその点を突いておこうと思います。上記の掲示板の中身は修学旅行で行った中国でクラスが様々なトラブルに遭い、その中には現地の中国人とも買い物でもめて警察沙汰になったと書かれてあります。ただそのトラブルの中で、「店員から『他殺』『自殺」』書かれた紙を渡されクラスメイトが切れる」ということがあったと書かれていますが、中国語における「自殺」と「他殺」という言葉は日本語と同じ意味なので少なくともケンカした相手に紙で書いて渡すなどということはまず有り得ないように思えます。
 単純に「死ね!」という意味の中国語なら「去死」ですし、第一いくら相手が中国語通じないからって中国人はそんなのお構いなしに延々と中国語でまくしたててくると経験上思えますし、そのほかの体験談もちょいちょい違和感を覚えるのでこの掲示板を立てた人は相当話を盛っているのではないかと強く疑問に覚えます。

 そんな個人的所感は置いといて本題に入りますが、昨日の記事で私は新規に購入したエプソンのノートPC「Endeavor NY2400S」についてレビューを書きました。このパソコンは会社での仕事用に購入したもので、仕事に使うのであればもちろんWordやExcelといったOfficeのソフトも必要です。しかしOfficeソフトを購入するとなると2万円は料金が上乗せされるため、なるべくなら避けたいと考えていました。そこで代替策はないかとあれこれ練った所、行き当たったのが下記のソフトでした。

「KINGSOFTオフィス」紹介ページ

 言うまでもなくMicrosoft社のOfficeは業務用ソフトとして一種インフラのような役割を果たしており、電子データ上で各種の書類や計算表などを使う場合はほぼ必須とも言えるソフトです。そんなOffice系ソフトに対して世の中には「Office互換ソフト」というものがあり、Office系のソフトを通常通りに開いて閲覧、編集できるソフトを一部のメーカーが製作、販売しております。このキングソフトオフィスもその一つで、聞くところによれば日本産のOffice互換ソフトとしてそこそこの知名度とシェアを持っているそうです。

 それでこのキングソフトオフィスはどんなソフトかですが、言ってしまえば安い値段でMicrosoftのOffice系ソフトが使えるようになれるソフトです。収録しているのはWordとExcel、Power pointの互換ソフトで、購入するバージョンによってマクロが使えるか否か、パワポ互換ソフトが入っているか否かが変わってきますがすべてコミコミにしても6,480円(税込)なのでOfficeの代金と比べるとかなり割安です。ちなみに私が購入したのはこの最上級グレードですが、パワポを使わずマクロも使えないという人が個人用PCに買うのであれば一番安いグレードの3,980円のバージョンでも十分かと思われます。
 一にも二にも安さ、といったらちょっと言いすぎかもしれませんが、正直に言ってこの値段設定は非常にありがたいものがありました。購入前は実際に使えるかどうかがわからなかったものの、この値段であれば駄目なら駄目であきらめ切れるだろうと考えられたのも購入を決断する要因になっています。さすがに一万円越して駄目だったらハートに来る。

 そんなこんだでオンラインの決済で購入したところ、まさに決済したすぐ直後にソフトを使うためのプロダクトコードがメールで送られてきました。このキングソフトオフィスはいつでもホームページからソフトをダウンロードすることが出来、インストール前にプロダクトコードを入力することで使用できるようになるため、このようにすぐコードを送ってもらると購入して即日使えるのでなかなか便利です。
 というわけで今度はソフトをダウンロードしようとサイトのダウンロードボタンを押しましたが、Officeの互換ソフトだから容量はそこそこ行くだろうな、ダウンロード時間長いだろうななんて予想していたところ、ダウンロード量はわずか110メガだったので実際にはあっという間のダウンロードでした。でもってインストールもあっという間で、「やべぇOfficeが急に使えなくなった!」みたいな展開になっても、多分一時間以内にこのキングソフトオフィスを代替として使うことも不可能じゃない気がします。

 では実際の使用はどうか。結論から言うと非常によく出来ており、全く違和感なく従来のOffice系ソフトのようにして編集作業を行うことが出来ます。もちろん以前に保存したOffice系ファイルも問題なく開けますし、逆にキングソフトオフィスで編集したデータを他人に送りつけても向こうは向こうでちゃんとOffice系ファイルとして認識して業務上に全く支障がありません。
 まだマクロに関してはそんなに弄ってはいませんが、Excelでの自動計算や数式もきちんと機能しており、ちょっと持ち上げ過ぎな気もしますがこの値段でこの性能は破格といってもよく、もう少し高い値段を払ってやっても良かったなとすら思える出来です。さらに買ったばかりのためまだ私は未体験ですが今後もアップグレードがあれば無料で対応してくれるとのことで、これは大手を振ってほかの人にも勧められるソフトだと思えるだけにこのブログでも紹介しようと思う充実ぶりです。

 総評として、非常に買いなソフトです。操作インターフェースも現在のOffice2013に合わせた画面とそれ以前の2010くらいの画面、二種類を自由に選ぶことが出来て、いまいち新しいOfficeになれない方にとってもかえって使いやすい仕様になっています。今後も新しいPCを買うことがあればこのソフトを使い続けようと思える逸品なので、Officeの購入で迷われている方はぜひ試してみてください(無料体験版もあり)。

2015年3月29日日曜日

ノートパソコン「Endeavor NY2400S」の感想


 先日、プリンタでお馴染みのエプソンからノートPCの「Endeavor NY2400S」を購入しました。一通り操作を試してみたので、今日はこのパソコンに対する私の感想というかレビューを書こうと思います。
 それにしても、昨日は大塚家具を書いてその前はマッドシティを書いて今日はノートPCのレビューと、相変わらず統一感のないブログだと我ながら呆れてきます。

Endeavor NY2400S(エプソン公式販売サイト)

 このパソコンは上記のエプソンによる公式販売サイトを通じて購入しました。CPUやメモリといったスペックはこの記事では省略するので、これらのスペック情報を見たい方は上記サイトを訪れてください。
 まずなんでこのパソコンを購入しようとしたのかというと、それまで中国の職場でASUSのノートPCを使っていましたがこれだとOSは海賊版だしシステム言語は中国語のため、一応表示言語は日本語に変えられるものの一部の言語は中国語で表示され続けるのもあり、そして何よりOfficeのソフトが中国語版、しかも2003年度版とやけに古い仕様だったのでこの際日本で新しいのを買ってしまおうと思い立ったわけです。

 購入するに当たって重視したのは画面サイズと価格でした。仕事で使用するノートPCのため出張時に持ち運ぶことも多く、サイズと重量的には14インチが案外ちょうどいいと考えていました。現在主流の15.6インチは人の頭を殴ったりするのにはちょうどいい重さと大きさですがこれだとビジネスバッグに入れると結構嵩張り、重量もそれなりにあるので私個人的には14インチが仕事用として理想的だと考えています。
 ただこの14インチ、一時期はたくさん販売されていたもののこのところは各社ともラインナップに入れるサイズから外す傾向にあり、意外とこのサイズでノートPCを売るメーカーは少なかったりします。その中でエプソンがちょうど廉価モデルで用意してくれており、価格も私の購入時は46,000円とBTOパソコンらしく手ごろだったので、ほとんど一択のような感じでこのパソコンを選びました。
 なお、私はこれ以前にも2012年にエプソンでネットブックのノートPCを購入しています。その時の製品も納得のいく仕上がりだったことからエプソンへの信頼感も今回の購入の要因です。

 それでは早速レビューを始めます。画面サイズに関しては先ほども述べた通りに14インチで、可もなく不可もないサイズです。ではハード性能に関してはどうかですが。CPU、メモリともに現在における個人用ノートPCとしては一般的な性能を満たしており、少なくともオフィスワークで使うに当たっては全く問題ない水準にあると言えます。
 むしろ、1990年代であればハードの性能によってパソコンの動作速度は大きく変わりましたが、現在は各部品の技術革新も進んでよっぽど低い性能でない限りは動作速度にほとんど差がないのではないかと思います。IT関連技術者であれば話は別でしょうが普通にネット見て、文章書いて、エクセル使ってというレベルであれば大差はないでしょう。

 次にデザイン面についてですが、こちらに関しては文句なしに太鼓判を押します。製品写真からは判別できませんが実際の製品表面にはに薄く「擦り」が効かせられており、特にキーボード脇の部分ではうっすらと紋様めいた模様が浮かんでいます。またタッチバッド表面も幾重もの輪が重なっている模様が入れられており、パソコンは普段からよう使うものだけにこうした意匠があるのは私個人としては非常にうれしい仕様です。
 ただ一つだけ欠点もあり、それはズバリ言うと色です。BTOパソコンでなおかつ価格を抑えた製品なのですからしょうがないとは思うもののボディ色が黒一色しか選択できないというのは少し残念なところで、せめてもう一色くらいほかに選べたらなと思えてきます。なお私がノートPCの色で好むのは白か赤で、何気に黒が一番嫌いです。何故嫌いかというとほかの人も黒いのばっかで同じ黒だと個性が出ない気がして、この際黒でなければ青でも茶でもピンクでもいいのが本音です。

 話は変わり今度は外部接続の配置に関してですが、これははっきり言いますが非常に問題があり、低い水準にあるとしか言いようがありません。まずUSB端子はUSB2.0の端子が1個、USB3.0の端子が2個ついていますが、これらがすべて本体左右の手前部分にあるのはどうにかならなかったのかと不満を覚えます。左手前はまだ理解できますが右手前部分だとUSBメモリなんかを指し込むと本体から端子が飛び出すので、右手でマウスを動かしてたりすると手がぶつかりやしないかとどうしても気になってしまいます。私が自宅で使っているNECのLaVieなんかは左手前こそ同じ配置であるものの右側面のUSB端子は手前ではなく奥にあり、そのかわりCDの挿入箇所が手前に来るなどエプソンとは対照的です。
 ただこのUSB端子ならば左手前部分の端子だけを使うことによってまだ我慢できますが、本当にどうにもならないのはキーボードの配置です。まず下記の画像をご覧ください。


 注目してもらいたいのは右端近くにある「Enter」キーです。写真からだとわかり辛いかもしれませんが、実物で見るとこれが非常に小さく、何で一番打鍵回数の多いこのEnterキーをわざわざ小さいサイズにしたのか不思議でしょうがありません。しかもその左手前にある鍵括弧の『「』と『」』キーも、何故かこれだけほかのキーに比べ2/3程度の大きさにされており、ブラインドタッチで叩いていると通常のキーボードと感触が違ってすごい迷うし実際にミスタイプすることが多いです。真面目な話、文字入力で変換後に確定しようとEnterキーを押そうとしたらその右隣の「PgUp」、「PgDn」を押してしまうミスタイプなんて、このノートPCに触れて初めてやらかしました。
 このキー配置の仕方は本当に不思議で、ボディを見る限りだとキーボードの両側面はまだ幅があるように思えるし、キーボード幅が変えられないにしても左端の「Tab」キーと「Caps Lock」のキーの方が打鍵回数は少ないのだからこっちを逆に小さくすればいいのではないかと思えて仕方ありません。私のようにやたらキーボードを叩く回数の多い人間からしたらこのキー配置は閉口するよりほかなく、無線接続キーボードでも使おうかなと検討してます。

 以上がこのノートPCに対する主だった評価ですが、総合して評価を下すならばコストパフォーマンスには非常に優れたパソコンだと言って間違いありません。キーボードの配置だけは本当にひどいものですがそれ以外であれば同クラスの他社製ノートPCに大きく劣ることはなく、それでいてこの値段であれば個人のネット観賞用、オフィスワーク用であれば十分実用に耐えうるでしょう。

 あと隠れた長所として、パソコンの初期設定が他社製と比べて格段に優れています。エプソンのパソコンはすべてネットを通して注文を受けてから組み立てられて出荷されるBTO(Build to order)パソコンなのですが、製品が家に届いた段階でOSなどはすぐ使用できる状態にされており、そして何より余計なアプリケーションソフトが一切入れられていません
 この辺り、NECや東芝、あと富士通辺りのパソコンに顕著なのですが、新品を買うとまず使うことがないであろう余計な補助ツールやセキュリティー、写真編集ソフトなどがやたらめったらインストールされており、開梱後はこれらのソフトを全部アンインストールするところから始めなければなりません。しかしエプソンのパソコンに関してはユーザー登録を促すアプリを除いて余計なソフトは一切なく、文字通り受け取り後にすぐ使用できるので地味に使い勝手がいいです。

 そういうわけでこのパソコンの各ポイントをA~Eの5段階評価でまとめると以下のようになります。

PC性能:C 可もなく不可もなく使用に当たって全く問題ないレベル
デザイン:B シンプルながら意匠が行き届いている。ボディ色さえ選択できれば文句なし
外部接続:D 壊滅的とまではいかないがあのキー配置だけは理解し難い
初期設定:A これ以上の水準は多分ないであろう
コストパフォーマンス:B この性能でこの価格なら十分お得

ただ単純に価格だけを追い求めるのであればLenovoやASUS、、Acerといった中華系メーカー、そして米国のDELLの方が安くてPC性能も高いラインナップを揃えているので、コストパフォーマンスではエプソンがナンバー1ってわけにはなりません。それでもこのエプソンのパソコンを私が選んだ理由を挙げるとまずはデザイン性、そしてこれは変な話ですがレアリティです。エプソンのパソコンは先ほどにも書いたようにBTOなので出回っている数が少なく、持ってるだけで一つの個性つを発揮できるくらいです。実際に中国に持って帰ってきて事務所の複合機の設定を業者の人間呼んでやらせたところ、「何このブランド?見たことない」って驚いてくれました。

 最後にこのノートPCの価格について、通常価格は46000円(税抜き)ですがちょうど今セールをやっていて3000円がここから差っ引かれます。なおこのセールはちょうど私が購入した直後に始まったもんだから、「デスクリムゾン」に出てくる伝説の傭兵「コンバット越前」のように「やりやがったな!」などと口走ってました。

大塚家具の一連の騒動について

 やっとというべきか、先月頃から各種の報道を騒がせ世間の関心を一手にかっさらっていた大塚家具の親子対決が昨日、ようやく決着がつきました。

 もはや説明する必要はないでしょうが後年を見越して簡単に説明しておくと、家具販売大手の大塚家具で、創業者でもあり会長である大塚勝久氏とその娘で現社長の大塚久美子氏が社長職を巡り昨日の株主総会で激しく争い合いました。結果は株主から多くの支持を得た久美子氏の勝利となり、敗北した勝久氏はそのまま期間満了ということから取締役が解任され、事実上経営から追い出されることとなりました。
 両者の対決はそこそこ年季が入っているというか結構まだるっこしい所があるので、年表にして簡単にまとめてみましょう

<2007年5月>
 勝久氏が行った自社株のインサイダー取引に対し金融庁から追徴課税を受ける。
<2009年3月>
 インサイダー問題の引責として勝久氏が社長職から退き、久美子氏が社長に就任する。
<2014年7月>
 て勝久氏の提案から久美子氏が社長職から解任され、勝久氏が社長に再就任する。
<2015年1月>
 4期ぶりの営業赤字となったことから取締役会で、4対3の僅差ながら勝久氏の社長職解任が決議され、久美子氏が社長に再就任する。取締役会の翌日、勝久氏は3月の株主総会で久美子氏の解任動議提案を出す方針を明らかにし、久美子氏側も勝久氏を含まない新役員の任命提案を出し、株主委任状の争奪戦が勃発する。

 以上が両者の争いの大雑把な流れです。最終的には先ほど述べた通り株主からの支持数で勝った久美子氏の提案が株主総会で通り、この壮大な親子喧嘩は娘の勝利で終わったと言えます。
 両者のケンカの種ともいうべき経営方針の違いとは、細かく説明するのは野暮なので簡単に言えば、父親が従来の営業方法を重視したのに対して娘なよりカジュアルに変革しようとするなどいわば保守VS変革と呼べるような違いからの対立だったと言われています。

 このニュースに対する私の意見を述べると、まず一言で言うと見ていてすっごく面白かったです。仮に自分が大塚家具の社員だったらこんな風には言えませんが、縁もゆかりもない傍観者の立場からするとこの因縁深くリアルタイムで物事が動いた両者の争いはエンターテイメントとしてこの上なく、当事者たちには本当に申し訳ないのですが堪能させていただきました。
 中にはそんな言い方は不謹慎だなんていう人もおられるかも知れませんが、死者を冒涜したり他人の人生をふいにさせるなど度を越したものでなければ楽しいと思えるニュースは素直に楽しんだ方がいいと個人的に考えています。

 ただ一連の騒動に対する事前報道からすると、今回の結果はやや意外さを覚える結果でした。というのも株主総会前の報道を見ているとほぼすべてのメディアで、「父親が有利」という下馬評が出ており、蓋を開けてみたら娘の久美子氏が勝ったもんだから、「あれ、予想報道と全然違うじゃん」なんて拍子抜けました。票読みが難しい案件であったことは確かですが、それならそれで「どっちに転ぶかわからない」という報道をすべきだったのではないか、一体日系メディアは何を根拠に父親有利説を出したのかとすこし憤りを感じます。もっとも、反省もしないでしょうし検証もしないでしょうが。

 その上で今回の結果に対する感想を述べると、久美子氏が勝利して良かったのではないかと私個人としては考えています。やはりどう考えてみてもインサイダーやらかしたり、業績をまた悪化させたりと勝久氏の経営能力や人物は如何なものかと思え、久美子氏のカジュアル路線が今後成功するかどうかはまだわかりませんが、少なくとも勝久氏の保守路線はどのみち駄目だろうという気がしてなりません。その上で、久美子氏のやり方が成功すればそれはそれでいいでしょうが、失敗すれば恐らく勝久氏が再就任していたよりも早く潰れるだろうし、業界全体の発展にとってもその結果はいい効果を生むはずだと見ています。

 こうした意見は今回見ていてほかに誰も言っていなかったのですが、良くなる会社はどんどん良くなって売上げや利益を増やすだけ増やした方がいいと思いますが、逆に駄目な会社はどんどん駄目になってなるべく早く潰れてくれた方がいいと私は考えています。何故なら経営方法が悪い会社が潰れればその分の売上げが経営のいい会社に流れ、経済合理性ともいうべきか業界や社会全体に取っていいサイクルが加速するからです。逆に経営の悪いゾンビみたいな会社がしぶとく生き残れば業界の足を引っ張ることとなり、実質それが失われた十年を生む要因になりました。

 そういう意味で今回久美子氏が勝利したことによって、大塚家具はまた久美子氏流のカジュアル路線への変革に突き進むでしょう。変革には投資も必要で、失敗した場合は何もしなかった場合よりも間違いなく寿命を縮めます。成功すればもちろんいうことなしですし失敗すれば早く潰れる可能性が高まるのだから、やや皮肉っぽい言い方ですが私は今回久美子氏が勝って家具販売業界全体にとっては間違いなくプラスだろうなという風に今回の結果を見ています。もちろん、誰が言い出したか知りませんが「家具屋姫」こと久美子氏には無事変革を成し遂げ、立派に成功してもらいたいとは祈ってはいますが。

 最後にこれは私ではなく友人の意見ですが、今回の騒動を見ていて大塚家具は詰めが甘いという指摘が来ています。今回の騒動中、勝久氏も久美子氏も揃って何度も会見を開きメディアを通して自身の正当性を訴えてきましたが、そのどれもがオフィスとか普通の会見場だったそうです。その友人曰く、「折角家具のショールームを持っているのだからそこで会見し、自社の商品を映像に流して大きく宣伝するべきだった」と述べ、ややみっともない内輪もめとはいえそれすらもビジネスチャンスにつなげる努力が足りないと話していました。
 その上で友人はソフトバンクの孫正義社長が一時期流行った「アイスバケツチャレンジ」を行った際、きっちり自社の「SOFT BANK」という会社ロゴの前でやってみせてその画像をツイッターで流すという抜け目のなさを見せたことと比較し、経営者としての格の違いが出ていると断じています。私もこの友人の意見に至極同感なのですが、孫社長のアイスバケツチャレンジの写真を見て最初に思ったのは、「やっぱこの人が水被ると頭の方が余計みすぼらしくなるな……」ってことで、会社ロゴよりも孫社長の頭の方に目が行ってました。

2015年3月27日金曜日

千葉のマッドシティ~縁のある有名人

 また本題と関係ありませんが昨日勤務先の工場に警官二人が来て、何でも先日に工場近くの川で死体が見つかったので何か心当たりはないかと尋ねて情報提供を呼びかけるチラシを置いて行きました。チラシによると死体は壮年男性で身長は162センチ。赤いジャンパーを着ていてその写真もついていましたが、有力情報提供者には1万元(約20万円)を出すと書かれてあったので殺害されたような跡でもあったのかもしれません。ちなみに同僚たちは、「うわー死体だって。どうしよー」などと女子高生みたいにちょっと盛り上がってました。

 そういうわけでまたマッドシティ。毎回、地元の人間以外を置き去りにしたネタばかりを展開しているので今日はもうちょっととっつきやすく松戸市に縁のある有名人をいくつか紹介しようと思います。

松戸市出身もしくはゆかりの有名人(Wikipedia)

 正直な所、私の記事読むくらいなら上のウィキペディアの記事読んだ方が早いだろうし詳しいでしょうが、ひとまず松戸市に縁があって私もそこそこ知っている人を幾人かピックアップして紹介します。

 まずスポーツ選手の枠で語れば、阪神タイガースの現監督である和田豊氏の名前が私の中で真っ先に挙がってきます。和田氏は松戸市出身ですが高校は別の市の高校に通っており、その高校では「ガンダムF91」の主役であるシーブックの声優をしていた辻谷耕史氏と、「少年アシベ」にでてくるアザラシのゴマちゃんの声をしていたこおろぎさとみ氏と同級生だったようです。ちなみにこおろぎ氏はゴマちゃんの収録中、喉から血を出したと聞いております。
 同じ野球枠だとかつての西武のエースで現在は千葉ロッテに在籍する涌井秀章選手も地味に松戸市出身です。また松戸市出身ではないものの、新松戸にあったスケートリンクにはこの前引退したフィギュアスケートの男子選手の町田樹氏が幼少の頃に通っていました。

 次に芸能人枠だと私が反応できる名前は安倍サダヲ氏、高木美保氏、あとラッシャー板前氏がウィキペディアのリストから上がってきます。なんでこの三人なんだろうという気もしますが、この三人以外だといまいちピンと来ないのが本音です。あと押切もえ氏も一応反応できるが、彼女は今どこで何やってるんだろう?
 文化人の枠だともう少し反応できる人が増え、「どうぶつ奇想天外」などで活躍された千石先生こと千石正一、女性宇宙飛行士の山崎直子氏など著名な人物も名を連ねています。特に山崎氏に関しては松戸市も地元の英雄のような扱いをしていて、松戸駅内の通路には常に山崎氏が写ったポスターが貼られてあるくらいです。

 そんな有名どころの下、既にウィキペディアのリンク先を見た方ならもう察しが付くでしょうが、先の二人を軽く凌ぐような超大物の名前がさりげなく書かれています。そう、小保方晴子氏です。去年の騒動の際には彼女が松戸出身であることがネットの掲示板に書かれるたびに、「またマッドシティ出身かよ」などと書かれることもあり、「またってなんだよ……」なんて妙な感想を覚えました。
 それにしても去年の今頃はSTAP細胞でちょうど大騒ぎし始めた頃でしたが、今年も既にみつきも過ぎているにもかかわらず、佐村河内、野々村前議員といった世間の関心を一挙にさらうような人物が一人も出てきていません。当時からも実感していましたが去年はなんかこう、十年や二十年に一度歩かないかってくらいの人材の当たり年だったんだなぁとしみじみ思います。

2015年3月26日木曜日

文章は口ほどに物を言う

 この頃、初赴任地が金沢だったので飲めないのにヤケ酒するほど落ち込んだことのあるうちの親父から送られてくるメールに、「ブログの文章が荒れているが何か嫌なことでもあったの?」とか、「最近ブログが落ち着いてて調子良さそうだね」などという文言が書かれてあり、どうやらこのブログの文章から勝手に私のメンタルチェックを行っているもようです。文章からメンタルチェックをするというと多分大半の人が「なんやねんそれ」とか思うかもしれませんが、私個人としてはあながち親父のこの行動を的外れなものだとは考えておらず、私自身もよく他人の文章を読んで書き手の性格、知識、当時の心境などを分析してます。そんな私に言わせれば文章というのは書き手の人間性を強く出すもので、時と場合によっては書き手の意図しない部分まで見せることもあると考えております。

 実際にこのブログを定期的に読んでいる方ならわかるでしょうが、私の文章は書いた当時の気分を割とストレートに出しているので、記事ごとにどんな気分で書かれたのかがわかりやすいと思います。しょうもない内容を嬉々として書いていることもあれば明らかにやる気がなく何か義務的に書いている感じもする文章もあり、叩き甲斐のある相手を見つけて多少の正義感と共にニヤニヤした感情剥き出しで書いてある文章なんかは、「ああ、あるある」って具合で思い当たることも多いことでしょう。また私に限らずとも他の人でも、ブログの文章にプライベートで切羽詰っていそうな印象を覚えることもあれば、本気で悩んでそうだったり、逆にうれしくてしょうがなそうだったりと、表現力の差はありますが多かれ少なかれ書かれた当時の心境が出てきてしまっています。

 しかし、文章から読み取れるのは何も書かれた当時の心境だけでなく、読み方によってはそれ以外のパーソナリティも一瞬で喝破することができると断言します。その一例と言ってはなんですが先日、友人が「こんなメールが来たんだけど」と一通のメールを見せてくれました。そのメールの内容は友人がやっているサイドビジネスに関する問い合わせで、何かコラボできないかと提案した上で今度お会いしたいと書かれていたのですがこのメール文を一読して言った私の返答はなんだったのかというと、

「メール文を読む限りこの人はそんなに頭が良くないから、提携する、しないという議論以前にビジネスパートナーとして頼りにならないだろう。会うのは勝手だがあんまり期待しない方がいいかもしれない」

 という、我ながら身も蓋もない返答の仕方をしました。恐らく友人は向こうの提案内容について私に意見を求めたのでしょうがこんな返事が返ってきて、「え、なんなんそれ(;゚Д゚)」という具合でやや唖然とした顔を浮かべていました。それからしばらくしてこの友人が実際にメールの送信主に会ってきたので印象を尋ねると、「花園君の言う通り、確かに馬鹿そうだった(;´Д`)」、などと言うもんだから、「だろぉ(・∀・)ニヤニヤ」と言って私もどや顔を浮かべてました。
 この時の種明かしをすると、その問題のメール文ではまず接続詞の使い方が未熟で文章のつながりが悪かったことと、ビジネスプランの説明の際に余計な修飾語を頻繁に使ってくどく長くわかり辛い文章に仕立ててビジネス文書としては核心が掴み辛くふわふわした文章だったので、恐らく書き手は事務的な見かけにこだわるあまりに本題を上手く伝えきれないタイプの人間で対面で説明聞いてもなんかピンと来ない説明のされ方をするだろうと判断しました。友人にこの分析を話したら、「大体そんな感じ」と言われてここでもまたガッツポーズしました。

 文章だけでそこまで分かることが出来るのかと思われるかもしれませんが、案外わかるというか私の実感では分析の的中率はそこそこ高いような気がします。もちろん万能というわけでなく外れることもありますが、やはり文章がわかりやすくまとまっている人は話を聞いていても賢そうだなぁと思えますし、逆に単文を何度も区切ってほとんど複文を使わずに文章をまとめる人は話しを聞いててて失礼ながら、「一体何を言いたいんだこの人?」って言いたくなる人が多いです。
 このほか内容の少なさの割に文字数が多い人は体面を気にしやすかったり、カタカナ語を多用する人はボキャブラリーが少なかったり、私に言わせれば文章というのは相手の人格分析をするに当たって宝の山みたいなもんです。あとこれは偏見かもしれませんが、無駄に難解な言葉を使用しようとする人は左翼的な平等思想の持ち主が多いような気もします。

 こうした文章に滲み出る人格というのは、意識して集中すれば覆い隠すことは不可能ではありません。しかしいちいち書く文章にそこまで気を使う人はまずおらず、大抵は馬脚が出るというか少なからず性質が出てくるでしょう。私などはそういう文章に出てくる性質こそがその人が持つ個性だし隠すべきじゃないと思うのでむしろ露骨に出すようにして書いていたら、「ブログが無駄に攻撃的過ぎる」と注意されるようになったわけですが、逆を言えばきちんと自分の個性をうまく表現できている証拠かなと前向きに見ています。

 以上までがまた私の独創的な考え方というか暴論のあらましですが、最後にもう一つだけ文章から読み取れる性格分析方法を記しておくと、文章から相手を一番簡単に図れる指標は文字数です。
 それこそ「ソ連は何故崩壊したのか」というような壮大なテーマであれば文字数が多くなるのは仕方ないですが、「よいコミュニケーション方法とは?」などといういかにも採用試験で出てくるようなどうでもいいテーマに対する文章で大量の文字数で書いてくる人間を私は評価できません。先程にも書いた通りに内容に対して文字数が少なければ少ないほど簡潔にかつ分かりやすくまとまっていると言え、数式で書くなら、「内容/文字数」の数値が高ければ高いほど評価できます。それだけにしょうもない内容に対して長ったらしく書くのは書き手にも読み手にも無駄な行為でしかなく、先ほどの様に人をおちょくっているとしか思えないテーマであれば自分の考えを一言述べればそれでOKだし、私はそういう人間ほど評価します。
 なお先ほどのテーマに敢えて回答するなら私は、「目と目で通じ合う」とだけ書きます。こんな返答の仕方ばっかしてたから書類で落とされまくってたんだろうな俺。

2015年3月24日火曜日

ゲームレビュー:極限脱出ADV 善人シボウデス

 昨夜友人に、「体調大丈夫?」と聞かれましたが、多分友人はどっちかっていうと「ゲームし過ぎじゃね?」と聞きたかったんだと思います。まぁその後の返答には、「もうすこしでエンディングだから大丈夫だよ」と答えましたが。
 そんな友人にも心配されるほど何のゲームをやっているのかというと、この前の一時帰国時に買ったPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」です。どうにかこうにか昨夜にエンディングを見ることが出来たので、久々にゲームレビュー記事として書こうと思います。

極限脱出ADV 善人シボウデス(Wikipedia)

 このゲームソフトはニンテンドー3DSとPSVitaの2ハードで発売され、私が遊んだのはPSVita版です。ゲームジャンルはアドベンチャーで、なんで遊んでみようと思ったのかというとなんか無性にテキスト読まされるアドベンチャーゲームをやりたくなって、他にもいろいろ買い込みながら「折角だから」と思いつつ、質のいいアドベンチャーゲームとして評価が高かったこのゲームも買ってみました。結論から述べると期待に反さず、「かまいたちの夜」を始めとする傑作サウンドノベルゲームを作ったチュンソフトなだけあって面白いゲームでした。

 先に述べておくと、このゲームは2012年の発売ですが2009年に発売された「極限脱出 9時間9人9の扉」の続編に当たり、前作の登場人物も何人かがそのまま出演しています。前作を遊んでいればシナリオの裏側というか背景も読めてプラスでしょうが、私の様に前作を遊んでいなくてもシナリオが理解できないということは全くなく、マイナスの影響はほとんどないためこのゲームから始めてもほぼ問題はないでしょう。

 ストーリーのあらすじを話すと、大学生の主人公がある日目を覚ましたらエレベーターの中に閉じ込められており、同じエレベーターの中にはヒロインに当たる女の子も閉じ込めらていて、二人とも何故ここにいるのか、誰に連れてこられたのか記憶が全くない中でひとまず脱出を試みるという出だしとなっております。
 このゲームは通常のアドベンチャーゲームのように選択肢を選んでテキストを読み進める「ノベルパート」と、上記のエレベーターのような閉じ込められた状態から室内を探り、パズルなどを解いて脱出する「脱出パート」という二種類のゲームパートに分かれて構成されています。メインはもちろん「脱出パート」ですが、ノベルパートも選択肢が豊富にあり、そのシナリオは樹形図のように細かく分岐していき、分岐後の各シナリオを読んでいくことで徐々に物語の真相がわかっていくという形式になっています。

 脱出ゲームのほか、ストーリーの中ではいわゆる「囚人のジレンマ」に題材を取ったようなゲームも展開され、信頼していた仲間に裏切られることもあれば逆にプレイヤーが裏切ることもあり、なかなかにシナリオは展開が大きいです。また複数のシナリオを跨ぐことで初めてシナリオの進行に必要なパスワードがわかるようにもなっており、ゲーム後半では文字通りに各シナリオの集大成のような展開となり、ただテキストを読んでいるだけでも結構熱くなってきます。
 ちなみにゲームの展開というかシナリオによっては一方的に裏切られて主人公が死ぬこともあれば、一緒に探索する仲間が殺されたりする展開も起こり得ます。果てには主人公以外全滅なんていう結構ショッキングな結末もあれば主人公とほか二人だけが監禁場所から脱出できたものの、ほかの人間は置き去りになるという展開もあって、全体的にはハードな結末が多いです。

 それでこっから私個人によるレビューとなりますが、まず一番言いたいことはそのテキスト量の膨大さです。私のエンディングまでのプレイ時間は約30時間ですが、これは今まで遊んだアドベンチャーゲームの中では異例なくらいに長いです。調べてみるとほかの人もクリアまで30時間程度かかったという人が多く、その誰もがテキストが膨大だったという感想を述べています。
 このテキストの膨大さはもちろん欠点ではなく、長く遊べるという意味ではむしろ長所です。しかしほかのレビュアーによっては複数のシナリオで似たような展開があったりするので、読んでて間延びするなどという評価も出ており、これには私も同感です。具体的に言えば、「そろそろあいつが病気で倒れる頃だな」とシナリオ途中で段々わかってきます。

 次に脱出パートについてですがこれは非常によく出来ており、一応難易度ハード(ハードとイージーしかない)で全問クリアしましたが、どれも時間をかければなんとか解けるものの要所要所で頭を使う必要があり、うまいこと脱出に成功したら軽くガッツポーズを取りたくなるような達成感が感じられます。ただ一部のパズルは明らかにヒントが少なすぎて余計な誤解生んだりするのもあり、特にサイコロの目を決まった位置に決まった目で置くというパズルではヒントの方角が曖昧だったため、解釈は正しかったものの配置方向が間違っていてなかなか突破できず苦労させられました。

 最後にシナリオの出来ですが、このゲームのシナリオライターはゲームの設定をシナリオに組みこむのが上手いと評価されているそうで、このゲームでもそれが如何なく発揮されています。具体的に述べればプレイヤーがプレイ途中で別のシナリオに「ジャンプ」するという設定を組み込んであり、理由づけといいシナリオの立て方は確かに腕の良さを覚えます。またゲーム終盤の怒涛の展開は息もつけないとはああいうもので、各シナリオにちりばめられていた細かい要素が一気に集まってはじけるような、人によっては多少のくどさを感じられるかもしれませんが真相が超スピードで明らかになるあの展開は大したものだと目を細められました。

 しかし、というかこのゲームの最大の賛否両論点でしょうが、最終的な結末に関しては確かに人を選ぶでしょう。多少ネタバレになりますがその結末というのはどんなものなのかというと、続編を前提にした結末になっています。大まかに書くと、「全ての真相は次のステージで明らかになる!」って具合でブン投げられており、一応主人公たちが何故監禁させられ、何故命を張ったゲームをさせられていたのかなどの理由は判明するものの、そのゲームの最終目的と結末に関しては「次回を待て!」で終わってしまうので、仮に次回作がこのまま出ないなら未完成作品として終わりかねません。事実、「善人シボウデス」の発売から約三年経っていますが、続編の噂は未だとんとありません。
 特にこの続編を前提とした結末で割を食っているのはヒロインで、他のキャラクターはほぼ完全にその来歴や目的といった人物像が最終的に明らかとなるものの、このヒロインだけは結局最後までどういう人物なのか、何故連れてこられたのかが不明なまま終わるなどかなり不遇な扱いです。どうもネットで見ていると、このシナリオライターはこういう尻切れトンボ的なシナリオを書くことで有名だそうです。

 以上がゲーム内容に関する感想でこっからは適当なことを書いていきますが、このゲームでは主人公を除き8人の主要人物+AI1体が出てきますが、どれも声優陣は豪華で、特に、「クレヨンしんちゃん」の園長先生役をやっていて昨年亡くなられた納谷六朗氏の演技は思うところもあって色々と耳に染みました。

 能登麻美子氏や田村ゆかり氏、TARACO氏など出演する声優のほぼ全員が実力者で構成されているのですが、この中でもその演技ぶりに一際驚いたのはヒロインの声を当てている小見川千明氏です。私は小見川氏の出演作だと「それでも町は廻っている」のアニメを以前に見ているのですが、この作品で主人公の嵐山歩鳥を演じる小見川氏の声は一度聴いたらまず忘れられないくらい特徴的なキンキン声で、演じるキャラクターには確かにはまっているからいいけどこんな特徴際立つキンキン声ならほかのキャラクターはまず演じられないだろう、要するに「ワンオフ声優」だろうと当時思っていました。
 しかし、この「善人シボウデス」で小見川氏が演じたヒロインの「ファイ」というキャラクターはクールで冷静沈着かつ毒舌な性格で、先ほどの元気だけが取り柄な天然ボケ系の性格した嵐山歩鳥とはまさに正反対なキャラクターであったものの、かなりイメージに近い声で見事な演技ぶりを見せています。特に要所で見せる絶叫系のセリフは聴くだけに切迫感を感じさせられるような見事な声の出し方で、こんな風に演じ分けが出来る器用な声優だったのかと一気に評価を改めさせられました。小見川氏は出演作が少ないだけに、もうちょっといろんなところに声出した方がいいのではと思うくらいに。

 ちなみに、声優の演技のうまさはさっき書いたように絶叫するセリフで差が出てくるように思います。絶叫というと大声を出せばいいだけでなくその状況に合わせた切迫感、怒り、恐怖といった感情をまとめて表現しなければならず、なおかつ発音もしづらい声の出し方なのでこの辺で実力の違いが一気に出てくると勝手に考えています。
 そんな私からして今まで聞いた絶叫系のセリフが上手い声優を挙げるなら、「キルラキル」というアニメで主人公役を演じた小清水亜美氏です。このアニメ自体、いつどのシーンでも誰もが絶叫しまくるというカオスなアニメでしたが、その中でも群を抜いているというか「この人どっから声出してんの?」と聞いてて不思議になるくらいに演技が上手かったです。もはやゲームのレビューなのか、声優の批評記事なのかわからない記事になってしまったなぁ。

2015年3月23日月曜日

リー・クアンユーの逝去について

 このところ気温の寒暖差が大きいせいか、それとも昨夜夜中二時までゲームし続けたせいかまた頭痛を起こして調子が悪いので、今日はパッと書ける時事ネタにします。それにしてもあのサイコロの謎解きは酷い……。

 あちこちで報道が既に出ていますが、名実ともにシンガポール建国の父といえるリー・クアンユー元首相がこのほど逝去されました。シンガポール自体がまだ若い国ということもありますが、建国からその独自発展の礎を築いた人物なだけにまたも世界の大物が去ったかという印象を覚えます。

 私自身はリー・クアンユーについてそれほど詳しくはないのですが、前の会社の上司が彼のあるインタビューを引用して「桁違い」だと高く評価していたことをよく思い出します。そのインタビュー内容というのは米国の9.11直後、この事件について感想を求められた時に答えた以下の一言です。

「テロリストと革命家というのは成功するか否か、紙一重の差に過ぎない」

 この場合のテロリストというのは言うまでもなくオサマ・ビンラディンを差し、後者に関してはいくつか候補はいますが無難な所だとキューバのカストロ議長あたりでしょう。

 この言わんとする内容はテロリストも革命も既存政権に対して過激な反抗行動を取るという点で一致しており、その後の政権奪取に成功すればそれは革命となるが失敗すればテロリストという犯罪者に終わるという意味で、本質的に両者は同じ存在だという意味です。

 この意見に対して肯定論も否定論もいくらでもあるでしょうが、9.11の感想を求められて用意していたかどうかは置いといてパッとこの一言を言えてしまう、しかもビンラディンなどの具体名は出さずにやれるあたりは並外れていると元上司は言っていました。私自身の評価も元上司と同じで、9.11の行為そのものが善か悪かという概念で見るのではなく、国家というシステムという枠で捉えるとすればその視点はやはり国家元首を務めた人物の物だという迫力を感じます。

 現在、シンガポールは小国ながら中継貿易と金融で世界のグローバル市場で確固とした地位を築くに至っております。個人的には完全なライバルである香港に思い入れがあるためこっちに頑張ってもらいたいものですが、このようなシンガポールという国を文字通り引っ張っていったリー・クアンユーに対し改めて敬意を払うと共に哀悼の意をこの場にて表明しようと思います。

2015年3月22日日曜日

ハゲ市場~広がる世界、広がるかつら

 きっかけは友人との会話中に出てきた何気ない一言からでした。

「アートネイチャーのかつらって、どこで作られているんだろ?」

 なんでこんなことを口走ったのかというと、この情報が無ければ「あなたのかつらはどこから?」、「私は○○から」という掛け合いが成立しないのではと考えたからです。もっともその時は本気で調べるつもりもなく適当に口走ったつもりでしたが、話を聞いていた友人がちょっとマジになってIR資料とか取り寄せて調べ始め、「どうやらマレーシア辺りで作っているらしいぞ」と報告してきたので、これはニュースになると思い引き継ぐ形で私も調査を始めました。

 ただかつら市場に対しては以前から興味があったというか調べてみたら面白そうな業界だとは認識していました。何故かというと男性が金額に糸目を付けずに欲しがって購入するものときたら昔は自動車でしたが近年は消費嗜好が変わりこれからも離れつつある一方、かつらに関しては未だに消費意欲が高いと方々で言われており、自分も会社作ろうとした時にこの方面で何か入り込めないかと思案していました。
 そのかつらですが、全くこの業界に関与していないのでほとんど知識はありませんが見るからに手作業で作ってそうな代物で、労働集約型産業の産物にしか見えない代物です。となると日本国内で生産すれば人件費が高くついて商売にならないだろうから、恐らく人件費の安い海外工場で作っているのでは。ならば日本で流通しているかつらはどこで作られ、どういう流通を経て消費者の手元へ届けられるのかがどんどんと気になり、また海外市場で日本のかつらは売られているのかも同時に知りたくなって折角だから気合入れて調査しようという結論へ至りました。

 調査に当たっては日本を代表するかつらメーカー二社のアートネイチャーとアデランスを調査対象に選び、この二社の動向から世界市場を分析することにします。

<両社の会社規模>
 調べるに当たってまず、調査対象の二社の企業規模をまとめました。結果は以下の通りです。

会社名
資本金額
従業員数
アートネイチャー
36億6,328万円
2,909人
アデランス
129億4,400万円
5,305人

 業界関係者の方には大変申し訳ないのですが、今回調査するまでこの二社は同じくらいの規模ではないかと勝手に考えていました。実際にはアートネイチャーに対してアデランスは資本金額は約3倍、従業員数も約2倍と大きく上回っており、業界大手同士とはいえ規模の違いがはっきり出ています。

<両社の直近の売上げ>
 会社規模でアデランスの方が大きいということはわかったので、それでは売上げはどの程度差があるのかについても調べました。アートネイチャーの会計期間は一般的な4月開始3月末締めですがアデランスは何故か3月開始2月末締めというちょっと変わった期間設定のため厳密な意味での同時期の営業成績というわけではありませんが、直近1年間のそれぞれの売上げと純利益を下記にまとめました。

会社名
期間
売上高
純利益
利益率
アートネイチャー
2013年4月~2014年3月
400.2億円
14.0%増
31.3億円
35.5%増
7.8%
アデランス
2013年3月~2014年2月
677.6億円
32.6%増
42.8億円
29.7%増
6.3%
※パーセンテージは前期比との比較

 見ての通りに会社規模が大きい分、売上高もアデランスがアートネイチャーを上回っております。ただ売上高に対する純利益の割合に当たる利益率ではアートネイチャーが7.8%とアデランスの6.3%を1.5ポイント上回っており、単純に売上高だけでは見えない両者の質の違いも出ております。
 それにしても両社とも売上げ、純利益ともに二桁超の増収増益で、一見して「やっぱ儲かってるんだなぁ」という妙な頼もしさを覚えます。今時30%超も当たり前のように増益する業界もあるのだと惚れ惚れする成績ぶりです。

 上記データは直近会計年度1年間の営業成績で、今度は今期第1~3四半期(Q1~Q3)の営業成績を見比べてみましょう。

会社名
期間
売上高
純利益
利益率
アートネイチャー
2013年4月~2014年12月
298.9億円
3.5%増
16.2億円
32.2%減
5.4%
アデランス
2014年3月~2014年11月
560.5億円
15.9%増
41.2億円
39.2%増
7.4%
※パーセンテージは前年同期比との比較

 こちらのデータははっきりと両社に差が出ており、アートネイチャーの売上げは微増に留まり純利益は-32.2%と大幅に減少している一方、アデランスは依然と二桁超の増収増益を達成しており、利益率でもアートネイチャーを逆転しています。実はこの両社の数字にはからくりがあり、口述しますがアートネイチャーはカンボジア工場の新規投資で資金を使っており、アデランスに関してはアベノミクスの追い風というか円安の恩恵を多大に受けている節があります。
 それにしてもこういう記事を書いていると毎日財務諸表を見ていた経済記者時代を思い出すなぁ。よくこういう表も作ってたもんだから我ながら手慣れたもんだし。

<海外展開>
 いよいよ本番の話です。両者の海外展開に関しては姉妹サイトの「企業居点」の方で早速昨日、保有する海外法人をまとめてアップしたので以下をご参照ください。

アートネイチャーの海外拠点
アデランスの海外拠点(どちらも「Comlocation 企業居点」より)

 結果を述べるとアートネイチャーが海外6拠点に対しアデランスは21拠点と大きく引き離しており、またアートネイチャーはアジア地域でしか展開していないのに対してアデランスは欧州、北米でも手広く販売網を広げているため、海外展開に関しては間違いなくアデランスが大きく先を走っている状態です。この点はアートネイチャーも自覚している節があり、今季上半期決算のプレゼン資料を見ると海外展開の注力を今後の課題と目標に掲げています。
 では海外の生産工場はどこにあるのか。これについては別にまとめましたので以下をご覧ください

・アートネイチャーの海外工場:フィリピン、マレーシア、カンボジア(現在建設中?)
・アデランスの海外工場:タイ、フィリピン、ラオス

 自分の予想通りというか、如何にも人件費が安そうな国にそれぞれ立地しております。被っているところはフィリピンであとは恐らく相手先を懸念してかそれぞれ異なっていますが、何気にラオスの日系現地法人はかなりレアなので見つけた時は「ワォ」とアメリカ人みたいに驚いた振りしました。
 アートネイチャーのカンボジア工場は今年に設立して恐らく今頃はまだ工場建設の最中であると思われます。Q3の決算報告書では今期の減益理由はこの工場の建設投資にあると説明しており、前年からの大幅な目減りの仕方を見ると恐らくその理由が事実で間違いないでしょう。

<海外販売>
 国内と海外の販売比率に関してはアートネイチャー側は資料で公開していないため、アデランス側の公開資料にあるデータを紹介します。
 同社の今期Q1~Q3の売上げは560.5億円(前年同期比15.9%増)に対し国内売上げは310.4億円(同5.9%増)、海外売上げは250.1億円(同31.3%増)で、国内外の販売比率は「国内:海外=55.4:44.6」となります。

 このデータは私個人としてはなかなか驚かされるデータでした。アデランスの売上げの半分近くは海外から出ており、しかも同社はヨーロッパ各地に販社を持っているだけあって同地域での売り上げをかなり大きく出しております。また北米でも2012年に米国かつらメーカー大手のヘアクラブという会社を買収して市場展開を一気に進めようという意欲も感じるなど、総じて海外展開に積極的な企業と言えそうです。
 また海外販売が大きいということは円安による為替差益も得やすいということで、実際に決算資料をみるとQ1~Q3における為替差益は32億円だと発表しており、陰に隠れてアベノミクスの恩恵を多大に受けております。

 その逆にといってはなんですが、アートネイチャーは円安が逆風となっている節があります。同社の上半期決算資料を見ると減益理由について「人件費が11.2%増加した」と書かれてあり、メイン工場が海外にあることを考えると円安による海外現地社員の給与が増大したのではないかと見られます。アデランスも海外工場で生産をしていますが、同社は生産と同時に海外での販売も行っているだけに、ここで円安による影響が両社で別れたとのではないかと思います。

<その他雑考>
 このほかネタになるデータはないかとそれぞれの決算資料を見ましたが、両社ともに決算資料で「被る方のかつら」よりも取り付けて使う「ウィッグ」の販売強化を強く打ち出しております。恐らく「被る方のかつら」は完全オーダーメイド品のため単価が高いため拡販が難しい一方、ウィッグはオシャレファッションとして認知が広がってきはじめ単価も安いことから拡販しやすいためではないかと考えられます。実際に両社の中国法人のホームページでは女性用ウィッグをメインに打ち出しており、海外市場はやっぱりこれメインで行くつもりでしょう。

 では被る方というかオーダーメードかつらはどうなんだろうと見てみたところ、なんでもアートネイチャーの消費者の男女比は6:4に対してアデランスは4:6だと発表しており、両社で男女比が対照的な感じで分かれて面白かったです。更にアートネイチャーの資料によるとオーダーメイドかつらの売上げのうち、新規とリピーターの割合は「22.6:77.4」と、圧倒的にリピーターの割合が高いことがわかり、営業社員も末永く利用してもらうようサービスの向上に努めるというような文言も書かれてありました。
 元々かつらは単価が高く、通の間では「頭にベンツを載せている」というおっさん臭い例えもされており、実際に高級車を売るような販売のされ方がされているのかもしれません。

 更にアートネイチャーではオーダーメイドかつらの作り方もホームページで紹介されており、多分そうじゃかと思っていましたがやっぱり3Dスキャナみたいな装置で頭の型枠データを取り、その後で職人が毛髪を一本一本埋め込んでいくという作り方がされているようです。埋め込む毛髪は天然素材というか多分人間から取った髪のほか、原価圧縮のため人口毛髪も使われており、この配合比をどうするかというのが技術的な分かれ目となるそうです。
 勝手な予想ですが今後技術が発達すれば恐らく、3Dスキャナで採ったデータから3Dプリンタで型枠が作られ、そのまま毛髪も自動的に生成されてドローンで購入者の所(頭の上)まで運ばれる時代が来ると思います。

 このほかほんとどうでもいいことを書くと、やっぱり会社としてはアデランスの方がしっかりしてそうという印象を覚えます。というのもアートネイチャーの決算資料は一部見辛い所があり、純利益よりも営業利益の解説に重きが置かれていて個人的に「なんやねん」とか思いました。あとアートネイチャーのホームページは英語表記切り替えボタンもないし、全体的にアデランスの方が大人な会社の印象を覚えます。

 そのアデランスですが、ホームページ上では会社の経営スローガンのつもりなのでしょうけど「クレド(信条)」というページがあり、そこに書かれている言葉には「ありがとう・・・あふれる感謝を形にしよう」という、ちょっと一読して「んん?」となる言葉が書かれてます。そもそも、クレドって何語やねん。
 こんな感じでちょっと「んん?」ってなるアデランスのホームページですが、「CSR活動」のページでは昨年12月、病院に入院していて自宅に帰れない子供たちに対してサンタやトナカイに扮した職員が病院を訪問し、プレゼントを渡すという取り組みを行ったことが報告されています。この活動はオーガニック的なアニメ風にいうなら「イエスだね!」と賞賛したくなる活動で、こちらはアデランスを心底見直しました。

  おまけ
 中学、高校時代、薄毛に悩む友人によく、キャンディーズの「春一番」の替え歌で、「もうすぐは~げますね~、ちょっとリアップしませんか♪」とみんなで歌っていました。今思うと酷なことをしたと思います。

  おまけ2
 この記事を書くため両社のホームページ何度も言ってたから、ネットのバナー広告でやたらとかつらを薦められるようになりました。別に全く必要としてないし。

2015年3月20日金曜日

中国での連日の汚職事件摘発

 あまり長く書くネタではないのですパッと書きますが、中国ではこのところ汚職事件での政府関係者、財界人の逮捕が相次いでる、というかヤバいくらいに摘発されています。友人なんかは面白がって摘発のニュースが流れる度にそのニュース記事を私に送ってきて、「明日は誰が捕まるかな?」なんてメッセージを書いてくるのですが、あながち冗談ではなく日めくりカレンダーの様に毎日誰かが摘発されるニュースが出ています。こういってはなんだけど天気予報みたいにテレビニュースで、「それでは、今日の逮捕者ニュースの時間です」という感じで毎日報じるコーナーがあってもいい気がします。

 捕まる人間も市役所とかの小物程度ではなく、見ていて驚くような大物も相次いでいます。先日私も記事にした第一汽車の会長の逮捕なんて日本で言えば日産の会長が逮捕されるような内容ですし、また上海の副秘書長、昆明の副省長(今日捕まった)なんて、こちらも日本にたとえれば都道府県の副知事が逮捕されるようなレベルです。
 そういう意味では習近平総書記が掲げている「反腐敗闘争」は決して看板なだけではなく、本気で中国国内の汚職を可能な限り叩き通そうとする気迫に近い意気込みを感じます。こう言ってはなんですがこの施政方針は市民からも支持を得られますし、また数少ないであろう真面目な役人にとっても頑張ろうというやる気を湧き起こさせ、中国全体にとってもいい影響を生み出すものだと思えます。

 ただうちの同僚曰く、「中国の役人は99%が悪人だからまだまだ叩き足りない」とのことで、反腐敗闘争の終結はもっとずっと先だとの見方を示しています。あとこれは汚職といえるかどうか微妙ですが、以前に中国のサッカーリーグで数人の審判が賄賂をもらっていたのがばれて捕まったことがありましたが、その際に捕まった審判員の写真が並んで新聞一面に掲載されて、「なにこれ、新手のかつらメーカーの広告?」という不思議な感想を抱かせる紙面がありました。そんなくだらないネタを次回の記事への引きにしつつ今日の記事を書きあげる次第です。

2015年3月18日水曜日

日本における三種類の二次大戦

 先日の日本帰国中に読んだ雑誌で、佐藤優氏の書いた評論が載っていたので読んでみました。その評論というか連載記事では北方領土交渉について書かれてあり、その回では交渉の前提にあたる北方領土の歴史や条約の経緯について解説されていたのですが、その中で日本にとって二次大戦は三種類の戦争があったという指摘が興味深かったです。

 三種類のうちの一つは、日本と米英、オランダ、オーストラリアとの太平洋を跨いだ戦争で、これは佐藤氏の言葉を借りるなら「典型的な帝国主義戦争の性質を帯びていた」とのことです。その上で両者の言い分なり立場は五分と五分の関係でどちらかが正しく、どちらかが間違っているという要素はないと言い切っています。
 二種類目は日本と、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアを舞台にした戦争で、これに関してはアジア諸国から日本の行動が侵略と受け止められたとして「侵略的性質を帯びていた」とこちらも言い切り、日本は真摯に反省するべき戦争であったと述べています。
 そして最後、案外これは出てくる人は少ないのではないかと思いますが日本とソ連(ロシア)の戦争を指し、これは日本が侵略された戦争だったとして不当に日本の領土がソ連に掠め取られたと述べています。

 この佐藤氏の主張に対して私の感想を述べると、漠然と上記のような価値観は持っていたもののこれまで戦争相手国によって戦争の性質が異なるとははっきりとした定義分けは出来ておらず、非常に新鮮で見事な視点だと感心しました。その上で日本は侵略国でもあり被侵略国でもあり、また太平洋の覇権を競おうと戦争した国だったのかと、その認識を改めさせられました。

 正直に述べれば私はあの戦争における日本は侵略国家的な要素が強く、米国との戦争に関しては追い詰められたというより何も考えず、なんとなく仲が悪くなっていったから戦争に発展していったという風に考えてました。ただ佐藤氏の言い分を聞いて、太平洋戦争は覇権を競う戦争、要するに主義主張の正当性はどちらも全くない戦争であったという説明を聞いて深く納得でき、やはり大陸での戦争と定義を一緒にすべきではなくこのようにはっきりと分けるべきだと重ねて思います。

 改めて考えてみると、右翼と呼ばれる集団は米英との戦争を取って日本は侵略された(追い詰められた)と主張し、左翼と呼ばれる集団は大陸での戦争を取って日本は侵略したと主張し、同じ二次大戦でもそれぞれの都合のいい部分を切り取ってあの戦争を色んな材料に使ってきた節があります。しかし本来なら太平洋、そして大陸での戦争は「日本の二次大戦」として一つにくくるべきではないほど要素が異なり、かえってこうした各勢力による「いいとこどり」が続いたせいできちんとした歴史の分析が出来てこなかったのかもとも思えてきます。

 その上で最後に述べるとするならば、期間は短かったとはいえソ連との戦争についても改めて再考するべきかもしれません。佐藤氏の言う通りにあのソ連の侵攻は紛れもない条約違反で、日本側から侵攻だと言っても特に門は立たないように思えます。私がこの歴史を再考すべきだというのは何もロシアへの憎悪を煽ろうとかそういうものではなく、どうすればこの何するかわからない猛獣のような国と付き合っていけるのか、そうした問題点を解くヒントが得られる要素があるかもしれないと考えるからです。
 よくこのブログでも主張していますが、中国も何するかよくわからないけど、ロシアはもっと何するかわからず潜在的な危険度で言えば中国の比ではありません。少なくとも中国はその辺をよく認識しており、いつかは米国を下して世界の覇権を握ろうと考えてはいますがロシアとは覇権がどうのこうの以前になるべく関わりたくない、非常に危険な相手だけど仮想敵国にはしたくないという態度をはっきりとみせています。まぁその気持ちはよくわかりますが……。

  おまけ
 この佐藤氏の評論ですが、何に載っていたのかっていうと「ベストカー」というカー雑誌です。なんでこんなのにこんな評論載っているんだろうかと少し不思議です。

2015年3月17日火曜日

美濃加茂市長の裁判での検察控訴について

 既にこのブログで何度も取り上げている美濃加茂市の藤井市長に対して収賄容疑で起こされた裁判ですが、私の意見通りというか希望通りというべきか、第一審では市長側の主張が認められ無罪判決が下りました。ただこれは第一審であって果たして第二審はどうなるのか、通常なら検察は控訴するがこんな証拠もほとんどなくいい加減な捜査で本気で控訴する気あるのかと考えてましたが、どうやら検察は自分の想像以上の存在だったようです。

「市長ははめられたんだ!」潔白を信じた市民…異例ずくめの汚職事件 〝青年市長〟無罪判決(産経新聞、これまでのまとめ)
美濃加茂市汚職:市長の無罪判決不服で名古屋地検が控訴へ(毎日新聞、控訴について)

 上記の毎日新聞の報道によると検察は判決を不服として控訴し、二審へと挑むつもりのようです。既に美濃加茂市議会は検察に対し、裁判が続けば市政の停滞を招くとして控訴を断念するよう求める決議を採択しましたがどうやらこれをガン無視する模様です。
 もちろん決議なので法的拘束力はありませんが、そもそも決議以前にこれまでの裁判過程から何をどうやって控訴しようっていうのか理解に苦しむ点が多いです。一言で書けば、この裁判では証拠は存在せず贈賄したという怪しいおっさんの妙な供述しか根拠はなく、第一審ではそれが根本から信用できないとされたのですからほかに新証拠がない限りはひっくり返しようがないでしょう。

 私の意見をここで書くと、やはりこれまでの裁判経過を見ていてもこの裁判、というよりは事件は検察が中心となって捏造されたもので、これは汚職事件ではなく疑獄事件ではないのかというのが偽らざる真情です。むしろ今議論すべきなのは検察、もしくは愛知県警の誰がこの事件を捏造し、無実の罪に藤井市長を追い落とそうとしたか、いわば事件の黒幕を捜すべき時期ではないかと思えます。
 しかしそうは言うものの、じゃあ誰がその黒幕を捜すのかとなると若干不安がもたげます。まず身内の検察や愛知県警は全く信用ならないし、ならばと特捜が出てきてもこいつらも内部不祥事の隠蔽など御手のもんなだけに大概です。現実問題として、捜査機関の不正を捜査する組織がないというのは現代日本における大きな課題だと思います。

 隠蔽事件も冤罪事件も続々と明るみに出ているものの処分に関しては結構しょうもなかったりすることが多く、神奈川県警や大阪府警もこれだけやっても免職にならないのかと呆れる例が多数あります。それこそ内閣直属、もしくは法務省直属の独立した「捜査機関を監視・捜査する組織」こそが今必要ではないかと考えています。もっとも、こんなこと言うのも自分一人だけだろうなぁ。

 最後にこの検察の控訴について、中日新聞の記事中に癇に障る一文が入っていました。それはどこかというとリンク先の記事末尾にあるインタビュー引用文で、

「同市太田町の商店主の男性(73)は『グレーなつながりを持っていたと分かった時点で、泥仕合になると思っていた。検察・警察にもメンツがあるから、控訴は仕方がない』と話した。」

 この引用文にある「グレーなつながり」ってなんやねんというのが私の疑問です。藤井市長は裁判で汚職の疑いのある行為はしていないと認められており、また贈賄をしたと主張する謎のおっさんと親密に交際していたわけでもありません。にもかかわらずさも市長に疑われても仕方ない要素があったかのように見せるこのインタビューをわざわざ引用する当たり、中日新聞の態度というか腹積もりが透けて見えます。この会社は私が目の敵にしているのもありますが、目の敵にする理由は決して私憤からだけではないというのを理解いただければという言い訳を書いて今日は筆を止めます。

2015年3月15日日曜日

一汽汽車トップの捜査について

 今日はちょっと準備していたネタを下調べを済ませて書こうと思っていたら先日の帰国中に買ってきたPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」の謎解きにはまり時間を費やしてしまいました。結局図形を組み合わせて平行四辺形を作るパズルは攻略できなかったけど……。
 そんなわけですぐに書ける時事ネタ、なおかつこのところ急激に増えている中国ネタとなりますが、興味深いニュースが友人からも送信されてきたのでちょこっと解説します。

中国自動車メーカー会長が規律違反容疑 当局が取り調べ(朝日新聞)

 上記リンク先のニュースによると、中国の自動車メーカー大手である第一汽車の徐建一会長が重大な規律違反の疑いで捜査を受けていることが明らかとなったようです。重大な規律違反というのは要するに汚職で、贈賄や収賄、または横領などが当てはまりますが実質この三つのどれかだと思っていいでしょう。
 そもそもこの徐健一という人物がどんな人物かですが、既に書いた通り上海汽車、東風汽車と並び中国国内の自動車メーカービッグスリーに当たる第一汽車のトップです。第一汽車の売上げは先の二つと比べると一段劣ってて実質三番手ですが、それでも多数の自動車メーカーひしめく中国において一定の地位を保つ超大企業であります。

 なおこの第一汽車ですが日系メーカーではトヨタとの間で合弁契約を結んでおり、合弁会社の一汽豊田では「カローラ」や「クラウン」、「REV」4などの車種を販売しております。もっともト中国において一番人気なトヨタ車である「カムリ」は広州汽車とトヨタの合弁である広気豊田で販売されているため、トヨタの中国におけるメインパートナーと言えるのはやっぱ広州汽車ってところです。
 あと第一汽車は傘下の海馬汽車がマツダとの間でライセンス契約を以前に結んでおり、その伝手で古いアテンザなども販売していました。さすがにもう生産はしていないと思いますし、マツダも中国市場では合弁先である長安汽車とメインでやっているため、実質的に第一汽車と関連する日系自動車メーカーはトヨタ一社となります。

 話は戻りますがこれまでにも中国では多くの経済人が逮捕されていますが、その多くは国内市場での販売が主な国益企業幹部とかでしたが、第一汽車の様に海外メーカーとも絡む大物ともなると今まであまりなかったような気がします。会社の規模もそうですが今回の逮捕は大物も大物で、注近平も全く手を休めないというか手加減をしない活動ぶりの様に思えてきます。
 あとこれは推測ですが丁度今日が中国の国会に当たる全人代の閉会日であるため、この捜査発表は全人代閉会にタイミングを合わせた発表であると考えられます。逆を言えばそれ以前から相当マークしていたということになるので、まずこの会長は有罪判決からは逃れられないでしょう。
 恐らく今回の発表によって第一汽車の販売は大きな影響を受けることはないと思われますが、政府調達の公用車の入札では今後制限が課せられる可能性はあります。第一汽車は国内VIP車に当たる「紅旗」というブランドを持っているだけに、この分野での売り上げ減は十分にあり得ると予想します。

 最後に補足として述べると、あんまりほかのメディアでは書くことがありませんが中国ではどの主席も政治スローガンみたいな標語を必ず掲げます。古くは「大躍進」や「改革開放」で、直近だと胡錦濤前主席の「和階社会(=平等社会)」です。では現在の習近平主席のスローガンは何なのかですが、はっきりとこれだとばかりに掲げられていませんが実質的には「反腐(汚職追放)」が当たると思えます。
 日本ではあまり報じられませんが以前の胡錦濤政権時とは比べ物にならないほど現在の習近平政権は政財界、果てには軍をも問わずに大物の汚職摘発に力を入れています。特に胡錦濤政権は、パワーゲームの影響でしょうが、解放軍幹部に対しては絶対に捜査のメスを入れることはありませんでしたが、習近平政権は全くお構いなしと言わんばかりに解放軍の超大物幹部を平気で逮捕したりして、これには一般の中国市民も大喝采を送っててその支持度は半端じゃないほど高いように見えます。

 ただこれは逆を言えば解放軍が習近平政権を恨んでいる可能性が高く、市民からも嫌われているのでさすがに軍事クーデターを起こすことはないでしょうが尖閣諸島周辺は南沙諸島周辺で嫌がらせとばかりにわざと騒動を起こす可能性はあるように思えます。特に尖閣絡みだと日本とぶつかり合うのでこの辺はきちんとした共通認識を日中の事務方同士で持って、あらかじめ対策を準備しておいてもらいたいものです。

2015年3月14日土曜日

千葉のマッドシティ~すぐやる課

 どうでもいいですがこのところやけにネット回線の通信速度が極度に落ちています。むしろ先週までが春節の長期休暇の影響を受けてやけに速度が速かったこともありますが、VPNの速度で以前は秒速最大で200kb出てたのが今はどうあがいても40kbしか出ず、現在に至っては20kbが関の山です。地味に調べものとかで影響でるからどうにかしてもらいたいところですが、こっちの通信会社はまるで仕事しないからなぁ。

 そんなわけで本題に入りますが、マッドシティこと松戸市といって何が一番有名かとなるとSTAP細胞を生みだした科学者の出身地であることや、女子大生が殺害され放火された事件があったとか色々ありますが、恐らく全国区で聞くとなると今日取り上げる「すぐやる課」だと思います。
 このすぐやる課というのはドラッグストアチェーン最大手のマツモトキヨシの創業者である、松本清が松戸市長時の1969年に松戸市役所で創設した部署の事です。マツキヨについてはまた今度解説しますが、当時から「お役所仕事」と呼ばれるほど対応の鈍かった市役所の仕事ぶりにメスを入れるため、住民からの要望を市長直轄でダイレクトに応えるために作られました。

 当時の日本は革新市長や革新知事など地方行政改革に注目が集まっていた時代ということもあり、このすぐやる課もメディアなどで大きく報じられるなどして全国区で有名な部署となりました。私個人の評価をここで入れると、案外市役所に相談したいことがあってもどの部署に連絡すればいいのかわからないことが多いだけに、こうした万請負所みたいな部署が一つの窓口となって他の部署とも連携していければなかなか有効な改革だったのではないのか思えます。
 実際、この松戸市での創設を受け似たような部署を創設、またはそのまま同じ「すぐやる課」を創設する自治体も出ており、ウィキペディアの記事によればデンマークのグラズサックセ市も導入したそうです。

 それでこのすぐやる課ですが、現在もなお自分の潜伏地からほど近い所にある松戸市役所内に存在し、活動を続けています。やることは先ほどにも書いたように万請負的な所があるのですが、市役所職員もやってくるカレー屋のおじさん(生粋のラリースト)に話しを聞いたところ、ハクビシンだとかスズメバチなどの害獣、害虫の捕獲、駆除が主な仕事になっているそうです。そのほかの雑務も多いようですが、机仕事ではなく実行部隊的な仕事が多いため話を聞く限りだとなかなか大変な部署とのことだそうですが、もしできるのであればクリミアにまで行って余計なことをしでかしてくる鳩も駆除してもらいたいものです。

2015年3月13日金曜日

中国人に受けやすい日本のお土産

 昨日の記事で近頃流行の中国人の「爆買い」を取り上げましたが、具体的に中国人は日本でどんなお土産を買っていくのかについては案外知られていないような気がします。そこで今日は在中歴がもう4年も突破していて日本で働いていた期間より実質長くなっている私の独断と偏見による、中国人が喜びそうなお土産をいくつか紹介しようと思います。

1、家電
 鉄板といえば鉄板ですが、それでも依然と比べればその人気は幾分落ちてきているように思えます。何故人気が落ちているのかというと日系家電のブランド価値が世界的にも低下してきていることに加え、中国国内のメーカー製品でも性能的には日系製品と比べても極端に低くない物が出てきているからでしょう。
 なお中国でも日系メーカーは家電を販売しているのに、何故だか中国人はやたらと日本で日系家電を買いたがります。これは何故かというと、日系メーカーは自社で生産する製品に対して日本市場向け、中国市場向けで異なる二種類の品質基準を持っており、中国には品質の悪い商品しか流していないと中国人が考えているからです。実際はどうだかわかりませんが品質基準を二重に持つと管理上で手間がかかるのでそんなことないとは思いますが、中国人は日本で流通している製品の方が中国に流通しているものより圧倒的に品質が上だと考え、だからこそ日本国内で買おうとしているのだと思われます。

 もう一つおまけに述べておくと日本で買われる家電製品の種類でどうして炊飯器が多いのかについてですが、確証はもてませんが恐らくそのサイズが影響しているとみています。別に中国人は炊飯器に対して並々ならぬこだわりは持っておらず、恐らく日本国内で購入して中国に持ち帰るに当たってテレビや冷蔵庫では大きすぎ、ドライヤーだとハゲ親父には渡せず、ノートパソコンだと高すぎるので、そこそこのサイズでビッグなお土産として持っていくのに炊飯器がベストなサイズだから人気を得て定着してきたのではと考えています。

2、食品
 自分がこれまで見てきた限りだと意外とローカルな食品に対して興味を持つ中国人が多いように思えます。具体名を挙げるとご当地プリッツやスナック菓子など、あと味噌汁とかインスタントラーメンなどなんかスーパーで買えるものに強い反応を示しているように見えます。
 この食品こそマーケティング次第では中国市場で化ける可能性を秘めた商品であり、現実にヤクルトは全中国工場がフル稼働しながら販売都市が広がるというほどのヒットぶりを見せており、近年はコンビニスイーツを売り込もうとお菓子メーカーもよく来ていると聞きます。
 ちなみ今回私は従業員に対して変わったものを持って帰ろうと思ってスーパーを見て回りましたが、最終的に選んだのは丸美屋のふりかけ(のりたま)でした。なんでこんなの選んだのかというとそもそも中国にはふりかけが存在しておらず、念のため辞書でも調べましたが該当する単語は出て来ず、「対米飯使用的調味料(ご飯に使う調味料だよ)」と言って従業員に渡しました。渡した時の反応なかなか悪くなく、なんか昨日今日と従業員の自分に対する態度が良くなっている気もしました。

3、ビタミン剤
 この記事の主題でもあるのですが、実は今回の一時帰国に当たって同僚、そして友人の二人の中国人からそれぞれビタミン剤を買ってくるよう依頼されました。日本人からしたら「なんでビタミン剤?」と思われるでしょうがこれにはわけがあり、一言で言えばああいう錠剤の形したものは色々混ぜ込みやすく、まともな製品が中国だと流通していないというか消費者に警戒されているからです。
 考えてみればごくごく単純なことですが、ビタミン剤と称してただのブドウ糖だったりすることもあり、下手すれば変な有害物である可能性すらあります。そんな修羅の国、中国でビタミン剤を買う人なんてほとんどおらず、結局信用できる日本市場から調達しようって話です。

 案外これはビジネスチャンスかもしれませんが、中国人は普段から変な食品のニュースが多いだけに日本人以上に健康志向が高く、ビタミン剤に代表される栄養剤を始めとして漢方など健康食品に強い興味を示します。ただ面白いことに現在流通している大半の漢方薬の特許は日系企業がほとんど独占しており、中国からしたら中国発祥の物なのに日系企業に先こされているとそこそこ警戒感を持っていると共に負けてらんないぞと政府も支援しつつ特許取得に励んでいます。
 もっとも中国で漢方薬作って売っても偽物が混ぜられる可能性があって市場としてはなかなか通じないでしょう。逆を言えば日本で流通している漢方なり健康食品をうまいこと中国に持ってきて販売ルートを確立したら儲けられそうだと後輩に伝え、既に先行者もいるだろうけどなんか準備しておけとこの前伝えておきました。

2015年3月12日木曜日

原油安の背景にあるもの

 調子がいいので本日二本目の記事です。全盛期は一日三本とかわけのわからない投稿量でしたからその頃に比べれば大人しくなったものです。

 最近はめっきり落ち着きましたが、昨年後半から今年にかけて長期にわたり原油価格が大幅な値下がりを続けていました。一時はリーマンショック前の水準にまで落ち込んで、エネルギーが安く使えるのはいいがここまで急激に落ちては世界経済に影響が出るのではなどと言う憶測まで出ており、各種の経済雑誌などではその背景などについて様々な面で検討する記事が載っていました。

 この原油安は円安が続く日本にとってはもちろん追い風ですが、原油産油国にとっては逆風以外の何物でもありません。しかし中東の産油国諸国で構成されるOPECはこれほどの原油安が起こっていながらも産油量の調整などは行わず、むしろまだまだ増産するかのような態度まで見せて原油安を自ら誘導してきました。一体何故OPECはそんなことをしたのか各種メディアで私が見た論評に多かった解説では、石油にとってライバルとなる米国やカナダのシェールガスとの価格競争というもので、産油国は石油の安値攻勢でシェールガスを潰そうと働きかけたのだという風に書かれていました。
 この解説も確かに一理はあると思えるのですが、だからと言ってここまでやるほどなのかと私個人としては完全に腹の中まですとんと落ちては来ませんでした。また一部で見た報道ではOPEC内でも意見が分かれているが、意見力の大きいサウジアラビアが生産調整の提案を誇示しているなどとも報じられており、なんか違うようなという風に思っていました。

 そうして最終的に私が辿り着いた結論というか妄想は何なのかというと、この原油安の真のターゲットはシェールガスではなく天然ガスで、その産出国であるロシアだったのではないかというものでした。

 この結論に至ったきっかけは、昨今の原油安で天然ガスを輸出するロシアが非常に苦しんでおり、大きな影響を受けているという報道をみたことからでした。特にロシアはウクライナの問題で米国を中心とした欧米諸国から経済制裁を受けており、それと天然ガスの価格下落が相まってダブルパンチなどと報じられていたのですが、このダブルパンチは偶然の産物ではなく意図して起こされたもので、原油安は経済制裁と連動して行われているのではないかという気がしてきました。
 またこのように考えるとOPECの動きも納得できます。サウジアラビアは中東きっての親米国家で米国の要請を受ける形で意図的に原油価格の下落に協力するというのも理解できないわけでなく、仮にそうであれば他国が反対していながらもサウジアラビアは生産量の調整に同意しなかったのもなんとなくつじつまが合うように思えてきます。

 もちろんこんなの私個人の勝手な推論であって確証に足る根拠なんてどこにもありませんが、状況的にはこういう理由の方が私は納得できると思えたわけです。でも仮にこうだとしたら結構皮肉なもので、米露という大国同士の争いで世界経済が動き、円安下の日本なんか漁夫の利を得ているということになります。となると日本は米露の緊張を煽った方が良いのか、この辺は時と場合に寄るでしょうね。

中国人「爆買い」の真実と裏話

 今回の日本一時帰国の際、あらかじめAmazonでいろいろ買いましたがその中には高電圧対応の電源ケーブルが入っておりました。これは新しくエプソンのパソコンを買ったからで日本よ電圧の高い中国で使うため、わざわざ別売りのケーブルを買わざるを得なかったからです。
 少し前のノートパソコンは規格電圧が240Vまであって外国で使用するに当たっても問題なかったのですが、近年は日本の100Vにしか対応していないものしか売らなくなりました。ノートパソコンときたら海外でも使用する頻度の高い製品なだけに、こういうところくらいはパソコンメーカーも気を聞かせてもらいたいものです。ちなみにPSVitaは海外の高い電圧にも始めから対応しています。

 話は本題に入りますが、今回の帰国中にやたらと周りから「爆買い」という言葉について質問を受けました。具体的には同僚、カレー屋の店主(ラリースト)、友人の母親などで、自分の知らないところで日本のメディアが如何に大きく取り上げていたのかが少なからず伺えました。その言葉の意味するところは言うまでもありませんが、旧正月の長期連休中日本へやってきた中国人が日本のあちこちで異常なほど消費していたことから一種のマーケティング用語として定着していったようです。

 この中国人の爆買いについて意見を求められるとしたら、私の第一声としては「そんなにめずらしいことではないよ」といったところです。中国国内においても金のある中国人の消費意欲は桁違いに高く、たとえば自動車であれば日本円で1000万円超えるクラスじゃないと「高い車」とは言われませんし、またここまで極端でなくてもショッピングセンターに行けばカートにびっくりする位の商品を抱えてレジに突っこむ親子連れなども珍しくありません。そのほか街中でも買ったばかりと思われる布団を抱えながら地下鉄に乗り込んだり、重そうな家電を抱えながら移動する人の姿はそれほど珍しくなく、総じて言えば買い物の感覚が日本と比べて大きく、どっちかといえばアメリカ人の方が近いのではという印象を覚えます。

 そんな中国人からしたら日本へ訪れるともなると、それこそ数ヶ月分の貯金を全部はたいてでも買い物しようというのも理解できなくはありません。この辺はちょっと説明が必要でしょうが、中国人にとって海外旅行というのは今でこそ多少は融通聞きますが、昔はそれこそ一生に一回できるかできないかというもので、現代においても日本人ほど気軽にできるものではありません。一生に何回行けるかわからないものなだけに、また日本の商品はこれだけ流通が発達した世の中にあっても中国国内では容易に買えないものも数多くあります。そうした点などを敢えて表現するならば、パチスロで言えば一生に一度あるかないかのフィーバータイムといってもよく、ここぞとばかりに消費しようというのも私からすればある程度納得できる行為で、民族とか人種に関係なくみられるところじゃないかと考えています。

 ただ中国人の場合は一味違って、一言で言えば一人あたりの金額どうこうではなく、世界最多の人口抱えるだけあってやってくる人数が桁違いなだけに耳目を集めるというか周囲に様々な影響を与えてしまいます。全人口の上位1%の金持ちといっても日本人であればその人数は100万人程度ですが、これが中国であれば1000万人を優に超えます。なもんだから「買う量」よりも「買う人数」の方が桁違いなため、一種のブームのような現象に見えるし、また彼ら全員が買ってく量が桁違いな量になため、彼らの通った後には何も残らなくなるということになっているようです。

 何気に自分も今回驚いたのですが小さい子供のいる同僚が最近、近所で幼児用おむつの「メリーズ」が店頭に並ばなくなったということを話していました。一部の粉ミルクが出回らなくなったのは以前からでしたが最近はおむつ製品もその傾向があり、子供を持つ親としては非常に不便だと話す始末。
 この品不足の背景は言うまでもなく中国人にあると見られ、幼児用製品は自国の製品を中国人は全く信用していないためどんなに高くても外国製を競って買う傾向が以前からあります。この傾向はどうやら年々高まっているようで、日本国内の市場で粉ミルクに続きおむつまで影響が起きていることは私も今まで知りませんでした。

 ちょっと話が外れますが中国人の人口ははっきりいってエグイまでに巨大すぎるところがあります。仮に中国人全員がトイレで紙を使えば世界中から紙資源はなくなりますし、また牛肉を日常的に食べ始めたら世界中から牛が消え去るなど、中国が先進国になろうとすれば地球の資源は持たなくなるので、今後永遠にわたって中国が先進国になることはないとここで断言します。わかっている国なんかはこうした点を踏まえて、自国で使う資源を確保するため中国やインドを貧困に追い込む戦略を持っていますが。

 話しは戻りますが爆買い現象の裏には中国人一人一人が持つ旺盛な消費意欲はもとより、大挙してやってくるという人数の多さが実は大きな要因ではないかと私は見ています。日本の小売業界としてはこうした中国人客は非常に大助かりな存在で各店ともに中国語での応対に力を入れて、特に百貨店などはもう中国人抜きでは経営成り立たないところまで来ているようにも見えます。
 しかし、私はこの現象は持って数年じゃないかとも考えています。その理由というのも日本が香港のように、中国人抜きでは経済が成り立たなくなるものの、中国人の消費行動やマナーなどに反感を持って、来日を妨げるようなキャンペーンを起こすのではと予想するからです。見方によれば人種差別的な行動かもしれませんが、誇張ではなくこうでもしないと自国民向けも市場が保てなくなる可能性もあるだけに、評価するならばどっちが一方的には悪いとまでは言えないのではと思います。

 なお、知ってる人には早いですがこうした現象は既に香港では日常茶飯事です。中国本土の人間が休日の度に大挙してやってきて、やたら日用品を買い占めたり、マナーの悪い振る舞いをしたりするもんだから香港人は中国本土の人への反感を年々高めています。先程の紙おむつにしても、香港だったら地元で買おうと思ってもなかなか買えないというのがここ数年続いていることでしょうし。なんかこう書いているとまるでいなごのようだなぁ。

 そういうわけで次回の記事では、案外日本人が知らない中国人が日本で求める商品群について私の知ってることを書いていきます。割と真面目に最近は記事を書くなぁ自分も。

2015年3月11日水曜日

成田空港で君もタイガーだ

 またしばらく更新が空きましたが、前回記事に書いているように先週金曜から今朝まで日本に一時帰国していました。でもって今日の夕方には中国に戻り、このブログもいつもの部屋の中で書いております。滞在日数は金曜から水曜の計五日間で、月曜には仕事で大阪へ行っていることもあって周囲からはハードスケジュールだとか忙しそうだねなどと言われてはおりますが、以前の記者時代はどうあがいても有給が一日しか取れなかったので土日を加えて三日以上は帰国出来なかったことを考えるとかなりのんびりできるようになったななどと自分では考えております。
 とはいえ、あちらこちらでいろんな人間と会っていたのと同僚などから頼まれたお土産買うのはやや忙しかった。おまけに今回はEPSONのパソコン買ってそのセットアップも地味に大変だったし。

 そんなわけで今日の午前中、帰国便に乗るため成田空港へ向かったわけでしたが、実はここでちょっと一悶着ありました。チェックインをしようとチェックインカウンターへ向かったところ長蛇の列が既にできており、嫌だなぁとか思いながら並んでは見たものの何故かほとんど進みません。カウンターの数はそこそこ多いのに一体なんでだろうと思って眺めてみると、どうも乗客とカウンターの人間であれこれやり取りしているようにみられ、その原因も荷物にあるようでした。
 長時間待ってようやくカウンターに着いた私は本部からの座席確認の返答を待っている職員に少し話を振ってみました。

「なんや忙しそうやね」
「ええ、やってこられる中国人の多くの方々が預け荷物の重量が超過しておりまして」
「みんなタイガー持っとるしね」
「そうなんですよ。家電を必ず持っておられて……」

 そう、中国上海行きの飛行機なだけに乗客の多くは日本旅行帰りの中国人が占めており、その手には「みんなタイガーだ」と言わんばかりにタイガー魔法瓶のロゴが付いている段ボール箱(恐らく炊飯器)が握られていました。ただでさえ重たそうなスーツケースも抱えているというのに、家電を丸ごと持って帰ろうとするあたりは中国人らしいです。
 結局、私は問題なくチェックインを終えて時間通りに飛行機に乗りましたが、後続のチェックインがどうも遅れたようでフライトは30分ほどディレイして上海の到着時刻も遅れました。深夜のフライトではなかったので家路に着くには問題ありませんでしたが、自分も自分で従業員のお土産に加えノートパソコン2台などそこそこ荷物を抱えていただけに、最後らへんは左肩が無性に痛かったです。

 ついでに書くと日本帰国中にやたらと「爆買い」という単語について質問を受けました。言葉の意味は説明するまでもなく、というより普段日本にいない自分よりも読者の方々のが詳しいでしょうがこの辺りについてそこそこいいネタを持っているので明日こそはきっちりしっかり書こうと思います。

2015年3月8日日曜日

美濃加茂市長の無罪判決について

 先週金曜から日本に一時帰国しており、微妙に忙しいこともあって更新が滞っておりました。ちなみに今回、新規に購入したEPSONのノートパソコンでこの記事を書いておりますがパソコンの性能や外観は高く評価しているものの、キーボードの配列というかボタンのデザインがかなり独特でちょっと難儀してます。また中国に戻り次第にもレビュー記事を書こうっと。

 話は本題に入りますがちょうど自分が移動を開始した三月五日、昨年十二月に私もこのブログで取り上げた美濃加茂市長に対する収賄容疑での裁判で判決が下りました。既にニュースを見ている方も多いでしょうが、美濃加茂市長である藤井浩人氏の主張が認められたというよりは検察側の主張に疑いのある点が数多くあるという理由から無罪判決となりました。
 
 この裁判のおかしな点については過去記事を見てもらいたいのですが、今回の判決を見てすぐに思ったこととしては個人的に藤井市長を応援していた手前からほっとしたというのと、果たして第二ラウンドはどうなるのかという点でした。今回の判決は一審のもので、メンツにこだわる検察としては何が何でも有罪に持ち込もうと控訴して第二審に引っ張り込むのではないかと思えます。仮にそうなった場合は藤井市長にとってはいい迷惑でしょうし県政にとっても公務に支障を及ぼす可能性もあり、そもそも容疑自体が検察が主張するには無理のある内容なだっただけにこの一審の判決を素直に受け入れ、検察も少しは頭を冷やしたほうがいいのではと老婆心ながら思います。

 ただそれで完結すればいいというわけではもちろんありません。前回の記事でも書いたようにこの事件は一種の疑獄事件、つまり存在しない収賄が捏造されて藤井市長は犯罪者に仕立て上げられそうになったものとみて間違いありません。では何故そんな疑獄事件が仕立て上げられたのかというと ドラマみたいですが黒幕がいることは想像につき、その黒幕によって検察、愛知県警、岐阜県警が言われるがままに無実の人間を追い落とそうとしたということになります。
 かなり断定的な書き方で先ほどから書いておりますが、こうとしか思えないほどこの事件にはおかしな点があまりにも多過ぎ、実際に前回記事のコメント欄では黒幕と思しき人物名が既に地元で名前が挙がっている模様です。黒幕が本当にいるのか、誰なのかを探すことはもちろん重要ですが、それ以上にどうして検察や警察がこれほどまでに杜撰な捜査で立件に持って行ったのか、そして何故そこまでして藤井市長を追い落とそうとしたのかを究明することは真剣に大事なことに思えます。それこそ他人事にしてはいけないくらいに。

 冤罪、疑獄事件は決して昭和の名残ではなく今現在の日本においても頻繁に起こっている事件です。著名なものだと障碍者団体割引事件での村木厚子氏の例もあり、鈴木宗男氏に連座することとなった佐藤優氏などもこの問題について活発に活動を続けております。
 何が悪いかと突き詰めれば検察です。見込み捜査、作文調書、動き出したら必ず立件という三コンボによって長期間拘留されるなど法治国家であってはならず、他人事にはせずこの問題には多くの方に興味を持ってもらいたいというのが私の本音です。

 あぁ、キーボードが打ちづらかった……。

2015年3月4日水曜日

中国の小学校教育(ヽ´ω`)

 なんかリンクを結んでいるすいかさん潮風大使さん(あいうえお順)も受験ネタを取り扱っているので、自分も何かこのネタで書かないといけないのかなと思うので一本書きます。まぁ本当言えば以前から準備していただけのネタで、しかも完全な受験ネタで無かったりします。ちなみに受験ネタで自分が知ってる話だと、「床の上に直接寝ればちょうど10分くらいで目が覚めるので受験勉強の合間に良かったです」とわけわかんないこと言い放った後輩が一番おもしろかったです。

 春節前の2月初頭、既に中国の学校は学期を終えており毎朝自宅近くから出ていたスクールバスも見えなくなっていたある日、通勤途中にある小学校の前で人だかりが出来ているのを目撃しました。授業自体もうないというのに一体なんで人が来るのかなと不思議に思って同僚に聞いてみると、「ああ、今日はテスト結果の発表日ですよ」と教えてくれ、「ふーん、そうなんだ……って、小学校で期末テストあんの!?」とリアルにこんな反応をして見せてやりました。

 結論から言うと、中国では小学生の一年生から期末テストがあります。しかもそのテスト結果は進学にももちろん影響し、高学年でのテスト結果によっては進学できる中学校が左右されます。更に言うと小学校の帰宅時間ははっきり把握していないものの、中学校からは授業は朝8時半くらいから夕方5時までみっちりあって、放課後に友達と遊ぶとかそういうのはそもそも選択肢に挙がらないそうです。

 中国は最も熾烈な競争が繰り広げられる社会主義国家だということはかねてより知っておりましたが、子供たちが受ける学校教育がここまで激しいものだとはそこそこ長い年月住んでてつい最近知りました。もっとも昔はテストがあると言っても今ほど厳しいものではなく、あったけどあんまり気にされてなかったというくらいの存在だったそうですが、やはり近年の教育熱の高まりから受験戦争が年々激しくなってきたため文字通りにテストの重みが随分と変わってきている模様です。このような状況は当事者である中国人の親たちもいいものだとは考えておらず、もうすこし子供たちにもゆとりを持たせたいと願うもののそんなの持たせたら途端に学力が追い付かなくなくこともわかっているだけに勉強を強要するとも聞きます。

 ついでに書くと中国の親はたまに、学校の先生から怒られることがあります。というのも小学校からほぼ毎日膨大な量の宿題が出されてその答え合わせ、反省などを親がきっちりと見てやらないと授業に追いつかなくなるため、親にも子供の勉強に付き合うよう学校側から求められます。ここまで書いてて思ったけど、グレようったってグレる隙間もないほど忙しそうだなぁ中国の子供は。

 このように近年の中国の教育は日本人の想像を遥かに超えるほどに厳しく、また負担も大きいものとなっております。自分も今回調べてていろんなことを初めて知りましたが、こんだけやれば国際学力テスト(PISA)で高得点をマークするのも無理ないでしょう。

 最後に学校でつけられる子供の成績ですが、どうやら賄賂がかなり効く模様です。以前にも中国の先生に対する付け届けについて記事を書きましたが、先日の期末テストにうちの同僚の子供が熱を出して入院し、受けることが出来なかったそうです。そこで同僚は先生に相談へ行ったところ、「テストが受けられなかったのは仕方ないので、普段の授業態度などで成績を判定します」と対応してくれたそうです。そうして出てきた評価は如何ほどだったのかというと、なんとその科目は100点満点を取ったこととして扱ってくれてたそうです。
 なんでも以前に私が日本へ一時帰国した際、その同僚に買ってきてあげたインスタント味噌汁の詰め合わせを付け届けとして先生にあげてたそうなのですが、それ以来恐ろしいくらいに態度が良くなり、今回の評価につながったのではと同僚は分析しています。もっともその同僚も、「あまりの対応の違いに逆に引く」と話しており、付け届けが途切れたらどうなるのかと早くも戦々恐々としています。

 にしても、味噌汁一つで買収が効くなんてリーズナブルな先生だな……。

2015年3月3日火曜日

日本人の同化圧力

 本当は今日はやけに眠いので(この前の日曜は10時間寝ていた)ブログは休もうとも考えていましたが、ちょっとネタ拾ったので頑張って一本記事書くことにします。

川崎市中1生殺害 リーダー格「少年Bに『お前もやれ』と指示」(FNN)

 上記のリンク先は今話題の川崎での少年殺人事件のニュースです。この件に関してはほかの人がいちいち話題にしているので私の方から何か言いたいことは特にありませんが、一つだけ言及するとこの手の事件にしては珍しく被害者が通っていた学校の教師らは批判されず、むしろその親と犯人の親がよく槍玉に挙がっているなという印象を覚えます。大津のいじめ自殺事件とはこの辺りが大違いだなと思うのと同時に、神奈川県警関連のニュースでやや怪しい、はっきり言ってしまえば誤報と思われるリークが出ているのが気になります。

 そんな事件の感想は置いといて今日書きたい話題に移ると、上記のリンク先見出しによるとリーダー格の犯人は一緒にいた子分こと別の犯人に対し、被害者を暴行するよう指示したそうです。こうした行為は言ってしまえばよくあることなのですが、社会学で言うとこの行為は「同化」といって、複数の人間で同じ行動を取る、または同じ経験を共有することで結びつきを強めるという一種のコミュニケーション方法だと考えます。暴行みたいに極端なものでなくても、一緒にスポーツしたりゲームしたりも同化の一種に入りますが、学術的に研究価値があるのはやっぱり極端な同化行為です。

 今回のこの事件でリーダー格が子分に暴行を指示したのは色々思惑があるでしょうが、やはり同じ暴行という行為を行わせることで責任の連帯なりを無意識にでも意図したんじゃないかと思います。ちなみにこの暴行による同化行為ですが一番よく行われるのはやっぱりマフィア内部ですが、学校内でのいじめもこの類に入るとすれば広く盛んにおこなわれていると言ってもいいでしょう。
 特に日本の場合は明らかにいじめ行為が多いのですが、視点を広げると一般社会上でもこの同化によるコミュニケーションが多く、というより下手したら同化以外のコミュニケーションがないのではと思うくらい日本人はこれを重視しているように見えます。一例をあげると外国人と話す際に日本人はお互いの国で知られている有名人を言い合うなど共通点を捜しはじめますが、自分やほかの外国人同士だと割と現地の生活習慣とか風習など異なる点を紹介し合います。

 眠いので言いたいことをもう話すと基本的に日本人はコミュニケーションにおいて共通点、共有体験を非常に重要視する一方、思想や経験の異なる相手に対するコミュニケーションというか付き合い方が非常に下手、というよりも知らないようもに見えます。なもんだから新入りとかに対してはやたらと共有体験を創ろうと同化を迫り、その圧力はかなり異常なんじゃないかなぁと前から思ってます。
 特に共有体験において私の目からすると何かしら苦痛を伴うものを強要するパターンが多い気がします。以前にも「目下に苦痛を強いる日本人、といじめの構造」で少し書いていますが、目上の人間が目下の人間に苦痛を伴う共有体験(一気飲みやハードワーク)を強いさせ、立場というか上下関係を相手に認識させようとしているのではと、さっきのニュースの見出しを一目見てピンときました。マフィアなんて明確にそういう目的で集団での暴行に参加させてるんだろうけど。

 最後に学生時代にある授業で一緒に受けていた学生が、「こんだけ書店にコミュニケーションに関する本が並んでいる事実一つとっても、日本人ってコミュニケーションが極端に下手な民族なんだと思う」という一言が今でも頭に残っています。実際中国にいてもコミュニケーションがうまくいかないとかで悩む人は全くと言っていいほど見ないし、こういう事実に日本人はもっと自覚したらどうかなと眠いと思いながら感じます。

2015年3月2日月曜日

フリーフォール

 昨夜、何故か右足の裏の土踏まずのあたりが突然痛みだし、夜中にもかかわらず起きて軽く指圧しました。前夜に「エリーのアトリエ」というゲームをやり過ぎたせいなのかと疑いつつまた布団に入ったもののこの時からなんか不吉な予感がしており、今日はいつも通りのハッピーデーだと自分に言い聞かせながら出社したものの、やっぱ良い予感は当たらなくても不吉な予感って当たるもんですね。

 ちょうど春節が空けてから私の仕事は忙しさを増してきたというかあれこれ気を配らないといけない内容が増えているにもかかわらず、外注の製品で不良が出たり、何故か東京の方から「これ英語に翻訳して返事しといて」とか投げられたりしてます。そんな忙しい中で今日やろうと思っていたことは避難訓練で、次回の下請け同士の部会での活動報告に載せようと前から準備していました。
 避難訓練と一言で言ってもたくさんありますが、今回私がやろうとしたのはロープを使った高層からの脱出訓練で、要するにロープ使って高い所から降りるという訓練です。なんでこんなのやろうとしたのかというとこの前中国の消防署職員が工場団地に来て防災の講義をした際、同僚がその時に売られた避難用ロープを購入したのでいい機会だからやってみたいと無鉄砲に考えたからです。

 その同僚が買った避難用ロープはもちろんメイドインチャイナで、腰に巻くベルトのほか金具が両端についていて、あと真ん中にスライダー付き金具が取り付けられています。使い方としては端にある金具を柱や手摺に固定し、ベルトを腰に身に着けそのベルトにスライダー付き金具をつけ飛び降りると言ったところです。スライダーにはクランクがついており、きつく締めることでロープが滑らないようになり固定できるようになっています。
 問題があったのはやっぱ、このスライダーだったんでしょうね。あんまりきつく締めすぎると今度は全くロープが流れず降りられないのではないかと思って加減しましたが、緩め過ぎたのでしょう私の場合は。

 同僚らが「危ないって」とガチで止める中、「大丈夫だって」と言いながら階段の手すりに金具を固定し、ロープを握って工場の二階の窓から飛び降りてみましたが、飛び降りるというよりはしがみついていた窓の桟から手を放す形で見事なまでのフリーフォールとなりました。空中で制止するどころか手を放した瞬間に一気にズザザーってロープが流れだし、慌てて軍手つけた両手でロープを握りましたがえらい勢いで落ちるもんだから握った手が摩擦ですぐ熱くなり、全力ではとてもじゃありませんが握れませんでした。この時落ちながら思い浮かべた言葉は、「(; ゚Д゚)<話し違うじゃん!」でした。
 幸い、降下地点が花壇にも使えそうな位に軟らかい地面だったこともあり、臀部、背中、後頭部の三点着地を決めてどこも怪我なくSWATも真っ青なくらいの速度で降下をしてのけてやりました。マジな話、スライダーをロープが通っていたから落下速度は抑えられなかったもののまだ空中で姿勢を制御で来て狙った地面に落ちることが出来たのは本気で良かった。そのすぐ手前はコンクリだったし。

 落下した高さは目測で約7m位でしたが、我ながらよくもまぁあんな所からピョンと飛び降りたもんだと後で外から窓の位置を見てたら笑いがこみあげてきました。あとはめてた軍手は手の平にゴムの吸盤がついてましたが摩擦で吸盤の一部は溶けてて、私も左手人差し指第二関節のあたりに火傷の痕でしょうけど水膨れになってたのですが、正直に言って着地時にぶつけた後頭部より左手のがヒリヒリして痛かった(´;ω;`)

 避難訓練というよりは飛び降り自殺の練習みたいな感じとなった今回の試みですが、先ほどにも述べた通りに部会での発表にしようと考えており、同僚にカメラ持たせて、「落ちるところを撮っておいてね」頼んでおりました。同僚に確認すると一応撮影してくれていましたが、1枚目は情けない形で窓の桟にしがみつく自分が写っており、二枚目は完全に落下してたため自分の姿が見切れてしまっており、この二枚を連続してみるとかなり笑えます。
 教訓としては素人だとロープでは絶対に高い所から降りられないという事が今回よくわかりました。避難用の防災用品は多少高くても、縄梯子辺りにしないと意味がないということを皆さんも理解してくれれば幸いです。それにしても、自分ってやっぱタフだけど馬鹿だなぁ……。

2015年3月1日日曜日

また毎日新聞のシチズン撤退に関する腹立つ記事

 先月初めに秋葉原通り魔事件について書いた毎日記者の記事が読んでて非常にムカつくと書きましたが、また今日も毎日の記事で読むからに腹が立つ記事があったのでここで取り上げます。

<中国撤退>日本企業に「進出時以上の労力」(毎日新聞)

 上記の記事は中国から日系企業が撤退する際に従業員の補償などで様々なトラブルが起こるなど多大な苦労が強いられるということを報じる記事です。記事の趣旨自体は真っ当で特に言うこともないのですが、先に一つだけ苦言を呈すと別にこれは中国に限った話じゃないのにさも中国のカントリーリスクみたいに書くのはどうかという気がします。
 そういうことは置いといて私がこの記事のどこに怒りを覚えるのかというと、シチズンの広州工場こと「西鉄城精密(広州)有限公司」の清算に関して触れたところで、そのまま該当箇所を下記に抜き出します。

<引用開始>
 中国・広州にあるシチズンホールディングスの現地子会社が2月5日、翌日の会社解散と従業員の全員解雇を通告し、約1000人の従業員が抗議する騒ぎが起きた。1997年から腕時計の部品などを製造してきたが、国際的な事業再編の一環で閉鎖を決めた。

 中国では通常の解雇は1カ月前の通知が義務付けられているが、会社解散の場合は通知義務がない。同社は「地元当局と協議したうえでの措置で、手続きに違法性はない」としているが、中国国内では「法的に問題なくても従業員に重要な情報を隠していた」(新華社通信)などと批判的な報道が相次いだ。シチズンは最終的に、解雇時に支払う補償金を上積みして、事態を収束させた。
<引用終了>

 このニュースについては私も既に過去記事にて取り上げていますが、工場閉鎖のわずか1日前に全従業員に対して突然解雇を通知するなど、はっきり言えば常識外の処理を進めてシチズンは無理矢理閉鎖しています。詳細は過去記事を見てもらいたいのですが、何故このような行為をシチズンほども大きな会社が平然と行ったのか理解に苦しみます。

 そんなシチズンの電撃的解雇について上記の毎日の記事では、あくまで私の主観では「法律上は問題ないのに中国メディアは不当にシチズンを批判するので、やむなく補償金を上積みして解決した」かのようなニュアンスで書かれているように見えます。実際に中国の労働法を細かくは見ていませんが解散時には解雇通知義務がないとはいっても、何も閉鎖1日前まで黙っている必要が本当にあったのかとなると非常に疑問です。それこそ夜逃げ当然に会社が倒産したりするならまだ理解できますがシチズンほど大きな会社で、手持ち資金とかもまだいくらかある規模の会社がこういうことをしていいのかといえばそりゃおかしいに決まっています。

 更に言えば会社解散であれば解雇通知義務はないという主張ですが、本当にそうなのかとこれも疑問です。広州市政府と何らかのネゴがあったことは間違いないので市政府は何も言って気はしませんでしょうが、だからといって違法ではないかとなると中国なだけにまた別問題です。またこれまで私がこの問題で見てきた記事ではこのシチズンの解雇方をどこも適法とは話しておらず、さっき適当に検索かけてみたレコードチャイナの記事でも労働専門家の意見として、「当局の法解釈は誤っている。従業員の重大な利益に関わる事項に関しては労働組合または従業員の代表と協議しなければならず、20人以上の従業員削減を行う場合は1カ月前に全員に通知しなければならないはずだ」という指摘を引用しています。というより、誰がどう考えたってこれが適法と考えるバカはいないでしょう。

 あと補償金を上積みしたと書かれてありますが、私が調べた限りだと通常の解雇時には一ヶ月分の給与を支払う義務があるのですが、シチズンはこれに加え解雇に同意する従業員に対しては勤続年数に応じた上積み金を出すと当初から報じられていました。これは逆に言えば、解雇のやり方が違法だと応じない従業員には余計な金は支払わないと暗に脅すようなやり方だったのではと、私には思えます。少なくとも、美談っぽく書く内容ではありません。

 一応シチズンも先月24日にこの件でプレスリリースを出していますが、私から見ればよくもまぁ白々しい言い分をと読んでて呆れてきます。正直、この一件に関しては中国人に「日本人は汚い奴らだ」と言われてもしょうがない気すらします。仮に外資企業が日本でこう言うことやったら絶対日本のメディアも黙っていないと思うのですが、少なくとも毎日からすれば全く問題ないようです。シチズンともども日本からいなくなってくれればと、この一件に関しては思います。