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2014年4月27日日曜日

拉致問題解決に向け天秤にかかる人権

 先程ニュースを見ていると本日、某所にて北朝鮮の拉致家族会の会合が開かれて改めて解決に向け家族会の方が講演をされたそうです。私個人としても拉致家族の方々の心労は同情するに余りあり、願う事ならこの問題が解決されればと陰ながら思っております。幸いというか自体はこのところ進展してきており、日朝政府関係者が赤十字を通して北京で会談を行ったり、北朝鮮側から再調査について言及もあり、この機に事態が上手く進展されればと私も思います。

 ただ今日このニュースを見た時にはっと思いついてしまったのですが、仮に北朝鮮が拉致問題で再調査を行って拉致被害者の返還まで行うとしたら、日本政府に対して何らかの見返りを要求することはほぼ確実だと思います。それでもこれまでの拉致家族の方々の苦労を思えば拉致問題解決と引き換えの北朝鮮への人道支援や国交回復について恐らく日本人の9割以上は賛成することでしょうし、むしろ支援を対価にしてでも拉致家族の返還を求むべきだという声の方が大きいでしょう。

 正直、このブログで書くべきなのかどうか少し悩みましたが、それでも敢えて言うべきだと思うので書きます。この拉致問題解決と引き換えの北朝鮮への支援を日本はやるべきかどうかと言ったら、私は疑問に感じる点が一点あります。というのも、北朝鮮へ支援をすれば確かに拉致被害者を取り戻せる可能性はあるものの、そのかわりに現在圧政を敷き北朝鮮国内で人権侵害をし続ける金王朝を間接的に支援することになってしまうのではないか、という一点です。

 言うまでもなく北朝鮮では多くの人間が飢餓状態にあり、また多くの強制収容所を構えての思想弾圧も日常茶飯事だと伝えられています。これらの人権侵害は現在の政権を握る金王朝が行っているもので、金王朝を打倒する以外では改善の見込みはほぼないと断言できます。
 仮に北朝鮮政府が拉致被害者を確実に帰国させるということを前提にした上で資金、またはエネルギーの支援を日本に求めたとします。その要求を日本側は飲むべきかどうか。飲めば拉致被害者の人権は守られるものの、北朝鮮の人権を侵害する組織を日本は支援することになりかねず、言うなれば日本人の人権と北朝鮮人の人権のどちらを優先するのか、天秤にかける選択となってしまうのではないかと今日ふと思ってしまいました。

 マスコミみたいに問題提起をするだけして投げてしまえば確かに楽ですがそれだとやはり卑怯なように思うので答えると、自分は後者です。拉致問題の解決は切実に望むものの、人権侵害を続ける政権を支援するような行為はやはりやってはいけないのでは、いくら日本人の人権を守るためとはいえ北朝鮮人の人権侵害を見て見ぬふりしてはならないのではと、批判されても仕方ないとは思いつつこのように考えます。
 もちろん日本全体の総意としてそれでも拉致被害者が取り戻せるのであれば支援すべきというのであれば、自分もその総意を批判するつもりはなく素直に従うつもりでおります。 ただ仮にこのような事態となった場合、いくらか出費を負担するけど拉致被害者が帰ってくるのならそれでいいとだけ考えるのではなく、北朝鮮の人権についても一定の覚悟を持って決めるべきではないかと個人的に思います。

 一番ベストなのは北朝鮮に対して何の支援もせず外交的駆け引きによって拉致被害者を取り戻すことです。次善の策としては、見返りの支援を要求されたとしても赤十字または日本政府を直接通した食糧支援だけに限定するか、本当に一回こっきりのエネルギー支援にするかです。この二案であれば自分も賛成できます。

 片方の人権を優先すればもう片方の人権を無視することになる。無論、同じ国民の人権を優先するというのは間違った概念ではないものの、もう片方の人権を無視することについて覚悟があるかないかでは大違いではないかと思ったので、こうして書き記すこととしました。

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