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2011年5月9日月曜日

みかんよりすごい温州商人

 本日、管首相の要請を受けて中部電力が浜岡原発停止を承認したことを発表しました。話に聞くとこの浜岡原発は作ることありきで建設が進められ、建設途中で活断層が真下にあることがわかって中途半端に位置を避けようとしたためにかなりいびつな形で建設された原発だそうです。東海大地震が近いうちに発生すると予想されているだけに原発停止はやむを得ず、今回の中部電力の決断には個人的に敬意を表します。
 私が見ているとどこも今回の浜岡原発停止を賛同する、もしくはやむを得ないという声が経済界からも数多く寄せられているようですが、なんか経団連の米倉弘昌会長のみが「納得いかない」と不満を呈しているそうです。先の東電の事故についても免責案件だと主張したりと、殴られたダルマみたいな顔してて空気が読めない人だとつくづく感じます。

 さてこれで活断層上の原発はひとまず片がついたとほっと一息を尽きたいところですが、実は話を聞いていると日本にはまだ活断層上にある原発はあるそうで、もったいぶらずに言うと愛媛県の伊方原発です。この伊方原発については週刊文春で2P漫画を連載している池田暁子氏(愛媛出身)の漫画で知ったのですが、よりにもよってどうしてこんなところに立てたのかこの点については先人を深く恨みます。それにしてもこの前愛媛の人にこの伊方原発について聞いた時、

「愛媛って給食にポンジュースってでるんですか?」
「一週間に一回くらい出るよ」

 と言われ、激しくうらやましい思いをさせられました。

 そんな愛媛のみかんときたら温州みかんがブランドとして有名ですが、そもそも温州というのはどこにあるかは知らない人が多いかと思います。この「温州」という字の読みは「うんしゅう」ですが、みかんに冠せられるこの名前の元となった場所は中国浙江省にあるその名も同じ温州市という場所です。ここは昔からみかんの産地として知られてあの三国志でも孫権が曹操に対して贈り物として送るエピソードが出てきます(途中で左慈にパクられるけど)。ただこの温州という地域はみかんはもちろんのこと中国国内では別の方でもっと有名で、一体何で有名なのかというと表題に掲げた温州商人こと温州出身の経済家たちです。

 恐らく多くの日本人は商売っ気が強くて才気に富んだ中国人というと現在の中国最大の経済都市である上海を出身とする上海人ではないかと考える人が多いのではと思いますが、これは直接中国人に聞いてみるとすぐさま否定され、かわりに温州商人こそが中国のユダヤ人だよとほぼ100%の確率で教えてもらえます。一体どうして温州商人がそれほど特別視されるのかというと、元々この地域では独立して財を成すことが尊ばれる地域だったらしく、戦前からも蒋介石ら軍閥を資金面から大いにバックアップした浙江財閥と呼ばれる集団を形成していました。
 そんな温州商人は現代においても今なお健在で、中国で金持ちといったらその大半が浙江省、それもこの温州市出身だといわれております。実際に高額所得者は浙江省在住者で上位が占められるというのは統計上でも確認されており、日本の秋葉原で電機ジャーを買い占めたり、観光地の土地を買い漁っているのも大概が温州出身者だそうです。

 彼ら現代の温州商人の特徴を言うならば、海外志向が強いことが上げられるのではないかと思います。温州商人は中国が改革開放に舵を着替えるや早々に香港など外界へ出て行っては自らの商売を広げようと行動し、それが行過ぎてしまったというべきか一部地域では現地住人との間で軋轢が生まれている地域も存在します。
 そのような地域で一番有名なのはなんとイタリアで、話を聞くとイタリアマフィアもびっくりなくらいに温州出身の中国人が現地で裏商売に暗躍していたらしく、イタリア政府もかなり神経を尖らせて温州出身者に対して排他的な態度を取っているそうです。私が今年三月に実際に確認したニュースでも、温州にある中国の地方銀行がイタリアのある都市に支店を出店しようとした所、マネーロンダリングや現地の富が吸い上げられるなどといった理由で、設立直前になってイタリア政府は出店許可を取消したというニュースがありました。

 日本で同じように商売に長けた地域というと一般的には大阪が挙げられるかと思いますが、これはうちの親父の持論ですが本当にすごいのは大津商人ではないかという意見もあります。事実私も確認したところ大阪で大成した商人のルーツを辿ると大津こと滋賀県に行き着くことが多く、私もこの説を支持しています。ただ最近だと、竹中平蔵氏や奥田碩氏を輩出した三重県勢のが勢いある気がするけど。
 中国においても経済関係だと目立ってしまうのはどうしても上海になりがちですが、現在の上海は東京と同じように昔から上海に住んでいる人と途中で移ってきた人、私のように一時的に住んでいる人とで大部差があります。ちなみに私の見方だと、昔から上海に住んでる人はユーモアに明るくいい意味で図々しいところがある気がします。

 最後に日本の温州みかんについて一言。なんでも名称は温州であれども品種上の関連性では温州のみかんとは何の関係もないそうです。よく日本は中国に対して名称をパクるなと言い合っていますが、この点を突かれたら結構痛いのであまり中国人にはこのネタは話さないようにしています。時効ってことで勘弁してくれないかな。
 それにしても原発の話題からみかん、温州商人とつなげるあたり、自分らしい記事の書き方だと思います。

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