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2013年2月12日火曜日

アベノミクスの円安メリット、デメリット

 本日北朝鮮が核実験をやったと発表し、国際政治を専門にしている当ブログの方向性からは取り上げるべきなんでしょうが、報道ベース以上の内容は語れないし、日本のメディアが今日はこの件ばかり報じているのが少し煩わしさを感じるので、延び延びになっていたアベノミクスについて今日は書いてきます。日本帰ってきてから気になるけど、どうしてどの放送局のニュースも同じような切り口ばかりなんだろう。

 話は本題に入りますが、もはや海外でも「アベノミクス」と報じられるほどに日本の円安が昨年末から一気に進みました。これほどまでに円安が進んだ理由はいうまでもなく安倍首相が前回衆議院選挙前から主張してた、インフレ目標を2%に定めるという強い方向性が最大の要因でしょう。そしてこの方針に当初反対の姿勢を示していた白川日銀総裁も退任が決まっており、後任にはより安倍首相の考えに近い人が就くでしょうから、円安が1ドル=100円を大きく上回ることはないでしょうが円高に再び戻ることはしばらくはないと見てもいいでしょう。
 その上でちょっと下世話な予想をすると、今夏に予定されている次回参院選で自民党が大勝すれば株価は現状よりさらに跳ね上がる可能性があると勝手に見ています。今のままならまず間違いなく大勝するでしょうが、まだ失言など波乱もあるかもしれず、4月くらいまでは様子を見る必要があるのでしょうが、4月まで波風なく政権運営をし続けていれば株は買い時かなと友人と話してます。

 さっきから話が脱線しまくっていますが既に1ドル=90円を超えており、円高によって青息吐息だったメーカーをはじめとした輸出産業は復活の兆しを見せております。この円高、私はアメリカが先に「いい加減にしろ(#゚Д゚) プンスコ!」と言ってくるかと思いましたが、意外というのもなんですがドイツのメルケル首相の方が先に「日本の為替操作だ(#゚Д゚)ゴルァ!!」と怒ってきました。このドイツの主張に対して麻生財務相は昔には1ドル=120円だったこともあり、今以上に円高は進んでいたので為替操作に当たらないと言い返しましたが麻生財務相にしてはといってはなんですが、うまい切り返しだったように思えます。本音としては「あれだけ日本円高でボーナスタイムあげたのに、それしかシェア取れなかったの?( ̄ー ̄)フッ」とまで言ってもよかった気がしますが。
 ただこの時のやり取りを見て少し感じた事なのですが、思っている以上にドイツが焦っているようです。ドイツ、日本と同じく輸出がメインの韓国も円安に加えてウォン高が始まり苦しんでいると聞きますが、逆の見方をすればこれらの競争相手から恐れられるほど昨今の円安は強烈なパンチになっていると言えるでしょう。

 ただこの円安、メディアでは万事が万事福を運ぶものとして経済的に歓迎する報道が多いですが、私は必ずしもメリット一辺倒のものではなく大きなデメリットも含んでいると考えております。もったいぶらずにそのデメリットを指摘すると、輸入費用の増大です。
 円安は基本的に輸出企業にとってはメリットしかありませんが、輸入企業にとっては100万円で輸入できたものが120万円になるなど、マイナス要因でしかありません。日本は確かに輸出企業が多いことは多いのですが、その一方で食料とエネルギーの大半は輸入に頼っており、市場規模も決して小さくありません。特にエネルギーに関しては原子力発電所が止まっている関係で火力エネルギーの輸入量が増大しており、昨年末に戦後かつてないほどに貿易赤字が拡大した原因ともなっております。

 敢えてクエスチョン形式に書きますが、どうしてこうした円安のデメリットについての報道は少ないのでしょうか。答えは非常に簡単で、重工業をはじめとした輸出企業が日本ではやけに発言力が強く、食品など輸入企業の声は非常に小さいからです。まだ東電などは声がでかい方ですがそれでも円安は絶対的な善とまで報じられるのはこうした日本の産業構造というか、財界での発言力の差が大きいと私は見ています。
 皮肉な話ですが、東日本大震災以降に日本は円高に振れて大きく助かったという面も少なくありません。先にも書いた通りに震災以降は減少した原子力発電量を火力発電で補ったために重油などの輸入量が増えましたが、円高によってその費用は少なからずペイできておりました。それが今回円安になって、関電なんかは役員給与などもうちょっと絞れるでしょうが、やっぱり電力会社はこの先厳しさを増すでしょう。

 では日本は円高のままがよかったのか。この問いに対する私の答えはNOで、円安に誘導するアベノミクスを支持します。その理由というのもあまり深く考えた物ではありませんが、あのまま円高が続けば日本の産業全体が打撃を受けたままで、即死とはいきませんがジリ貧になるのは見えていたからです。それならば輸入企業には多大な負担をかけ貿易赤字も一気に広がる可能性を孕んでいるものの、輸出企業の活性化を促して外貨を稼ぎ、その上でエネルギー対策をするという博打に出る方がまだ活路があるような気がします。
 ただ円安に誘導するこのやり方、決して簡単な道程ではないでしょう。それこそ1ドル=120円くらいまで一気に飛んだら冗談抜きでエネルギー資源の輸入に支障をきたすでしょうし、外国からも猛烈な批判を受けダンピング措置を取ってこられる懸念もあります。そういう意味では現在政府が出している1ドル=95円前後という指標は私からしても適切な数値に思え、これ以上に円安にぶれるようであれば政府も本腰で抑えにかかってくるのではないかというのが私の意見です。

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