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2012年10月14日日曜日

復興予算を巡るNHKの報道

 このところ東日本大震災に対する復興費用の用途を巡り本来の目的とは関係ないものに使われたという報道が増えてきておりますが、これらの報道を見るたびに実はちょっと違和感を感じます。その違和感というのも、何故誰も先月にNHKが報じた番組の内容をもっと引用しないかという思いです。

 件の番組はたまたま自分が日本に帰国している最中に放送されたのですが、復興予算がどのように使われているのかをあくまで中立的な立場で鋭く調査しており、一緒に見ていた親父と共に、「さすがはNHKよ」と見ているこっちが舌を巻く内容でした。具体的な内容をいくつか紹介すると、まず一番衝撃的だったのは各自治体のがれきの処理費用の差です。
 震災後、宮城県や福島県を中心に海岸沿いの自治体では大量のがれきが生まれましたが、これらのがれき処理に際して政府は事実上、青天井の予算を組んだのですが、震災から一年半経過してがれき処理にかかった費用を自治体別に比較してみると、なんと処理したがれき量はほぼ同じにもかかわらず自治体によっては10倍、実数を出すとたしか300億円以上使った自治体もあればわずか30億円で済ませた自治体も存在しました。

 調べれば簡単に該当の自治体は出てきますが敢えて出さずにこのまま話を進めます。一体どうしてこれだけの費用の差が生まれたのかについてNHKは、がれき処理のやり方の違いが10倍の差を生んだとはっきり指摘しておりました。300億円もかかった自治体ではとにかく早くがれき処理を優先するために各地で集めた瓦礫を片っ端から集積場に集めて、集積場でがれきの種類を仕分する方法を採ったそうです。ただこの方法は結果的にはあまり効率が良くなく、次から次へとがれきが運ばれてくるため仕分が追い付かず、集積場ではハエなどの虫が大量に発生することとなりました。そのためこれらの虫を殺虫するために保管費用がかかり、現在も毎日殺虫剤を撒いているそうです。
 一方、わずか30億円に抑えた自治体では以前に起きた新潟県中越地震で同じようにがれき処理の経験があったことから、がれきを現地で分類した上で集積場に持ってくる方法を採用したそうです。担当者によるとこの方法が一番効率がいいと判断し、実際に先の自治体と比べて格段に保管費用が少なく、処理も早く進んでいるそうです。また同じように費用を格段に安く済ませた別の自治体では、業者にがれき処理を発注する前にまず自分たちで崩壊した家屋の破壊処理をやってみたそうです。実際に破壊処理してみて一軒当たりどの程度の費用がかかるのかを綿密に計算した上で、業者に対し費用の交渉を行ったそうです。

 いくら処理を急ぐと言っても、費用は安く抑えるに越したことはありません。別に300億円かかった自治体を批判するつもりはありませんが、今後もこういった大災害が起こる可能性を考えると費用を安く抑えた自治体の取り組みを大きく取り上げ、次回の反省に生かすべきだと思います。そういう意味でこのNHKの報道は実に見事なもので、見終わった後には次の日のネットではこの番組の内容についてみんなネット上で議論するだろう、どんな意見が交わされるのだろうと楽しみに待っていたら、自分が思っていた以上にネット上ではあまり取り上げられず、約一ヶ月経って復興予算の使い道についてあれこれ他のメディアが報道される段階になっても未だに見ません。
 もちろん検索をかけたらいくつかのブログでは取り上げられているのですが、それにしたって内容が非常に良かっただけに何故共通認識になるくらいみんなで共有しないのか不思議でしょうがありません。念のために友人にこの前確認したところ、やっぱり全く知りませんでした。

 今現在起こっている復興予算の不当な使い道では、今日見たのだと公安が「被災地で過激派が活動する恐れがある」として車を買ってたという突っ込みどころのある使い方などあり確かにこれらもこれから精査しなければなりませんが、この不当な使い道に関連して政府、特に民主党を批判する人を見受けますが私としてはあまりいい気分がしません。もちろん民主党は与党であるためにある程度責任は持たないといけませんが、震災が起きて数ヶ月間は「なんでまだ復興予算をきちんと配らないんだ」などという批判が多く、自分のブログにも管元首相の悪口を書いたコメントとか当時受け取りました。
 早く配れれば早いに越したことはないですが、急いでやろうとすれば何事も齟齬が生まれます。かといって抜け道がないように綿密に相談するために配布が遅れてもいいわけではありません。私が何を言いたのかというと、こういうのは結局どっちを取ってもとっちかで転ぶロスであって、過去のことをあれこれ批判するより次回の反省につなげる思考の方が大事だということです。差し当たってさっきの公安のわけのわからない予算申請した責任者のクビを飛ばせば無能が一人減るわけですし、何故管理できなかったのかとあれこれ議論するくらいなら無能の排除と費用を安く抑える有効な方法を周知することの方が未来につながるのでは、未来志向なのではというのが私の意見です。

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