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2011年9月22日木曜日

リーマンショックから三年後の国際社会

 このところ一応最も専門だと考えている国際社会ネタを一切書いてないので、当たりさわりのないネタとしてリーマンショックからちょうど三年経った現在の国際状況について私感を書こうと思います。

・【コラム】「リーマンショック2」封切り間近(ウォールストリートジャーナル)

 今回この記事を書くきっかけとなったのは上記リンク先の記事ですが、なかなかよくまとまっていて読んでて強く感心しました。ただ見出しについては「リーマンショック2」ではなく私なら「リーマンブラザーズ2」ってしますけど。これだと任天堂に怒られるかな。
 それはともかくとしてまず現在の状況ですが、そもそもの発端となったリーマンショックから三年経ったにもかかわらず状況は好転するどころか悪化しています。さらに上記のウォールストリートジャーナルの記事でも「二回目のリーマンショックが起こる可能性が高い」と指摘しており、仮に起こった場合その規模は前回のリーマンショックを上回るとしています。ちなみにこの意見に対して私もほぼ同感です。

 まず現在の世界経済を取り巻く状況で何が一番よくないのかというと、ギリシャやイタリアを筆頭とした政府債務の悪化、いうなれば国家財政を破たんする国が続出していることです。あながち日本も人のことを言えませんが欧州諸国は日本以上に絶望的なまで債務が増え続けており、どうにかしようとギリシャのように資金を注入したもののほとんど効果が上がらず悪化を続けています。実際に詳しく調べてないのであてずっぽうで言いますが、ギリシャが一度はドイツなどEU内の先進諸国に助け舟を出してもらったにもかかわらず再建できなかったのは、改革というか頭の切り替えが完全にしきれなかったことが原因じゃないかと思います。そう思うのもかつての日本もそうで、しばらく待てば嵐が過ぎると言っては小手先の改革でどうにか済まそうとしていた時期があり、危機感が足りなかったんじゃないかと思います。外科でたとえるなら、本来なら組織を切断しなければならないところを止血程度で止めようとしたといったような感じです。

 しかも仮にこれがギリシャとか、言っては悪いですが中流国だけの問題であればまだ笑って過ごせますが、状況はイタリアやスペインといった先進国にも差し迫ってきております。特にイタリアなんかはこっちの新聞でもよく報道されていますがイタリア政府は中国政府に対して公債の引き受けを依頼したそうで、後で高くつくぞとちょっと私も思ったりしました。
 こうした欧州の債務危機に対して、EUの反応は徐々にですが鈍ってきているようにも感じます。ドイツなんかはこれまであれこれ資金を融通したりしてきましたがそれら政策を主導してきたメルケル首相の支持率は低下しており、私の目にもやはりドイツ国民は徐々にEUに対して距離を置き始めているように見えます。言ってしまえば無理にでも同号を維持するのではなくギリシャなどの国はこの際切り捨ててしまえと言わんばかりで、フランスについてはまだどんなものかはわかりませんが最近は原発事故で大変そうです。

 さすがに一年後に中国みたいにすぐに盛り返すというのは期待のし過ぎですが、三年も経って未だ改善の兆しが見えずむしろ悪化しているというのは憂慮すべきでしょう。じゃあ今後はどうなるかですが、率直に言ってニクソンショック以来の為替制度の大変革が自然と発生するのではないかと考えています。
 現在の為替制度は1ドル当たりいくらかと、アメリカのドルを中心とした体制が戦後ずっと続いてきましたが、アメリカは現在なりふり構わない金融緩和を続けており基軸通貨を持つ責任を完全に放棄しています。今日のニュースによると共和党がFRB(米中央銀行)に対して金融緩和を停止するよう呼びかけたそうですが、身内からも声が上がっていることに対してやや驚きました。

 ではドル体制が崩壊するとはどういう意味かですが、単純に通貨の信用がなくなって現物の価値が上がっていきます。それがどういう意味を指すのかですが、自分も為替関係は苦手で憶測でしか言えませんが、多分貿易量が輸出も輸入も世界全体で減っていくのではと予想しています。もともと私はリーマンショック直後にもグローバル化の時代は終わり世界はブロック経済の方向へ舵を切りだしたと主張していましたが、この流れを決定づけるのがドル体制崩壊じゃないかと見ています。
 ちなみに友人からこのところ、「うちの貿易決済は円建てでしているから、このところ円高を理由に支払いを渋る顧客が多い」という泣き言をよく聞きます。一方で自分は人民元で現在給料をもらっているので、世界のイチローほどではないですけど円価に直すたびにため息が出ます。

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