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2010年6月18日金曜日

生物の失踪について

 私が初めてそれに気がついたのは、大体2000年位なのでもう十年も前です。その後2006年くらいに化学系の記事で文章として書かれているのを見て、自分の実感は自分だけの物ではなく、すでに現象として起きているのかと驚きました。

 私が小学生だった頃、毎朝小学校へ通う道路の上にはいつもスズメの群れがおり、登校する私達が近づくと一斉に飛び立ってはまた戻ってきていました。そのスズメが今、私が初めて報道されているのを見て実に四年近く経ち、ようやく日本の各地で失踪していると盛んに報道されるようになったと思います。ちなみに四年前の私が読んだ記事では、元々スズメは人里を好んで住みつく習性があるにもかかわらず各地の市街地からいなくなるというのは明らかに異常だと書かれており、それが東京の都市部など極限られた地域などならともかく、今のように日本全国で起こっているのは私も何か奇妙さを感じます。

 このスズメ同様に、農作業にとって欠かせないミツバチも近年に大量失踪している生物の一種です。こちらは日本一国に限らず世界中で失踪していると言われ、さながら石油や鉱物資源のように世界中で奪い合いの様相までなしてきております。
 ミツバチについて私の知る限りの知識をまとめておくと、失踪しているのは主にセイヨウミツバチという、その名の通りに外国産のミツバチで、逆に日本固有種のニホンミツバチやスズメバチはあまり影響を受けておらず失踪しないようです。そのためこのミツバチ失踪の手がかりになるのではないかとしてニホンミツバチの研究が広がりを見せているそうですが、セイヨウミツバチと比べて受粉の媒介としては効率が悪いらしく、完全な代替種としてはあまり望めないそうです。

 一体何故このように一部の生物が突然失踪するのか。なによりも一番不思議なのはこれらの生物の死骸が見当たらず、文字通りに「失踪」している事です。もし大量の死骸が発見されるのであればウィルスなり環境変化なりの原因が特定しやすいのですが、その失踪する数に比べてそのような死骸はこのケースだと見つからないそうです。それがために原因が調べられないばかりか対策も見当たらず、この事態をより一層深刻にさせております

 現在挙げられている失踪原因の仮説だと、ミツバチに限れば蜂の帰巣に関わる神経に及ぼすウィルス説が有力ですが、まだ確とした証拠もないばかりか、世界で同時に失踪している事実を説明するには幾分説得力に欠けます。また農薬などの化学薬品の影響を指摘する声もありますが、これも同じように世界中で何故一斉に起こっているのか、農薬を使っていない養蜂家のところでも失踪している事を考えるとあまり当てになりません。

 中には何でもかんでもCO2のせいにすればいいという人もいて地球温暖化が原因とする活動家もいますが、1度や2度の平均気温の変化位でそもそもの平均気温に大分差がある日本と欧米で一斉に失踪するとはまず考えられず、また同じように空気汚染を原因に挙げる人もいますが、これも日本だと現代の方が高度経済成長期に比べて圧倒的に不純物が少なくなっているので眉唾です。

 そこで敢えて素人である私がでたらめな意見を言わせてもらうと、90年頃と現代を比べて起きている変化となると、電波の量がまず浮かんできました。90年頃は持っている人の方が珍しかった携帯電話が今では持っていない人の方が少なくなり、またアマチュア無線の時代は知りませんがニンテンドーDSを始めとして無線通信が街中でも盛んに行われております。

 電波がどのように人体などに影響を与えるかについては様々な意見があり、どっちかといえば悪者にされやすくて90年代にはアメリカの一部の州では発ガン率を高めるとして高圧電線の下に住宅を作る事を禁止したりしていましたが、今の所私は確実に信頼できる数値データは見ておりません。人間より一部優れた神経を持つ虫なども全く影響がないとは言いきれず、私に限らずこの電波説を唱える人もいるようです。

 この電波の次に私が思い当たる原因としては、なんかぶっとんだことを言いますが火山活動も少し気になります。
 先日のアイスランドの火山噴火で欧州を中心に世界中で空路が乱れたことは記憶に新しいですが、実はこのアイスランドの陰に隠れてこの日本でも、鹿児島県の桜島火山がこれまでの観測史上でも稀なほどに爆発的な噴火をこのところ繰り返しており、さらに今後もより活発化するのではないかという予想も立てられております。

 何気に私は大学受験時に競争相手が少ないという理由で通っていた高校に授業も設置されないにもかかわらず理科科目に地学を選んだ人間ですが、火山活動というのは我々が上に立つ地表の下のマントルという、溶岩流みたいな地表に比べて軟らかい部分がうごめく事で発生するとされております。このマントル部は地球全体でちょうど対流するかのようにうごめいており、歴史的にも世界各地で火山の噴火が同時期に集中する現象が確認されております。

 それがどうしてスズメやハチの失踪に影響するかですが、火山活動というのは地球全体を覆う地磁気に強い影響を及ぼすため、その地磁気の変化を敏感に感じ取るこれらの生物が失踪しているのではという説を採る学者もおります。
 私としてもこの説明なら世界中で同時に失踪しているというのもわかりますし、近年の世界中の火山活動を見ていてもまるで末法じゃないかというくらい頻発しており、今の所はこの地磁気説を強く支持しております。

 世界が不況になって温暖化対策やら環境保護の熱も下がって参りましたが、私はCO2の排出を如何に減らすかに予算を出すよりも、このスズメやハチといった生物の失踪という、今現実に起きて影響も及ぼしている問題の原因を研究することにお金を使う方がずっと価値があるように思うというのが、今日の結論です。

  おまけ
 ハチつながりでなんですが、そこそこ前の文芸春秋において昭和の名言特集というのがあり、この中で紹介されていた言葉の中で私が一番印象に残ったのはロッキード事件で重要な証言をした榎本三恵子氏の、「ハチは一度刺したら死ぬ」という言葉でした。

 この言葉の意味はこのような証言をして世間の目を浴びた以上は自分も以後は安穏として生きていく事はできないだろうという意味なのですが、比喩の仕方といい言葉のつなぎといい、なによりもその言葉で表現しようとする覚悟が存分に込められていて、昭和人はかくも美しく言葉を述べるかと嘆息しました。
 そこでうちのお袋にこの言葉を知っているかと尋ねたら、当時やはり流行した言葉だったらしく知っており、その上でこの事件から数年後にテレビ番組の「俺達ひょうきん族」において、榎本氏自身がハチの着ぐるみを着て登場したのがとてもおかしかったと述べていました。

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