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2010年5月14日金曜日

少数精鋭は成り立つのか?

 よく事業に行き詰って人員の少なくなっていく企業ほど、「うちは少数精鋭だからな」などと強がりますが、果たして本当に少数精鋭というのは成り立つのでしょうか。精鋭というと確かに聞こえは良いのですが、戦争などをするに当たってやはり数は多いに越したことがなく、シミュレーションゲームの「信長の野望シリーズ」などでも兵数は質が低かろうが多い方がやはり優位に事を運べることが多いです。
 しかし私が知る中で、この少数精鋭主義を実際に実行して大きな成功を納めた人物が一人おります。その人物は誰かというと、ほかならぬ秦の始皇帝です。

 始皇帝がまだ中国を統一しておらず秦王だった頃、ある日自国の将軍に対して今いる60万の兵を三分の一の20万にまで減らせと命令しました。この命令を受けた将軍は戸惑い、どうして兵力をわざわざ減らすようなことをするのかと始皇帝に聞き返した所、秦国は土地が痩せているため常に兵糧の確保が難しく、役にも立たない雑兵を多く飼っておくよりは精鋭を選り抜いて兵力を削減した方がいいと始皇帝は答えました。
 それでしぶしぶこの将軍も兵力の削減、今風に言うならリストラを推し進めた所、なんと新たに編成された精鋭部隊はそれまでいくら攻めても全く落ちなかった隣国の城を次々と落とすようになり、編成を行った将軍も驚くほどの成果を直ちに挙げるようになったのです。

 この始皇帝のリストラがどこでも通用するというわけではないですが、秦の土地が痩せていた、元々の兵隊がそこそこ強かった、などという当時の秦の状況を鑑みるなら実に的を得た決断だったと私も思えます。ただこの急激なリストラ策は多くの反発者も生み、異を唱えたがために始皇帝に処刑されかけた秦のある将軍は燕国に逃亡して後にあの有名な始皇帝暗殺計画に加担するようになるなど、円満にこのリストラが進められたというわけではありません。それだけ始皇帝の改革や決断がドラスティックだったというわけで、あの広い中国(今の中国に比べりゃ狭いけど)を始めて統一しただけはあります。

 余談ですが私は高校時代に文化祭で出し物をやろうと企画して賛同者を広く募ったのですが、今思いだすと頭数を無理に揃える位ならしっかりと信頼の出来る人間数人とだけ組んでやっとけばよかったと思うほど、引っ張っていく途中で散々な目に遭いました。恐らく私の生まれ育った年代も関係しているでしょうが、やはり私は組織というものはフットワークの軽い小さな少数精鋭組織の方が上手く回るんじゃないかと思います。公務員が嫌いってのも影響しているでしょうが。

 なお今日取り上げた始皇帝ですが、現在ヤングジャンプで連載中の「キングダム」という漫画がまさにこの時代の秦を描いており、中国史好きもあって面白く読ませてもらっております。この漫画は登場人物が着る衣装から時代背景、戦闘の描写などが細かく、どうしてこんな漫画家が今まで日の目を浴びてこなかったと思うほどなのですが、唯一欠点だと思うのは、「男かと思っていたら実は女だった!Σ(・Д・ノ)ノ」、という展開がやけに多い事です。作者の趣味なのかと疑うくらいに多いのですが、それにしても同じヤングジャンプでは「ノノノノ」という、これまた性別を男性だと偽っている女性スキージャンパーが活躍する漫画があるなど、何かとユニセックスの激しい連載陣が続いております。

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