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2009年9月4日金曜日

電気自転車への憧れ

 先月の夏休み中、広島に左遷されたうちの親父を慰めるために中国の大連へ一緒に旅行してきましたが、その際に私が心底中国人がうらやましいと思うあるものと再会することが出来ました。

「おう祐、ありゃなんや?」
「何や親父、見て分からんか。ありゃ電気自転車や」

 これは現在連載中の留学記の本文(2006年製作)にも書いているのですが、中国での主な個人用の乗り物は90年初期までは自転車で、私らより上の世代であればかつての中国の二つ名が「自転車大国」であったことが記憶にあると思います。それが2000年に入ってからは個人でも自動車が所有しやすくなり、現在では世界で一番自動車販売台数を計上するほどの自動車大国となったのですが、その過程たるややはりいびつなモータリゼーションの進化を遂げております。

 通常、というより日本やアメリカのモータリゼーションは、

・徒歩→自転車→オートバイク→自動車

 というように変化していったのですが、中国はこの進化の過程でオートバイクをすっ飛ばして一挙に自転車から自動車へと発展してしまい、そのせいで交通法規やドライバーのマナーなどが置き去りになったままで、自動車大国の一方で交通事故大国という汚名も持つこととなりました。また自動車を購入できる高所得層はあまり影響がないものの、購入することの出来ない下位層は一方的に交通事故の弊害を受けるだけとなっているのが現状です。
 ともかくこのように非常にテンポの速い進化をした中国ですが、その過程で日本にはないある乗り物への進化の分岐が起きています。その分岐というのが表題にある、電気自転車です。

 近年のうちに中国を訪問したことのある方ならみんな記憶していると思いますが、中国の街ではそこらかしこで漕いでもいないのにスーっと独りでに走る自転車がよく走っています。あれはどれもモーターを動力とした電動自転車ならぬ電気自転車で、それこそレバーやスイッチ一つで充電してさえあればいくらでも前に自走してくれます。
 日本では最近になって街中でもよく電動自転車を見かけるようになりましたが、中国では日本でこれらが普及する以前から自動車にあまり乗れない市民が電気自転車をよく買い、現在においても普及度の高い乗り物として日々使われているのです。

 このブログを長く見てもらっている方ならわかるでしょうが、私も趣味としてよく自転車に乗っております。それだけにこうした自走する中国の電気自転車が非常にうらやましくて、使い方次第で非常に面白い乗り方が出来るのではと思い、実は先月から内緒でカタログとか調べていました。
 しかしかねてから親父に、日本では面倒な規則が非常に多くてあまり自由にこうしたものは作られていないと聞いてはいましたが、改めて調べてみると親父の言うとおりでどれも半端な代物ばかりで購入計画を今回は見送ることにしました。

 どういった点が半端なのかと言うと、さっきから文章中で敢えて、「日本の電動自転車」と「中国の電気自転車」と表現を分けていましたが、日本のモーターを組み込んだ自転車は基本的に走行を補助することしかできず、中国の電気自転車みたいに運転者がペダルを漕がずとも自走することは出来ないそうです。しかもその走行を補助する範囲が時速20kmくらいまでで、普段の走行速度が平均で25kmある私にすればモーターの分だけ車両が重くなるだけにしかなりません。

 親父によるともしモーター付きの自転車が自走できてしまうと、法律上で「原動機付き自転車」という扱いになってしまうため、原付免許が必要になるやら安全基準での規制を守れないとかで事実上販売することは不可能に近いようです。昔ヤマハが一回だけこうしたものを作ったそうですが、やっぱり軌道に乗らず失敗したとも言っていました。

 なにもこうした電気自転車に限らず、中国では実はもう一つ、こちらは日本だとほぼ全く見ることの出来ない乗り物があります。その乗り物と言うのも、オートバイクならぬモーターバイクです。
 このモーターバイクというのは日本で通常見られるバイクがエンジンを動力にしているのに対して、ハイブリッドエンジンの四輪車の始動時に使われるようなモーターを動力にしております。そのためオートバイクと違って音が出ず、かつ始動時もプリウスみたいに非常に滑らかに速度調整もスムーズに決まります。今回の大連への旅行ではスクーター型のモーターバイクを近くで見たのですが、乗り心地も良さそうだったし30万円くらいならぜひとも欲しくなるような乗り物でした。

 例によって随分と前置きが長くなりましたが、結論を述べると私はこうした変な規制を取っ払ってこのような乗り物を日本にもどんどんと普及させるべきだと思います。決して私の趣味のためじゃなく。
 というのも先にも述べたとおりにモーターバイクは騒音がせず、かつこの前三菱自動車が出した「i-MIEV」みたいに100%電力で動くので走行中にはCO2を全く出しません。しかも使用目的や範囲がそれこそ日常の買い物などの移動であるのであれば、一人乗りという形状や仕様、エネルギーバランスからも非常に日本に合った乗り物ではないかと思うからです。

 近年日本の自動車市場ではセダンが売れずに軽自動車やコンパクトカーばかりが売れていますが、こうした傾向について今日の記事によく出てくるうちの親父は、

「小型の車が道路幅の狭い日本の風土に合っているからだろう」

 と述べていますが、私もまさにその通りだと思います。
 更にいうなれば、もっと小さくとも体力を消費せず、かつ中距離を移動できる乗り物があればもっとそちらに乗り換える要素があるのではないかとすら思います。そういう可能性を探る上で、もう少し国はこの方面の規制とかどうにかしてもらいたいのが私の本音です。

 第一、原付の速度制限が30kmなのに誰も守っちゃいないんだし。私なんて自転車でも普通に30km超えて走ってたりするし。

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