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2008年12月20日土曜日

液晶カルテル、再びか?

 なんか自分でも書いてていい加減しつこい気もするのですが、こういった事例というのは社会的影響に比べてあまり報道されない傾向にあり、また以前の情報とのパッケージも必要なので書くことにします。

任天堂DS液晶でカルテル、シャープに課徴金(YOMIURI ONLINE)

 本当は昨日に書くべきだったのですがリンクに貼った記事の内容は読んでもらえばわかる通り、任天堂のゲーム機のニンテンドーDSに使う液晶部品を任天堂から値下げ要求を受けたことに対し、シャープと日立ディスプレイズが談合を以って100円以上値下げを行わないと約束しあったことを受け、この度公正取引委員会がカルテル行為があったと断定して独禁法のもとシャープに対して追徴金を課すことを決定したことを報じるニュースです。なお日立ディスプレイズは自主的にこの談合事実を申告したため追徴課税を免れることになり、残ったシャープが貧乏くじを引いてしまった構図となります。

 液晶価格のカルテルについては私も以前に書いた「カルテル連続摘発の報道について」で、今年十一月にも米司法省が国際カルテルが行われたとして関係各社に追徴課税を行っており、その際には今回槍玉に上がったシャープも事実関係を認めています。にしても、リンクに貼ったニュース記事はもう削除されてますね。改めてこのニュースを他で調べてみると、

液晶パネルで国際カルテル シャープに罰金115億円(フジサンケイビジネスⅰ)

 ではまだ記事が残っており、なおかつすでにこの時期から今回報道されたニンテンドーDSの問題でもシャープに疑いがもたれていることが書かれてあります。詳しい捜査情報など見ていないのであれこれ言うのは野暮ですが、私個人としては前回の国際カルテルではシャープ側は事実を認めて追徴金を支払っているのに、今回のDSの問題では「独禁法違反はなかったと思っている」と言うのにはちょっと違和感を覚えます。

 こっちの液晶のカルテルもさることながら、こちらも以前に私が記事にしていた鋼板カルテルでも先週に動きがありました。

・鋼板カルテル、3社の計6人を追加告発 独禁法違反容疑(asahi.com)

 実はぶっちゃけ、あんまりこういったことをいつまでもしつこく書くのもなんなので、こっちの報道は朝日新聞紙上で先週に確認していながらも今回はいいやと記事にはするつもりはありませんでした。しかし液晶の方でも動きがあったので、乗りかかった船ということもありまとめて書くことにしました。

 さてこちらの鋼板カルテルも過去の私の記事を読んでもらえばわかるように、公正取引委員会の強制捜査が先月に行われ今回晴れて起訴となったということです。こんだけといえばこんだけで、今後の捜査の詳しい報道を待たねばあれこれまだ書くことが出来ないのですが、既に前回の記事でも書いているように先月を皮切りにカルテルの摘発ラッシュが未だに続いています。そしてこれら摘発、捜査されたカルテル事件のほぼすべてに共通することとして、リーニエンシー、通称課徴金減免制度が適用される企業の存在があります。

 このリーニエンシーという制度は要するに、カルテルをやっていたと最初にチクった、もとい自己申告を行った企業に対しては違反行為に対する追徴金を減額、免除されるという制度です。この制度の狙いはカルテル事件の全容を明らかにするために初期の段階で捜査に協力する企業を捜査機関が確保し、また協力する企業にもその代わりに恩恵を与えて申告を行いやすくさせようという目的で確か数年前から始まった制度です。
 現段階でこれだけカルテル事件の摘発が増えているのは、この制度の運用が効果を示してきたと見てもいいかもしれません。元々この制度は欧米にて目覚しい効果を出したことにより輸入する形で日本でも実施されるようになったのですが、まぁやらないよりはずっといい制度だとは思います。でもこういう談合を摘発するくらいなら、社保庁を初めとした官製談合をまずどうにかした方がいいのですが。

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