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2008年9月17日水曜日

事故米自殺事件に見る農水省の無自覚

 まだ民放などは細かくチェックするに至っていませんが、今日は昨日に引き続きリーマンブラザーズ社やAIG社のニュースばかり取り上げられ、ここで紹介するニュースの扱いが非常に小さい気がします。なので、ここで私が思いの限り文章に起こすことにしました。

「事故米」流通先社長が自殺…奈良(YOMIURI ONLINE)

 リンク先の記事によると、すでに私も「三笠フーズ事件の再考」の記事の中で取り上げている事故米事件において、事故米の流通先として農水省によって公表された奈良県の食品販売会社社長が自殺に追い込まれてしまったようです。この事件について私の感想を素直に述べると、農水省への怒りで何も言えないというのが本音です。

 政府は先週頃から、今回の事故米事件で三笠フーズが事故米を流出させた業者を次々と公表していきました。何故政府、というよりもこの場合は農水省ですが、彼らは業者名を公表するに至ったのかと言うと、あまり他のメディアなどでは言及されていませんが、まず間違いなく自分たちの保身のためでしょう。

 どういうことかというと、今回の事故米事件において前回の私の記事でも既に言及して、先週末によってメディアによって明らかになったように、案の定農水省にて本来これらの流通を監督する部署にいた元課長が三笠フーズから接待を受けていたことが明らかになりました。本人は安い食事をしただけだと言っていましたが、公務員服務規程によって一般人から食事等の接待を受けることは割り勘を含めて基本的に禁止されており、外務省にいた際に佐藤優氏などはこの規定によって人との夕食では自分が毎回おごる羽目になったと言っているくらいなので、職務に関係する企業ともなれば言語道断ともいえる行動です。

 恐らく、この事件が業者名の公表に至った一つの契機であったと私は見ています。なぜなら、事故米を使用したなどと衝撃的な言葉とともにこれらの業者名を上げることによって世間の耳目をそらし、この事件による農水省への批判をそらすのが連中の目的だからです。この農水省のもくろみは見事に当たったのか、今日になるとこの農水省の元課長のニュースはほとんど上がってきません。しかしその代わり、本来農水省が職務を果たさなかったばかりに流通することとなった事故米をつかまされて、被害者であるはずなのに名前を挙げられた業者の方々は風評被害によって大きな打撃を受けることになりました。マスコミもマスコミで、さっきもNHKが、「有名なお店でも使われてた」、などとくだらないことを報道しています。

 しかも、この業者名公表は相当に急いで行われたという事実も明らかになりました。

業者名公表めぐり混乱=事故米転売問題で農水省(時事ドットコム) 

 リンク先に貼ったニュースによると、なんと農水省が最初に発表した業者名のリストは九十箇所以上も間違いがあり、中には実際には流通していない企業名まで含まれていたそうです。もしこれが民間の報道機関であれば、風評被害を与えたとして社長以下役員が記者会見で頭を下げて謝罪をしなければならないほどの大問題です。何故こんなに間違いがあったのか、それは私が予想するように農水省がなんとしても批判の矛先をかわすためでしょう。

 思えば農水省は昔からこういうことをしょっちゅうやらかしています。かつてBSE問題が発生した際も、牛の全頭検査をやる傍から感染牛が見つかった場所を大々的に公表し、そのあまりの報道の過熱振りに感染牛を割り出した何の罪もない検査者が自殺に追い込まれています。

 こういった健康被害に関する情報を隠すのは間違いです。しかし、報道があまりに過熱する可能性があるような情報の場合、誤解を与えずにかつ正確な情報で公表することが大前提です。何も難しいことを言っているわけじゃありません。普通に考えて、公表すべきものを公表し、公表すべきでないものは公表しなけりゃいいだけです。そういった目で見るならば、今回の業者名公表は明らかに公表すべき問題ではありませんでした。なぜなら風評被害が確実に起こることが目に見えており、またその事故米は農水省側の不手際によって流通してしまったからです。第一、農水省側の発表では、この事故米を食べても健康被害はないというのだから、なおさら業者名を公表する理由がわかりません。

 それでも公表に至ったのですから、ここは是非農水省の側も今回の公表を決めた課長級以上の関連する人物名をはっきりと公表するべきでしょう。同様に、最初に三笠フーズから接待を受けていた元課長の名前と現在の部署もです。このブログでハンドルネームを使っておきながら私もこんなえらそうなことを言うべきではないかもしれませんが、批判を恐れて名前を隠すなら発言自体するべきではありません。私は中間をとって、メールアドレスは公開してますが。

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