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2008年8月20日水曜日

電子カルテの問題性

 医療問題を書いたので、も一つおまけに電子カルテの問題について書いておきます。

 現在、医師の仕事時間の半分以上はカルテ書きに費やされているといわれています。これを言うとよくびっくりされるのですが、医療処置や相談を受けている時間より、今はカルテを書いている時間の方が長いようなのです。何故かというと、一つ前の記事でも取り上げたように医療事故、裁判について国が前もってあれこれ経過を書くようにと医師に徹底させたため、このようにいつの間にか順序が逆になってしまうような状況へと医師は追い込まれてしまったのです。

 その結果、カルテの方に時間がかかり、医師の仕事は最近でも報道されるように、時間に追われるハードワークとなってしまいました。その対策として国は、タッチペンなどで押すだけでカルテができる、「電子カルテ」の導入を決めました。
 この電子カルテ、実際に私は使用したことはないのですが(似たようなものとして、献血時の問診票をタッチペンで作るのはやったことがあります)、やはり使うと早いそうです。これを導入することによって一気に作業効率が向上し、医師の過重労働もこれで解消されると言って国は、具体的な日時はわかりませんが、期限を切って電子カルテをすべての医師に原則的に使うようにと定めたらしいです。

 しかし、この電子カルテは何も普通のパソコンにソフトを入れるだけの代物ではありません。なんでも、一台を導入するのに数百万円は下らない代物なそうで、普通の病院に入れようものなら数千万円単位の投資が必要となってくるそうです。

 それこそ大病院なら……っても、最近は大病院でも非常に経営が苦しいのですが、小さい診療所などでやっている開業医なんてとても導入できないそうです。しかし、国が定めた期限以後は電子カルテしか認められないため、その期限がきたら医師不足の現状なのに、多くの医師が廃業を余儀なくされるとまで予想されています。

 私は実際に現役の歯科医の方から話を聞く機会がありましたが、やはり導入することは資金上不可能で、その期限が来たら引退だと述べていました。その上で、もし国は電子カルテを共用させるというのなら、ちゃんと補助金を用意すべきだと主張もしていました。

 私も同感です。そもそも、カルテ書きに医師を忙殺させたのは国の政策です。それならばその対策もすべて国が持つべきでしょう。何をどうすればいいのか、この問題には医師を交えてもっと開いた議論が必要だと私は思います。

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