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2008年5月21日水曜日

よい税金とは

 なんでも将来の社会保障を維持するために、財務省が出した試算によると消費税を10%以上にしなければいけないと、昨今ニュースで報道されています。しかしなんというか、官僚の出す予測で当たった試しというのはほとんどないですし、そもそも連中が出した社会保障費のピークがくるのは2050年とのことらしいですが、以前にこのブログでも取り上げた私の予測だと、少なくとも年金に限って言えば世代人口が最も膨れている1946~1948年生まれの団塊の世代が、日本人の平均寿命に当たる80歳になって死に始める2030年くらいがピークではないかという素朴な疑問がわきます。

 なのでこんなくだらない根拠で消費税を上げるなんてもってのほかですが、これに関連して、今日はちょっとよい税金とはどんな税金かをちょっと解説します。なにぶん昔に習ったことなので少し記憶があいまいですが、税金には三要素と呼ばれる要素があり、それらを列記すると、「公平性」、「均等性」、「効率性」の三つだったと思います。

 まず公平性というのは読んで字の如く、対象の集団の中で差別なく公平に取られるかどうかです。たとえば同じ収入なのにある人には低い税率が課されるが、別の人には高い税率が課されるというのは傍目にも不平等で、よい税制とは言われません。
 次の均等性というのは、単純に行って累進課税や資産税のことです。これは税の配分にも関わってきますが、集団内の人間の収入を均等化させる効果のことで、要するに勝ち逃げさせない要素のことを指しています。

 ここまでなら言われりゃ誰だってわかると思いますが、今日の味噌である最後の効率性というのは実は結構ネックな部分でありながら、あまり議論されることがない内容です。
 この効率性というのは、いわゆる徴税のコストがどれだけ低いかどうかという事です。たとえば新聞の集金を想像してみてください。自動振込みにしておけば新聞屋が払うのは銀行への手数料だけで新聞代を受け取れますが、もし自動振込みでなければ集金を行う人を新聞屋は雇わなければならず、その分人件費が掛かってしまい同じ新聞代でも手元に受け取る金額は減ってしまいます。
 このように、同じ税率でも徴税コストがあるとないとで収入の大小が変わってくるのです。そして実は日本というのは、この徴税コストが高い国だといわれております。

 というのも、戦後から日本は一貫して直接税を主な収入源としています。これだと一人一人に税金額を計算、徴収を行わねばならず、また不正にごまかす人間もいちいち摘発せねばなりません。これはつまり、その分だけ国税庁の役人を雇わねばならず、また税理士なども各企業や自治体で雇わねばなりません。
 ここで言ってしまいますが、実は私は消費税を上げる事には賛成なのです。というのも、消費税や酒税のような間接税だと徴収する対象は小売店やら事業主だけなので、その分徴税コストは少なくて済むのです。事実、日本以外の国ではほとんどが間接税が主体となっており、戦前の日本もそうでした。

 最近は確かにIT化が進み以前ほどではないにしても、直接税だとやはりコストが高すぎます。なのでこの際、直接税の税率を大幅に下げる代わりに、消費税などの間接税の税率を大幅に上げるような改革をすべきだと思います。もちろん、欧米同様に食料や医療などにはその税率を課さずにです。

 以上の三つの要素を満たせば満たすほどよい税制だということになります。あえて言うならもうひとつ、「わかりやすさ」もよい税制の条件だと思います。これもまた日本ですが、非常に複雑で税理士以外には誰もわからないとまでいわれ、そのせいで知らず知らずのうちに脱税をやっていたり逆に払いすぎたりという事が毎回起こっています。こんなんでは先に言った公平性が乱れるので、やさしく単純に、それでいて公平な税制へと大改革をするのが今の日本の課題だと考えています。

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