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2008年3月27日木曜日

相続税についての考察

 さてさてまた余談から。ちょっと更新が遅れていたのと、北陸行っている間にあれこれ考えたので今日は書くことが多いです。それと北陸行ってたもんですからホームページも全然進まず。ただ、ホームページの方でやろうとすることで、一部の友人には伝えていますが、政治家やらマスコミの格付けなんかをやってみたら面白いんじゃないかと試行錯誤して考えています。
 アメリカなんかでは個人がそういう格付けやら数学的データに基づいた分析をしており、レッドソックスはある野球好事家が個人で作ったプロ野球選手の成績分析を元に、表向きはぱっとしないけどその分析計算で優秀な成績を出したことから岡島投手の獲得に動いたといいます。最近好調の日ハムも、外には出せないらしいですがチーム内で独自の評価方法というものがあり、そこからマイケル中村を獲得したようです。そんな風なホームページが出来たらいいなぁ。

 それでここからが本題です。この相続税についてですが、多分自分を含めた若い世代はほとんど意味がわからないと思います。実際に以前に自分が関わった調査でも、「日本は相続税の税率を上げるべきでしょうか?」という質問で、回答率が一割強程度と、無回答に近い回答が続出しました。
 その相続税ですが、単純に言って格差是正に最も強い効果を出す税率でしょう。なにせ生前の財産を丸ごと国が持っていくのですから、どうせ取られるならとしてそういった財産は消費に使われますし、また一部の特権階級が長続きしないようになります。日本ではこれで華族が没落し、聞くところによるとインドのマハラジャも大部分やられたといいます。

 そしてこの相続税、詳しい税率やら計算方法も私は知らないのですが、これも人づてに聞いたところ日本では三代続けて相続した際、元の財産はすべてなくなるというほど高い税率で、ヘタすれば世界で最も厳しいのではないかという声すらあります。
 私自身、周囲も認めるくらい金に頓着がない人間で、格差是正論者ということもありこの高い相続税を日本人としてこれまで誇ってきたのですが、どうもこのところは疑問を持つようになりました。

 きっかけはまた内輪ネタになりますが、労働経済学の某K先生と話をした際にイタリア人の生活について聞いたことでした。イタリアというとGDPでみると日本の半分以下、確か東京一つ分と同等くらいで、個人の月収も日本人と比べて確実に低いらしいのですが、その先生によると、イタリア人は持ち家率が高いため、彼らの資産などを考慮して生涯の生活水準を計ると、どうも日本人と同等になるらしいというのです。

 言われてみると、日本は姉歯騒動の際でも取り上げられましたが、日本の家屋は基本的にはビルト&スクラップで、将来壊すことを前提にして造られており、それがこの事件を生んだ原因だと専門家が指摘していました。確かに、日本は地震が多くて徒然草の頃から家屋は仮の住まいとして、何世代に渡って同じ家を使用し続けるという感覚が現代では希薄な気がします。高度成長期は夢のマイホームと言っては住宅ブームにもなりましたが、冷静に考えると、壊して何度も造り直すより、丈夫で何世代も住める家を作った方が社会的にはプラスなのではないかと思いました。そりゃ確かに造る時に金はかかりますし、出来た直後に火災にあったり地震にあったら災難ですが、壊しては建てを繰り返すより資源の有効活用にもつながるし、なにより無駄な労働力を割かずにすみます。そしたら土建屋が苦しくなるという反論もありますが、イタリアをはじめとしたヨーロッパで土建屋達は、どちらかというと新築よりリフォームで生計を立てる人が多いと聞きます。そのように、リフォームを繰り返して何世代に渡って住める家の方がどうもよさそうな気がします。

 そこで今日の本題です。恐らく、相続税がかかる際に最も費用負担が大きいのはこの家屋でしょう。それこそ東京の土地家屋を親から引き継いだら、いきなり数千万近い費用を国税局から徴税されるでしょう。もちろんそんな現金をすぐ用意できる人なんてそういませんから、大抵は物納、つまり土地と家屋を国、もしくは不動産屋に差し出して税金を納めるそうです。
 まぁこうすれば確かに格差是正に効果はあると思いますが、やはり子供の頃からずっと育った家などを税金のために差し出すというのは少し酷な気もしますし、そうして差し出した家は大抵はその後壊されて、新しい家が建つかビルが建つかになります。で、出てった人はまた別の家に住む。なんか馬鹿馬鹿しくないでしょうか。

 結局はそうして新しい家に入る為にまた莫大なお金を費やすのです。まぁ借家という手もありますが、これだって元の家に住み続けられれば財産税はかかりますが、借家の家賃より安い場合はその分はそのまま生活費に回せます。しかも高齢者の場合は働くことが出来ないため、借家で家賃を払い続けていると、生活が困窮する可能性すらあります。

 そうして考えると、この相続税というのは果たして格差是正につながるのかどうか怪しく思えてきました。特に生活保護受給者が増えている現代、衣食住の一角を担う家屋については若干の議論が必要なのではないでしょうか。そして何世代に渡って使える耐久力のある家屋を造る事によって、うまくすれば防災に役立つかもしれませんし、単純に家屋倒壊が起こらなければ、被災生活を送らずにすみます。しかしそんな家を造ろうとすると最初にお金がかかるし、また将来の相続税も高くなる。そんなの、誰も造りやしませんよ。

 なので、防災の観点から高い価値のある家については相続税を減免するのは一つの手だと思います。というより、この家屋については相続税からはずすべきかもしれません。実際に欧米では、「家庭に国家が介入すべきでない」として、相続税を取っ払っている国が増えてきているそうです。
 この相続税は下手をしたら個人の安定した生活を壊してしまう可能性すらあるので、ひとまず改正すべきだと思います。私なら、格差是正は守るため、相続税の範囲を家屋などの固定資産を控除して、証券や現金などの流動資産に限って税金をかけるようなのでいいと思います。結局はそれで消費は促されるのだし。

 今日のはトピックスが決めづらいので複合です。たまにはありかな。

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