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2008年2月26日火曜日

ミッシングリンク

 いきなりなんですが、このミッシングリンクという言葉を知っていますか。単純な意味だと、本来あるべき中間を埋める輪がない状態の事を指していますが、生物学上では種類の分化の過程にあるはずの種を指しています。
 たとえば犬と猫は同じ四足歩行の哺乳類ですが、ダーウィンの進化論に基づくならば、元々はある哺乳類動物から分化したはずです。それならば進化の過程で、犬とも猫ともとれる動物があるはずなのですが、恐竜の化石はいっぱいあるのに、この中間の動物がなぜかなかなか化石が見つからない。こういった、分化の過程を考えるならば、あるはずであるのにない、化石などの痕跡が見つからない生物をミッシングリンクと呼んでいます。でも、たしか犬猫の中間は見つかってるんだっけな?

 このミッシングリンクが顕著なのは実は人間です。ダーウィン風に言うならば形状や特徴の近い猿から人間が進化したということになり、この人間と猿の間を類人猿としてまぁそこそこ研究が続けられていますが、不思議なことに確かにいくつか類人猿の痕跡、北京原人(日本軍がなくしちゃったけど)とかアウストラロピテクスなどは見つかって入るのですが、どうも両者の中間というには決め手に欠け、また予想される個体数に比べては発見される量が少ないとこれまでに指摘されています。はっきり言ってしまえば、猿が人間に徐々に進化したという証拠はまだないのです。

 では、なぜこのようにミッシングリンクが発生するのか。いくつか説があるのですが、割と私が支持しているのがウィルス飛来説です。これは原始昆虫に顕著なのですが、大昔のある時期を境に、昆虫は急激に種類数が増加するそうです。なぜそうなったのかというと、隕石が原因なのではないかというのがこの節です。
 まず、宇宙から放射線などを浴びた隕石が地球に落ち、その影響で周囲が放射線、または宇宙にある未知の遺伝子によって汚染し、その影響を受けた生物らは急激に進化を遂げる。そのため、進化というよりは突然変異が一気に起こり、種類は分化するが中間は存在しないという説です。
 一般に、進化論の穴とも言ういくつかの問題点はこの説ならばある程度補足できます。そのためなかなかに説得力があるのですが、実はこれとはもう一つ、最近になって知った説があります。

 元ネタから挙げると、「魔人探偵脳噛ネウロ」、例によって漫画からです。この作品について簡単に説明すると、まず作者も認めている荒唐無稽な推理漫画で、あらゆる設定を無視する漫画らしい漫画です。私がこのマンガの作者を評価している点を挙げるならば、現代のほかのどの漫画家よりも空間の配置がうまく、上下左右遠近を複雑に構築した絵柄が特徴的です。地味だけど、漫画家にとって意外に重要なポイントなんだよねこの能力。

 それでミッシングリンクについてですが、今現在の最新刊の単行本の中でこの漫画のキャラクターが、「猿は愚かだから人間に生かされた。人間に近く、賢い類人猿はその知能の高さを恐れた人間によって抹殺されたのだ。言うなれば、自らに近い種ほど殺されるがためにミッシングリンクが生まれるのだ」的な内容の言葉を言っていました。
 この台詞は私にとって、とても含蓄のある言葉でした。確かに、同じ人間という種についても「同属嫌悪」という言葉があるように、生物というのは自分からかけ離れた種よりも、意外に近い種に対して攻撃性を持つということはよく聞きます。そして進化論の根底にあるのは「淘汰」です。それこそ、自分らより一段低い種に対しては徹底的な弾圧を行うことが義務付けられています。そういう点で見るならば、この節にも一理あるかと思い、敢えて説明を簡略にしてお送りしました。

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